概要

カイ・ボイスン(1886-1958)は、デンマークの銀細工師・デザイナーである。ゲオルグ・イェンセンのもとで修業したのち、1913年に自身の工房を開いた。銀器では装飾を持たない形をとり、1938年のカトラリーは1951年のミラノ・トリエンナーレでグランプリを受けている。木の玩具では、動物の形を単純な立体で構成した。

バイオグラフィー

1886年8月15日、コペンハーゲンに生まれた。父は法律家である。ゲオルグ・イェンセンのもとで銀細工の修業をし、1910年に職人の資格を得ている。

ドイツとパリで学んだのち、1913年にコペンハーゲンで自身の工房を開いた。当初は装飾を伴う銀器を制作している。

1930年代から装飾を排した形へ移った。1938年に設計したカトラリーは、1951年の第9回ミラノ・トリエンナーレでグランプリを受け、以後「グランプリ」の名で呼ばれる。

1930年代から木の玩具の制作も始めた。1951年の猿、1957年の熊などがある。1958年12月28日に没している。

デザインの思想と方法

ボイスンの仕事は、銀器と木の玩具という二つの領域にまたがる。共通するのは、対象を単純な立体の組み合わせに還元するという方法である。銀器では装飾を削り、玩具では動物の特徴を最小限の形で示す。

装飾を削って形だけ残す

グランプリのカトラリーは、柄に装飾を持たない。断面は緩やかな曲線で、手に持ったときの収まりから決まる。銀の面がそのまま仕上げになるため、形の精度が結果を左右する。

動物を単純な立体で示す

木の玩具は、球、円柱、円錐といった単純な立体を組み合わせて動物の形をつくる。細部を写さず、姿勢と比率だけで何の動物かが分かるようにする。旋盤で加工できる形に収まっている。

関節を可動にする

猿と熊は、腕と脚が回転する。姿勢を変えられるため、置き方によって表情が変わる。関節は木の軸と穴だけで構成され、金具を持たない。

木の質感を残す

玩具はチークメープルの無垢材で、塗りつぶさずに仕上げる。木目が個体ごとに異なり、同じものは作られない。

代表作にみる方法

グランプリ カトラリー(1938年)

装飾を持たない銀のカトラリーである。柄の断面は緩やかな曲線で、手に持ったときの収まりから決まる。1951年の第9回ミラノ・トリエンナーレでグランプリを受け、以後この名で呼ばれる。V&Aが16点を収蔵している。

猿(1951年)

チークとリンバの無垢材による玩具である。腕と脚が回転し、姿勢を変えられる。長い腕で吊り下げることもできる。単純な立体の組み合わせで、細部を写さずに動物を示す。→カイ・ボイスン モンキー

熊(1957年)

メープルの無垢材による玩具である。腕と脚が回転する。丸みを帯びた立体の組み合わせで構成され、金具を持たない。→カイ・ボイスン ベア

象(1953年)

木の玩具の系列の一つである。鼻と耳の形で象と分かるが、細部は省かれている。→カイ・ボイスン エレファント

銀器の制作(1913年〜)

器、皿、燭台などを制作した。1930年代以降は装飾を排した形をとる。メトロポリタン美術館がサラダボウルを収蔵している(収蔵番号61.7.49)。

評価と影響

ボイスンは一般に、20世紀デンマークの銀細工を代表する制作者の一人と評価されている。1930年代以降に装飾を排した形へ移った経緯が、その位置づけを示す。

木の玩具は、動物を単純な立体の組み合わせで示すという方法で知られる。旋盤で加工できる形に収まっており、量産にも向く。

1958年の没後も、カトラリーと玩具は生産が続いている。猿と熊は現在も同名のブランドから供給されている。

受賞・収蔵

受賞

  • 1951年 第9回ミラノ・トリエンナーレ グランプリ(カトラリー)

収蔵

以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、Met=メトロポリタン美術館)。

  • V&A グランプリ カトラリー(1942年) 収蔵番号 CIRC.804-1968 ほか計16点
  • Met サラダボウル(1949年) 収蔵番号 61.7.49

MoMA、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。デンマーク国内の館については照合手段がない。

作品一覧

区分 作品名 ブランド
1913年〜 銀器 器・皿・燭台の制作 Kay Bojesen
1938年 カトラリー グランプリ Kay Bojesen Denmark
1949年 銀器 サラダボウル Kay Bojesen
1951年 玩具 カイ・ボイスン モンキー Kay Bojesen Denmark
1953年 玩具 カイ・ボイスン エレファント Kay Bojesen Denmark
1957年 玩具 カイ・ボイスン ベア Kay Bojesen Denmark
1930-50年代 玩具 木の玩具の系列 Kay Bojesen Denmark

プロフィール

生没年 1886年8月15日〜1958年12月28日
出身地 デンマーク・コペンハーゲン
国籍 デンマーク
活動拠点 コペンハーゲン
分野 銀細工、カトラリー、玩具
主な協働ブランド Kay Bojesen Denmark

Reference

Kay Bojesen Denmark
https://www.kaybojesen.com/
Designmuseum Danmark
https://designmuseum.dk/en/
Victoria and Albert Museum Collections
https://collections.vam.ac.uk/
The Metropolitan Museum of Art Collection
https://www.metmuseum.org/art/collection