このモデル2097が長く愛される理由
1958年の発表から60年以上にわたり生産が継続されているフロス社のモデル2097は、イタリア照明デザインの巨匠ジーノ・サルファッティが、故郷ヴェネツィアの伝統的シャンデリアから装飾を削ぎ落とし、光源そのものの美しさを前面に押し出すことで誕生した、20世紀を代表するペンダントライトである。
本ページでは、モデル2097の購入を検討されている方に向けて、正規品の仕様・価格・サイズの詳細、正規品とリプロダクトの違い、類似する名作照明との比較、実際の光の質や空間への取り入れ方、メンテナンス方法、そして国内正規販売店の情報まで、購入判断に必要なすべての情報を網羅的にお届けする。
ジーノ・サルファッティの設計思想や経歴について詳しくはジーノ・サルファッティ プロフィールページをご覧ください。
モデル2097のデザインストーリーについて詳しくはモデル2097紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
モデル2097は、灯数の異なる3つのサイズ(18灯・30灯・50灯)で展開されており、それぞれの空間規模や用途に応じた選択が可能である。いずれのモデルも白熱球仕様とLED仕様が用意されている。
| 正式名称 | モデル2097 / Model 2097(2097/18・2097/30・2097/50) |
|---|---|
| デザイナー | Gino Sarfatti(ジーノ・サルファッティ / イタリア / 1912–1985) |
| デザイン年 | 1958年 |
| 製造ブランド | Flos(フロス / イタリア) |
| 製造国 | イタリア |
| 主要素材 | 本体:スチール / アーム:真鍮 / 天井フィッティング・ローゼット:スチール |
| サイズ(2097/18) | Ø690mm × H510mm |
| サイズ(2097/30) | Ø880mm × H720mm |
| サイズ(2097/50) | Ø1000mm × H880mm |
| 重量 | 2097/18:約3.4kg / 2097/30:約5.8kg / 2097/50:約9.2kg |
| カラーバリエーション | クローム、ゴールド(真鍮)、マットブラック、マットホワイト |
| 参考価格帯(税込目安) | 2097/18:白熱球 約¥309,100〜 / LED 約¥358,600〜 2097/30:白熱球 約¥477,400〜 / LED 約¥559,900〜 2097/50:白熱球 約¥645,700〜 / LED 約¥783,200〜 |
| 付属品 | 電球付属(白熱球またはLED電球を選択)、サスペンションケーブル、天井取付金具 |
| 光源 | 白熱球仕様:ナシ型白熱球 15W × 灯数分(E14口金) LED仕様:2097専用LED電球 2.5W 2200K 80lm × 灯数分(E14口金) |
| 調光 | 対応可(LED仕様も調光可能) |
| 取付方法 | 天井直付け(要電気工事)/ サスペンションケーブル吊り下げ |
| ケーブル長 | 約2,800mm(最大吊り下げ長 約3,300mm) |
| 防護等級 | IP20(屋内専用) |
正規品とリプロダクトの違い
モデル2097は市場にリプロダクト品が流通しており、正規品の10分の1程度の価格帯で販売されている例もある。ここでは、正規品が持つ固有の価値を客観的にお伝えする。
素材の違い
正規品はスチール製の本体と真鍮製のアームで構成され、クロームメッキやゴールド仕上げにはミラーポリッシュが施されている。リプロダクト品では、アームに真鍮ではなく鉄やアルミニウムを使用している場合があり、メッキの均一性や光沢の質に差が生じることが一般的に指摘されている。
構造の違い
正規品は中央支柱とアームの接合部に高い精度が確保されており、各アームが設計通りの角度と間隔で放射状に配置される。リプロダクト品では組み立て式のものが多く、アームの角度にばらつきが生じやすいとの報告がある。また、ソケット部分やケーブルの取り回しにおいて、正規品はコードの垂れ下がりが意図されたカーブを描くよう設計されている。
光の質の違い
正規品のLED仕様には、フロスが2097専用に開発したLED電球(2200K・80lm)が付属し、白熱球に極めて近い温かみのある光を実現している。リプロダクト品では電球が付属しないケースが多く、汎用LED電球を使用した場合、光の色温度や演色性において差異が生じることがある。
価値の違い
正規品にはフロス社によるメーカー保証が付帯し、交換用パーツ(アーム、ソケット、ネジキットなど)の供給も長期にわたって保証されている。中古市場においても正規品はリセールバリューが高く維持される傾向にある。リプロダクト品にはこうした長期的な保証やパーツ供給体制は一般的に期待できない。
