ローゼンダール コペンハーゲン — デンマークデザインの民主化を掲げる北欧の総合ライフスタイルブランド

ローゼンダール コペンハーゲン(Rosendahl Copenhagen)は、「良質なデザインは、すべての人に届けられるべきである」という理念のもと、1984年にデンマークで設立されたライフスタイルブランドです。創業者エリック・ローゼンダールの先見的なヴィジョンにより、ガラス製品、磁器、キッチンツール、テキスタイル、照明に至るまで、日常生活を美しく彩る幅広いプロダクトを展開しています。北欧デザインの伝統を継承しながらも、機能性と審美性の完璧な均衡を追求するその姿勢は、デンマーク国内にとどまらず、世界中のデザイン愛好家から高い評価を受けています。

現在はローゼンダール・デザイングループとして、ホルムガード(Holmegaard)、カイ・ボイスン(Kay Bojesen)、ケーラー(Kähler)、アルネ・ヤコブセン クロックス(Arne Jacobsen Clocks)、リュンビュー ポーセリン(Lyngby Porcelæn)、ビョルン・ヴィンブラッド(Bjørn Wiinblad)、ユナ(JUNA)といったデンマークを代表するアイコニックなブランド群を傘下に収め、北欧デザイン文化の保存と発展に大きく貢献しています。

ブランドの特徴・コンセプト

ローゼンダール コペンハーゲンのデザイン哲学は、三つの核心的価値観によって支えられています。

第一に「機能性」です。すべてのプロダクトは日常使いに耐えうることを前提に設計されており、美しさと実用性の融合こそがローゼンダールの目指すデザインの形です。代表シリーズ「グラン クリュ(Grand Cru)」に象徴されるように、装飾と機能が一体となった製品づくりが一貫して追求されています。

第二に「タイムレス」という概念です。一時的なトレンドに左右されない、時代を超越したクラシックなデザインを志向しています。機能がしっかりしていてこそ、時を経ても色褪せないプロダクトが生まれるという信念が、すべての製品に貫かれています。

第三に「デザインの民主化」です。優れたデザインは特権的なものではなく、誰もが手に取り、日々の暮らしの中で享受できるものでなければならない。この思想は創業者エリック・ローゼンダールが掲げた創業理念そのものであり、現在に至るまでブランドの根幹をなしています。

さらに近年では、サステナビリティへの取り組みも本格化しています。リサイクルガラスを使用した「グラン クリュ リサイクル」シリーズの展開や、分解可能な設計を採用した「ソフト スポット ソーラー サーキュラー」ランプなど、環境配慮と優れたデザインの両立を目指す姿勢は、B Corp認証の取得という形で国際的にも認められています。

ブランドヒストリー

創業期 — 貿易商社から自社ブランドへ(1984年〜1992年)

1984年、エリック・ローゼンダールはデンマークにおいて貿易商社としてローゼンダール社を設立しました。当初はフィンランドの名門デザインブランド、イッタラ(Iittala)のガラス製品をデンマーク市場へ輸入販売する代理店業務を主たる事業としていました。北欧デザインの優れた製品を広く人々に届けたいという志は、この時期からすでに明確に存在していました。

1990年、同社はカイ・ボイスンの木製動物フィギュアの製造販売権を取得し、初のデザインブランドを傘下に収めます。翌1991年には日本の吉田金属工業が展開する包丁ブランド「グローバル」の北欧総代理店となり、事業の幅を着実に広げていきました。そして1992年、満を持して自社ブランド「ローゼンダール」を立ち上げ、最初のオリジナルプロダクトであるワインストッパーを市場に送り出しました。このワインストッパーこそが、後にデンマークのテーブルウェアの歴史を変えることになる「グラン クリュ」シリーズの出発点となったのです。

成長期 — デンマークデザインの守護者として(1997年〜2010年)

1997年に輸出部門を設立し、国際展開を本格化させたローゼンダールは、1999年にはデンマーク人デザイナー、リン・ウッツォンとの協業を開始。2003年には建築家キム・ウッツォンの設計による新社屋をホーショルムに竣工し、企業としての基盤をさらに強固なものとしました。

2005年、創業者エリック・ローゼンダールからその息子ヘンリック・ローゼンダールへとCEO職が引き継がれ、家族経営による新たな時代が幕を開けます。ヘンリックの下で同社は、デンマークの歴史あるデザインブランドを積極的に買収・復刻する戦略を推進しました。2007年にリュンビュー ポーセリンを取得、2008年には1825年創業のデンマーク最古のガラスメーカー、ホルムガード(Holmegaard)のブランドを買収。同年、アルネ・ヤコブセンが設計した三つの壁掛け時計——バンカーズ、シティホール、ローマン——の復刻権も獲得し、2009年に製品化を実現しました。

2010年、こうしたマルチブランド戦略を反映し、社名をローゼンダール A/Sからローゼンダール・デザイングループへと変更。デンマークデザインの過去と未来をつなぐ企業としてのアイデンティティを明確に打ち出しました。

