概要
スタラグマイト・ベース・ダイニングテーブル(Stalagmite Base Dining Table)は、アメリカのデザイナー、ポール・エヴァンスが1960年代後半から1970年代初頭にかけて制作した彫刻的なダイニングテーブルである。ディレクショナル・ファニチャー社のために手がけた「スカルプテッド・ブロンズ」シリーズに属する。ベースは鍾乳石を思わせる不規則な隆起で構成される。
鋼鉄のフレームにエポキシ樹脂を手作業で成形し、霧状の青銅を吹き付ける。全体を青銅で鋳造すればテーブルの寸法では重量が過大になるが、樹脂で形をつくって表面だけを金属にすれば同じ見え方のまま扱える重さに収まる。天板にはガラスを用いる。
デザインの特徴とコンセプト
ガラス天板との関係
ベースは不規則な塊として構成される。天板が透明なガラスのため、上から見てもベースの形が見える。不透明な天板であればベースは側面からしか見えないが、ガラスなら全方位から形が読める。
有機的造形と職人技
ベースの形状は、鋼鉄フレーム上のエポキシ樹脂を手作業で彫刻することで生まれる。型を用いないため、隆起の位置と高さは一点ごとに異なる。名称は鍾乳石(stalagmite)による。
革新的な製造技術
この技法は、造船所で船体の腐食防止のために金属粉をスプレーする工程から着想を得たとされる。工程は、溶接した鋼鉄フレームへの樹脂の塗布と彫刻、サンドブラスト、青銅の吹き付け、ニス塗り、トーチによる焼成、研磨と続く。鋳造では型が必要になるが、この方法なら型を用いずに自由な形状をつくれる。
評価と影響
同じ技法によるスカルプテッド・ブロンズ・フロント・キャビネットは収納家具に、アルジャント・キューブテーブルはアルミニウムを溶接した立方体に、それぞれ展開されている。材の性質から形を決める点では、同時期に木を扱ったナカシマ フリーエッジテーブルとも近い。
2014年にはペンシルベニア州の美術館で回顧展が開催され、他館を巡回した。4館の公開データでは、スタラグマイト・ベース・ダイニングテーブルの収蔵は確認できていない。
ポール・エヴァンスの設計思想や経歴について詳しくはポール・エヴァンスプロフィールページをご覧ください。
ディレクショナルの歴史や他の製品について詳しくはディレクショナルブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ポール・エヴァンス(Paul Evans) |
|---|---|
| 製造元 | ディレクショナル・ファニチャー(Directional Furniture) |
| シリーズ | スカルプテッド・ブロンズ(Sculpted Bronze) |
| モデル番号 | PE-102 |
| 制作年代 | 1960年代後半〜1970年代初頭 |
| 主要素材 | 溶接鋼鉄、エポキシ樹脂、青銅コーティング、ガラス |
| 製造技法 | 手彫刻エポキシ樹脂、サンドブラスト、アトマイズ青銅スプレー |
| 様式 | ブルータリズム、アメリカン・スタジオ・クラフト |
| サイン | 多くの作品に「PE」と制作年が刻印 |