| 比較項目 | 正規品(Flos) | リプロダクト一般 |
|---|---|---|
| 参考価格帯 | 約¥309,100〜¥783,200(税込目安) | 約¥48,000〜¥100,000前後 |
| 本体素材 | スチール+真鍮(ミラーポリッシュ仕上げ) | 鉄・アルミニウム等(メッキ品質にばらつきあり) |
| 電球 | 専用電球付属(白熱球 or 2097専用LED) | 電球別売の場合が多い |
| 組み立て | 完成品に近い状態で出荷 | 自己組み立てが必要な場合が多い |
| 保証 | メーカー保証あり | 販売店独自の保証のみ(限定的) |
| パーツ供給 | 各パーツの長期供給体制あり | 交換パーツの入手が困難 |
| リセールバリュー | 高い(デザイン市場で安定した評価) | 低い |
類似商品・競合との比較
モデル2097と同価格帯、あるいは同じくデザイナーズ・シャンデリアとして検討対象となりうる名作照明との比較を以下に示す。いずれも20世紀を代表する照明デザインであり、空間の性格やお好みに応じて最適な選択は異なる。
ルイスポールセン「PH アーティチョーク」との比較
ポール・ヘニングセンが1958年にデザインしたPHアーティチョークは、モデル2097と同年に誕生した名作シャンデリアである。72枚の羽根で光源を完全に覆い隠しグレアフリーの拡散光を実現するアーティチョークに対し、モデル2097は裸電球を露出させ光源そのものをデザイン要素とする対照的なアプローチをとる。柔らかな間接光を重視する方にはアーティチョーク、光の点在感や工業的な美しさを求める方にはモデル2097が適している。
フロス「2097」とインゴ・マウラー「Zettel'z」との比較
インゴ・マウラーのZettel'z(1997年)は、和紙のカードを吊り下げた遊び心あふれるシャンデリアである。モデル2097の構築的な秩序美に対し、Zettel'zはより自由で即興的な表現を志向する。フォーマルな空間にはモデル2097、カジュアルで個性的な空間にはZettel'zがそれぞれ調和しやすい。
| 比較項目 | Flos モデル2097/30 | ルイスポールセン PH アーティチョーク | インゴ・マウラー Zettel'z 5 |
|---|---|---|---|
| デザイン年 | 1958年 | 1958年 | 1997年 |
| デザインの方向性 | 工業的ミニマリズム、裸電球の点在美 | 有機的造形、グレアフリーの拡散光 | 遊戯性、和紙カードの即興的表現 |
| サイズ目安(直径) | Ø880mm | Ø600mm〜Ø840mm | Ø800mm |
| 参考価格帯(税込目安) | 約¥477,400〜¥559,900 | 約¥900,000〜¥2,000,000以上 | 約¥200,000〜¥300,000 |
| 適した空間 | ダイニング、リビング、商業空間 | フォーマルなダイニング、ロビー | カジュアルなリビング、アトリエ |
使用感と暮らしへの取り入れ方
光の質と広がり方
モデル2097は、複数の裸電球が放射状に配置される構造のため、空間全体に温かみのある間接的な光が広がる。各電球の光は直接的でありながら、全体としては柔らかな雰囲気を生み出し、一般的にロウソクの灯りに例えられる温かさがあると評価されている。白熱球仕様では2700K前後の暖色光、LED仕様では2200Kのさらに温かみのある色温度が得られ、食事やくつろぎの時間にふさわしい雰囲気を演出する。調光器と組み合わせることで、シーンに応じた光量の調整も可能である。
部屋の広さとの関係
2097/18(Ø690mm)は6〜10畳程度のダイニングや書斎に、2097/30(Ø880mm)は10〜16畳程度のリビングダイニングに、2097/50(Ø1000mm)は16畳以上の広い空間や天井高のある吹き抜けに適している。天井高については、器具自体の高さにケーブル長を加味し、テーブル上に設置する場合はテーブル面から器具下端まで70〜80cm程度の距離を確保することが推奨される。
空間別のコーディネート提案
- ダイニング
- モデル2097の最も定番的な設置場所である。ダイニングテーブルの中央上部に吊り下げることで、食卓全体を包み込む温かな光が得られる。2097/18または2097/30が多くの一般家庭のダイニングに適したサイズとなる。
- リビング
- 広いリビング空間の主照明として、あるいは高い天井を活かした空間の彫刻的なアクセントとして機能する。2097/30または2097/50を選択し、他のフロアランプやテーブルランプと組み合わせた多灯使いが効果的である。
- 商業空間・ホテルロビー
- 2097/50は特に高い天井を持つ商業空間やホテルのロビー、レストランのメインダイニングなどに適しており、空間の格を高めるステートメントピースとして機能する。
生活スタイル別の提案
- 一人暮らし・コンパクトな住空間
