概要
アルコーヴ ソファは、ロナン&エルワン・ブルレック兄弟が2006年にヴィトラのために設計したソファである。高さ約1.4メートルのパネルが座面の三方を囲む。名称は壁龕を意味する語による。
囲いをつくる
間仕切りを立てれば区画は分かれるが、工事を伴い位置も固定される。座面と一体のパネルであれば、家具として移動できる。パネルはキルティング加工のファブリックで覆われ、面に凹凸があるため音の反射が拡散する。硬い壁面では音が跳ね返るが、柔らかい面なら吸収される。
三方が囲われ、正面だけが開く。四方を閉じれば出入りができないが、一方を開けば通り抜けずに立ち止まる場所になる。二つを向かい合わせに配すると、あいだに囲われた区画が生まれる。
デザインの特徴と技術
構造と素材
フレームには粉体塗装またはクロームめっきのチューブスチールを用いる。パネルの芯にはファイバーボード、クッションにはポリウレタンフォームとポリエステルファイバーを用いる。パネルは高いが芯材が板のため、厚みを抑えたまま自立する。カバーは取り外せる。
張り地には、姿勢を崩して座る用途に合わせた仕様と、作業向けにやや硬い仕様がある。同じ形でも、座面の硬さで滞在の仕方が変わる。
バリエーションと拡張性
アルコーヴ ソファは、用途に応じて選べるバリエーションを展開している。パネルの高さは、開放的なコミュニケーションに向く低いタイプと、より高いプライバシーと遮音を求める場面に向く高いタイプが用意されている。座席数はラブシート、2シーター、3シーターがあり、コンパクトなフォトゥイユ(1人掛け)も加わっている。
2021年に刷新された世代では、パネルが床面まで伸びるアルコーヴ プラスや、キャスター付きで動かせるモデル、ファスナーで連結できるパラヴェント(間仕切り)が加わり、オフィスのゾーニングや動線づくりに対応する。アルコーヴファミリーには、ソファのほかアルコーヴ キャビンやアルコーヴ ワーク、専用オットマンなどが含まれる。
評価と影響
オープンプランの空間では、区画を分けるには工事が要る。家具として囲いをつくれば、レイアウトの変更に追随できる。本作はFXアワードの「Best Workspace Seating」を受けている。
同じブルレック兄弟によるスローチェアは編み地で身体を受け、プルーム ソファは伸縮する生地で面が伸びる。アルコーヴは座面ではなく周囲のパネルで環境を扱う点が異なる。アルコーヴ ソファの美術館収蔵は、公開情報の範囲では確認できていない。
設計思想や経歴について詳しくはロナン・ブルレック、エルワン・ブルレックの各プロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ロナン&エルワン・ブルレック(Ronan & Erwan Bouroullec) |
|---|---|
| ブランド | ヴィトラ(Vitra) |
| 発表年 | 2006年 |
| 製造国 | ドイツ・スイス(ヴィトラ) |
| 主要素材 | チューブスチール(粉体塗装またはクロームメッキ)、ポリウレタンフォーム、ポリエステルファイバー、ファイバーボード、ファブリック張地 |
| 座面高 | 約480mm(荷重時385mm、EN 1335-1:2000準拠) |
| バリエーション | 低/高パネル、フォトゥイユ/ラブシート/2シーター/3シーター |
| 張地仕様 | ラウンジ(柔らかめ)、ワーク(硬め) |
| 関連製品 | アルコーヴ プラス、アルコーヴ キャビン、アルコーヴ ワーク、アルコーヴ オットマン |
| 受賞 | FXアワード「Best Workspace Seating」 |