発展期 — マルチブランドハウスとしての確立(2016年〜現在)

2016年にテキスタイルブランドのユナ(JUNA)を取得、2018年には1839年創業の老舗陶磁器ブランド、ケーラー(Kähler Keramik)を傘下に加えました。さらにビョルン・ヴィンブラッド(Bjørn Wiinblad)やFDBモブラー(FDB Møbler)などのブランドもポートフォリオに迎え入れ、現在では八つの独立ブランドを擁するデンマーク有数のデザインハウスへと成長しています。

二世代にわたるローゼンダール家のリーダーシップの下、同グループはデンマークデザインの古典を保存・復刻するとともに、サステナブルな新しいデザインの創造にも力を注ぎ、スカンジナビアおよび世界各国の市場へとその活動を広げ続けています。

主なプロダクトとその特徴

グラン クリュ(Grand Cru)

ローゼンダールの看板シリーズであり、ブランドの代名詞ともいえるコレクションです。デザイナーのエリック・バッガーによって1990年代初頭に生み出されたこのシリーズは、カラフェ、グラス、ストレージジャー、ポーセリンなど、キッチンとダイニングに関わるあらゆるアイテムを網羅しています。シリーズ全体を貫くデザインの特徴は、四本の溝(グルーヴ)を基調とした端正なライン。この象徴的な意匠が、グラン クリュの製品をひと目でそれと分からせるアイデンティティとなっています。

発売から30年以上を経た現在もなおデンマークで最も愛されるテーブルウェアシリーズのひとつであり、ウォーターグラスは年間を通じて同ブランドの最も人気のある製品のひとつであり続けています。近年は「グラン クリュ ヌーヴォー」や、リサイクルガラスを用いた「グラン クリュ リサイクル」など、クラシックなDNAを継承しつつ現代の価値観に応えるサブラインも展開されています。

プレミアム(Premium)

ワイン専門家でもあるトム・ニーブロエがデザインを手がけたグラスシリーズです。「良いグラスは日常的に使われるべきである」という信念のもと、ワインの個性を最大限に引き出すフォルムと、日常使いに耐える堅牢さを両立させています。ワイングラス、ビアグラス、シャンパングラス、タンブラー、スピリットグラスなど多彩なラインナップを揃え、あらゆるドリンクシーンに対応します。

ロー(RÅ)

デザイナーのイェスパー・ヴォルマーが手がけたキッチンツールシリーズです。「RÅ」とはデンマーク語で「素材のままの」「生の」を意味し、熱処理を施したアッシュ材のグリップを特徴とする、北欧らしい温もりと機能性を兼ね備えたプロダクト群で構成されています。カッティングボード、グラインダー、調味料セットなど、調理に関わる道具を幅広く展開しています。

ソフト スポット ソーラー(Soft Spot Solar)

ローゼンダールの近年の代表作ともいえるポータブルLEDランタンです。柔らかな球体のランプをパウダーコーティングされた金属フレームで包み込んだ美しいフォルムが特徴で、キャンドルのような穏やかな揺らぎを再現するLED光源を搭載しています。ソーラーセル充電とUSB充電の両方に対応し、屋内外を問わず使用可能。最大15〜18時間の連続点灯を実現し、調光機能も備えています。

最新の「ソフト スポット ソーラー サーキュラー」では、フレームやランプシェード、内部パーツに至るまでリサイクル素材を採用し、製品寿命を迎えた後にすべての部品を分離してリサイクルできる設計を実現しています。

カレン ブリクセン クリスマス(Karen Blixen Christmas)

デンマークの国民的作家カレン・ブリクセン(イサク・ディネセンのペンネームでも知られる)へのオマージュとして誕生したクリスマスコレクションです。華やかに飾り立てられたクリスマスツリーを愛したブリクセンにちなみ、デザイナーのオーレ・コルツァウとザラ・ヴォイトらがハート、リース、星、天使といった伝統的なモチーフをメッキ加工のスチールで表現しています。ローゼンダールはカレン・ブリクセン博物館の公式メインスポンサーを務めており、本コレクションの売上は博物館の新たな展示活動の資金に充てられています。