- 2097/18が最もコンパクトなモデルであり、ワンルームや1LDKのダイニングエリアにも導入可能である。天井高が通常の2,400mm程度の場合でも、ケーブル長の調整により適切な高さに設置できる。
- ファミリー
- 家族が集うダイニングテーブル上に2097/30を設置するのが定番の選択肢である。LED仕様を選択すれば、消費電力を抑えつつ安全性も高まる。
- オフィス・ワークスペース
- エントランスや会議室、ラウンジスペースのシンボリックな照明として採用されるケースも多い。空間の品格を高めながら、来訪者に強い印象を与える。
経年変化とメンテナンス
素材ごとの経年変化
クローム仕上げは経年による変化が比較的少なく、長期にわたり光沢が維持される。ゴールド(真鍮)仕上げは使用環境に応じて徐々に落ち着いた風合いを帯び、経年とともに深みのある色調へと変化する。この変化は真鍮ならではの「育つ」魅力として愛好家に評価されている。マットブラックおよびマットホワイト仕上げは、使用に伴う微細な傷が味わいとして馴染んでいく。
日常メンテナンス
フロス社の公式な手入れ方法として、柔らかい布に水または中性洗剤を含ませて軽く拭く方法が推奨されている。アルコールや溶剤の使用は厳禁である。電球交換時には必ず電源を切り、器具が十分に冷えてから作業を行う。ほこりの蓄積を防ぐため、月に1〜2回程度の乾拭きが望ましい。
パーツ交換・修理
フロス社は各モデルの交換用パーツ(アーム各サイズ、E14ランプホルダー、ネジキット、ローワーキャップ、シーリングローゼットなど)を個別に供給している。パーツの注文は正規販売店を通じて行える。LED電球の交換品も2097専用品として供給されており、1個あたり参考価格¥3,000前後(税込目安)で入手可能である。電気配線に関わる修理は、必ず有資格の電気工事士に依頼する必要がある。
どこで買うか:正規販売店と購入方法
国内正規販売店・正規ディーラー
モデル2097は、フロスジャパン株式会社の国内正規販売網を通じて購入可能である。主な取り扱い店舗として、大塚家具(有明・新宿・大阪南港の各ショールームに「Flos Design Space」を展開)、ザ・コンランショップ、イケダ照明、WEBO、CONNECT、ルセル(LECEL)、yamagiwa(ヤマギワ)などが挙げられる。フロスジャパンの公式サイトにてストアロケーターが提供されており、最寄りの正規販売店を検索できる。
ショールーム
実物を確認できる主要なショールームとして、FLOS JAPAN SHOWROOM(東京都渋谷区渋谷1-3-3 ヒューリック青山第二ビル2F、予約制)がある。2024年11月にグランドオープンし、デコラティブ、アーキテクチュラル、アウトドアの各コレクションが展示されている。大塚家具の各ショールームでも2097を含むフロス製品が常時展示されている。購入前に実物のサイズ感や光の質を確認されることを強く推奨する。
中古・ヴィンテージ市場
モデル2097は中古市場でも一定の流通があり、TOKYO RECYCLE imptionなどのデザイナーズ家具専門リサイクルショップで取り扱われることがある。ヴィンテージ品(特にアルテルーチェ時代の初期生産品)はコレクターズアイテムとしての価値を持つ場合がある。中古購入の際は、パーツの欠品や電気系統の状態を十分に確認されたい。
購入時チェックリスト
- 正規品であることの確認(フロスジャパン正規販売店での購入、製品に付属する保証書・証明書の有無)
- サイズの選定(2097/18・30・50のうち、設置空間の広さと天井高に適したモデルの選択)
- 設置場所の天井強度の確認(特に2097/50は約9.2kgの重量がある)
- 天井高とケーブル長の確認(テーブル上設置の場合、器具下端からテーブル面まで70〜80cm推奨)
- 仕上げの選択(クローム・ゴールド・マットブラック・マットホワイトの4色から空間に合わせて選定)
- 光源タイプの選択(白熱球仕様またはLED仕様)
- 電気工事の手配(天井直付けのため、有資格の電気工事士による取付工事が必要)
- 保証内容の確認(メーカー保証期間と対象範囲)
- 納期の確認(在庫状況により2〜6週間程度の場合がある)
- 搬入経路の確認(梱包サイズが大きいため、玄関・廊下・階段の幅を事前に確認)
配送・設置に関する注意事項
モデル2097は天井直付け式のペンダントライトであり、設置には電気工事士の資格を持つ専門業者による取付工事が必要となる。購入時に販売店を通じて工事手配が可能な場合が多いため、事前に確認されたい。また、既存の引掛シーリングからの変更工事が必要になるケースもあるため、設置予定箇所の天井の配線状況を事前に把握しておくことが望ましい。
コーディネート事例
モダン・ミニマル