傘下ブランド

ローゼンダール・デザイングループは、それぞれが独自の歴史と伝統を持つデンマークの名門ブランドを傘下に収めています。

ホルムガード(Holmegaard)
1825年創業。デンマーク最古にして最も権威あるガラスメーカー。ヘンリエッテ・ダネスキョル=サムソー伯爵夫人によって創設され、ペア・リュトケンやセシリエ・マンツ、マリア・ベルンセンなど、歴代の優れたガラスデザイナーとの協業により、デンマークのガラス工芸の歴史を築き上げてきました。2008年にローゼンダール・デザイングループが取得。
カイ・ボイスン(Kay Bojesen)
1932年にブランドを立ち上げたデンマーク王立デザイナー、カイ・ボイスンの名を冠するブランド。チーク材とリンバ材から作られた1951年のモンキー(猿)をはじめとする木製動物フィギュアは、デンマークデザインのアイコンとして世界的に親しまれています。1990年にローゼンダールが製造販売権を取得し、ボイスン家との緊密な協力のもと、オリジナルの図面に忠実な製品の再生産を行っています。
ケーラー(Kähler)
1839年にヘルマン・J・ケーラーがネストヴェズに開窯した陶磁器ブランド。赤い光沢釉を特徴とし、1889年のパリ万博で世界的な名声を獲得しました。トーヴァル・ビンデスベル、スヴェン・ハンマースホイ、カイ・ニールセンなど、デンマークを代表する芸術家たちとの協業が、ケーラー独自のDNAを形成しています。2018年にローゼンダール・デザイングループが取得。
アルネ・ヤコブセン クロックス(Arne Jacobsen Clocks)
20世紀を代表するデンマークの建築家アルネ・ヤコブセンがデザインした壁掛け時計のコレクション。デンマーク国立銀行のためにデザインされた「バンカーズ」(1971年)、ロズオウア市庁舎のための「シティホール」(1956年)、オーフス市庁舎のための「ローマン」(1942年)、そして「ステーション」の四つのシリーズが、ヤコブセンのオリジナル図面に忠実に復刻されています。2008年に復刻権を取得し、建築家テイト・ヴァイラントの監修のもと2009年に製品化されました。
リュンビュー ポーセリン(Lyngby Porcelæn)
特徴的な溝のある白い円筒形の花瓶で知られるデンマークの磁器ブランド。50年以上の歴史を持ちながら、その需要はかつてないほど高まっています。2007年にローゼンダール・デザイングループが取得し、磁器に加えて吹きガラスによる製品ラインも展開しています。
ビョルン・ヴィンブラッド(Bjørn Wiinblad)
デンマークを代表するアーティストのひとり、ビョルン・ヴィンブラッドの想像力豊かなドローイングと装飾——ロマンティックな女性像、伝説的人物、幻想的なパターン——を製品化したブランドです。
ユナ(JUNA)
デンマークのテキスタイルブランド。2016年にグループに加入し、リネン類やファブリック製品を通じて北欧の生活空間を豊かに彩っています。

主なデザイナー

エリック・バッガー(Erik Bagger)
ゲオルグ イェンセンで長年の経験を積んだ後、1987年に独立。ローゼンダールの代名詞であるグラン クリュ シリーズをデザインし、デンマークのテーブルウェアの歴史に新たなページを刻みました。端正で明快なフォルムと、日常使いに適した堅牢さの両立を実現するデザインで知られています。
トム・ニーブロエ(Tom Nybroe)
ホルムガードの受賞歴を持つパーフェクション(Perfection)シリーズや、ローゼンダールのプレミアムシリーズを手がけたデザイナー。ワインの専門家としての知見を活かし、ワインの特性を最大限に引き出す機能的なグラスデザインを追求しています。
オーレ・パルスビー(Ole Palsby)
ローゼンダール創業初期から協業する著名なデンマーク人デザイナー。機能主義に根ざしたキッチンツールやテーブルウェアのデザインで、ブランドの方向性の確立に大きく貢献しました。
リン・ウッツォン(Lin Utzon)
1999年よりローゼンダールとの協業を開始したデンマーク人デザイナー。シドニー・オペラハウスの設計者として知られる建築家ヨーン・ウッツォンの娘であり、有機的なフォルムと北欧の伝統を融合させた独自のデザイン言語を持ちます。
イェスパー・ヴォルマー(Jesper Vollmer)
RÅシリーズのデザインを担当。天然木材の質感を活かしたキッチンツールのデザインを通じて、北欧デザインの温かみと機能美を表現しています。
オーレ・コルツァウ(Ole Kortzau)
カレン ブリクセン クリスマスコレクションの中心的デザイナー。伝統的なクリスマスモチーフを繊細な金属加工で表現し、北欧のクリスマス文化に新たな魅力を加えています。

基本情報

ブランド名 ローゼンダール コペンハーゲン / Rosendahl Copenhagen
親会社 ローゼンダール・デザイングループ / Rosendahl Design Group
設立 1984年(自社ブランド展開は1992年〜)
創業者 エリック・ローゼンダール(Erik Rosendahl)
所在地 デンマーク、ホーショルム(Slotsmarken 1, 2970 Hørsholm, Denmark)
企業形態 家族経営(ファミリーオウンド)
現CEO ヘンリック・ローゼンダール(Henrik Rosendahl、2005年〜)
傘下ブランド Rosendahl、Holmegaard、Kay Bojesen、Kähler、Arne Jacobsen Clocks、Lyngby Porcelæn、Bjørn Wiinblad、JUNA
主な製品カテゴリ グラスウェア、ポーセリン、キッチンツール、テキスタイル、照明、クリスマスデコレーション、時計、木製フィギュア
日本での販売 正規代理店を通じ、ACTUS、KOZLIFE、ZUTTO、FULLangleほか国内インテリアショップにて取扱い
公式サイト https://www.rosendahl.com/