白壁とコンクリート、木質フローリングで構成されたミニマルな空間に、クローム仕上げのモデル2097を配置する。器具そのものの彫刻的な存在感が空間のフォーカルポイントとなり、シンプルな空間に適度な複雑さと温かみを加える。フリッツ・ハンセンのエッグチェアやアルネ・ヤコブセンのセブンチェアとの相性が高い。
インダストリアル・ヴィンテージ
レンガ壁や露出配管、古材を用いたインダストリアルな空間には、マットブラック仕上げのモデル2097が見事に調和する。むき出しの電球とケーブルという工業的な美学が、空間のテクスチャーと呼応する。ジャン・プルーヴェのスタンダードチェアやEMテーブルとの組み合わせが効果的である。
クラシック・エレガンス
ゴールド仕上げのモデル2097は、クラシカルなインテリアにも違和感なく溶け込む。モールディングのある白い天井や、ヘリンボーンの木製フローリングを持つ空間において、伝統的シャンデリアの系譜を引きつつも現代的な軽やかさを演出する。カッシーナのLCシリーズやUSMハラーなどのモダンファニチャーとの対比も美しい。
広さ別の配置ガイド
- 6〜10畳(ダイニング・書斎)
- 2097/18を推奨。テーブル中央の直上に配置し、空間に対して圧迫感のない程よい存在感を得られる。
- 10〜16畳(リビングダイニング)
- 2097/30を推奨。ダイニングテーブル上に設置するか、リビングエリアの中心に配置してメイン照明としての役割を果たす。
- 16畳以上・吹き抜け
- 2097/50を推奨。高い天井から長めのケーブルで吊り下げることで、空間のスケール感に見合う豊かな存在感を生み出す。
よくある質問
- 正規品の価格はどのくらいですか?
- フロスジャパンの参考価格(税込目安)として、2097/18は白熱球仕様で約¥309,100、LED仕様で約¥358,600。2097/30は白熱球仕様で約¥477,400、LED仕様で約¥559,900。2097/50は白熱球仕様で約¥645,700、LED仕様で約¥783,200となっています。仕上げによる価格差はありません。なお、価格は改定される場合がありますので、購入時に正規販売店にてご確認ください。
- どこで購入できますか?
- フロスジャパンの国内正規販売店を通じて購入可能です。大塚家具、ザ・コンランショップ、イケダ照明、WEBO、CONNECT、ルセル、ヤマギワなどが正規取扱店として知られています。フロスジャパンの公式サイト(japan.flos.com)のストアロケーターで、最寄りの正規販売店を検索できます。
- 実物を確認できる場所はありますか?
- 東京都渋谷区のFLOS JAPAN SHOWROOM(予約制)にて実物をご覧いただけます。また、大塚家具の有明・新宿・大阪南港の各ショールームに設けられた「Flos Design Space」や、イケダ照明の店舗などでも展示されていることがあります。展示状況は変更される場合がありますので、来店前に各店舗にご確認ください。
- 納期はどのくらいですか?
- 国内在庫がある場合は数日〜2週間程度、在庫がない場合はイタリアからの取り寄せとなり4〜6週間程度を要することがあります。仕上げやモデルによって在庫状況が異なりますので、購入時に正規販売店にてご確認ください。
- メンテナンスはどのようにすればよいですか?
- 柔らかい布に水または中性洗剤を含ませて軽く拭いてください。アルコールや溶剤は使用しないでください。月に1〜2回程度のほこりの乾拭きが推奨されます。電球交換時には必ず電源を切り、十分に冷えてから作業してください。交換用パーツ(アーム、ソケット、LED電球など)はフロスジャパンの正規販売店を通じて入手可能です。
- LED電球に対応していますか?
- はい。フロスはモデル2097専用のLED電球(E14口金、2.5W、2200K、80lm)を開発しており、LED仕様の製品には標準で付属します。白熱球仕様を購入された場合でも、専用LED電球を別途購入してLED化することが可能です。専用LED電球の参考価格は1個あたり約¥3,000(税込目安)です。調光にも対応しています。
- 取り付けに電気工事は必要ですか?
- はい。モデル2097は天井直付け式のペンダントライトであり、設置には有資格の電気工事士による工事が必要です。引掛シーリングへの直接取り付けには対応していません。購入時に正規販売店に工事手配についてご相談ください。天井の耐荷重(特に2097/50は約9.2kg)の確認も必要です。
- 他に検討すべき名作照明はありますか?
- 同じフロス社の名作としては、アッキーレ・カスティリオーニの「アルコ」やフィリップ・スタルクの「ミス・シシー」、マイケル・アナスタシアデスの「ICライツ」などが検討対象となります。他ブランドでは、ルイスポールセンの「PHアーティチョーク」や「PH5」、インゴ・マウラーの「Zettel'z」なども、デザイナーズ照明の名作として比較されることが多い作品です。各商品の詳細は当サイトの照明カテゴリページをご覧ください。