このページについて

Up 5 & 6 は、ガエターノ・ペッシェが1969年に設計しB&B イタリアが製造する椅子とオットマンの組である。成形したポリウレタンのフォームを伸縮する布で覆う。フレームを持たず、素材そのものが形をつくる。両者はコードでつながる。

このページでは、正規品の仕様と識別、寸法と設置の条件、フレームを持たない構造がもたらす座り心地と手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。

正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材

Up 5 & 6は、1966年にピエロ・アンブロージョ・ブスネリがチェーザレ・カッシーナとともに設立したC&B Italia(1973年よりB&B Italia)が製造するラウンジチェア&オットマンである。Up 5 & 6は1969年の初版(C&B Italia、1973年まで)、1990年代の再生産版(B&B Italia、Bayfit®ポリウレタンフォーム採用。現行の「セリエ・アップ 2000」に連なる)、2019年の50周年記念版(Up 50)、2022年のコンパッソ・ドーロ記念限定版と、複数のエディションが存在する。

正式名称 Up 5 & 6(別名:Donna / La Mamma / Big Mama)
製造 1970年から1973年まで製造され、2000年に再生産が始まった。現在はB&B イタリアによる
素材(現行版) 冷発泡で成形したポリウレタンのフォーム。伸縮する布で覆い、底面は麻布による。Up 5 と Up 6 はナイロンのコードでつながる
サイズ(Up 5) 幅1,200 × 奥行1,300 × 高さ1,030mm、座面高420mm
サイズ(Up 6) 直径570 × 高さ570mm
バリエーション 標準の色のほか、記念の仕様や小型の仕様が展開されることがある。扱われる仕様は時期によって変わる
参考価格帯 B&B イタリアは公式サイトで価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。仕様と張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける
収蔵 MoMA Up 5 ラウンジチェア with Up 6 オットマン(1969年) 収蔵番号 124.1992.a-b

製造の経緯と現行品

1969年の初版は、成形したポリウレタンのフォームを伸縮する布で覆い、真空パックにより圧縮して平らな円盤の形で出荷した。開封して空気に触れると、時間をかけて本来の形へ膨らむ。

この方式は製造にフロンガスを用いていたため、1973年に生産が終了した。2000年に再生産が始まった際は、フロンガスを用いない冷発泡の方式に改められている。

現行品は圧縮した状態では出荷されない。購入時の梱包と搬入の条件は、初版とは異なる。

正規品とライセンスを受けていない製品の違い

権利者のライセンスを受けていない同型の製品が流通している。公表されている情報から確認できる差を整理する。仕様が公表されていない項目は「公表なし」と記し、推測では埋めていない。

公表されている仕様

B&B イタリアは、冷発泡で成形したポリウレタンのフォームであること、伸縮する布で覆うこと、底面が麻布であること、Up 5 と Up 6 がナイロンのコードでつながること、寸法を公表している。

ライセンスを受けていない製品では、これらの仕様が公表されていない場合が多い。フォームの密度は座ったときの沈み方に現れる。フレームを持たない構造のため、フォームの質がそのまま座り心地を決める。

比較項目 正規品(B&B イタリア) ライセンスを受けていない製品
フォーム 冷発泡で成形(公表) 公表なし
張り地 伸縮する布(公表) 公表なし
底面 麻布(公表) 公表なし
寸法 Up 5:幅1,200×奥行1,300×高さ1,030mm(公表) 公表なし
メーカー保証 対象 対象外

類似商品・競合との比較

身体を包む椅子は、包む素材と構造で分かれる。硬い殻で囲むか、柔らかい素材が沈んで受けるかによって、座り心地と手入れが変わる。

比較項目 Up 5 & 6 ボールチェア ウームチェア
構造 フレームを持たない 硬いシェル シェルと脚
身体の受け方 フォームが沈む シェル内のクッション シェル内のクッション
張り地の交換 できない(一体構造) できる場合がある できる場合がある
設置に要する寸法 幅1,200×奥行1,300mm 幅1,100×奥行970mm 製品による
付属 オットマンがコードでつながる なし 別売

選び分けの目安

柔らかさを求める場合
フレームを持たず、フォームが沈んで身体を受ける。硬いシェルの椅子とは座り心地が異なる。
設置場所が限られる場合
Up 5 は奥行1,300mm。オットマンを含めるとさらに範囲が要る。
張り地を替えたい場合
フォームと布が一体の構造のため、張り替えを前提としない。

使用感と設置条件

フレームを持たない構造

成形したフォームそのものが形をつくり、内部に骨組みを持たない。座るとフォーム全体が沈み、身体の形に沿う。

フォームの密度が座り心地を決める。硬い部材で支える椅子と異なり、荷重が分散して伝わる。

そのかわり、座る位置が偏ると、その箇所だけ先に潰れる。復元しなくなった場合の補修は難しい。

設置に要する寸法

Up 5 は幅1,200×奥行1,300×高さ1,030mm、座面高420mm。Up 6 は直径570×高さ570mm。

奥行1,300mmは、一般的なラウンジチェアより大きい。オットマンをコードでつないで使う場合、さらに前方へ範囲が要る。

フレームを持たないため、床に接する面が広い。柔らかい床材では、荷重が面で伝わる。

移動

脚やキャスターを持たない。位置を変える際は、本体を持ち上げるか押して滑らせることになる。底面は麻布で、引きずると床材によっては擦れる。

経年変化とメンテナンス

素材に起きること

ポリウレタンのフォームは経年で弾力が落ちる。座る位置が偏ると、その箇所だけ先に沈む。

伸縮する布は、フォームの動きに追従する。繰り返しの伸縮で、生地の織りが緩む箇所が出る。

布は日光で色が褪せる。フォームと一体の構造のため、部分的な交換ができない。

日常の手入れ

ふだん
掃除機のブラシ付きノズルで埃を吸う。凹凸のある形状のため、溝に埃が溜まる。
汚れ
布は取り外せない。染みが付いた場合の対処は取扱店に確認する。
座る位置
同じ箇所に荷重が集中しないよう、ときどき位置を変える。
置き場所
直射日光を避ける。布の色が褪せる。

どこで買うか

取扱店の調べ方

B&B イタリアは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。

注文の際に決めるのは色と仕様である。記念の仕様や小型の仕様が展開されることがあり、扱われる仕様は時期によって変わる。

実物を確認する

フォームの沈み方は、座ってみないと分からない。奥行1,300mmという寸法が設置場所に収まるかも、実測して確かめておく。

中古の流通

1970年から1973年までの個体と、2000年以降の再生産品が流通している。両者はフォームの製法が異なる。相場は年式と状態で幅があり、一定していない。

確認箇所は、フォームの復元性(座った跡が戻るか)、布の色褪せと織りの緩み、底面の麻布の状態である。フォームが復元しなくなった個体の補修は難しい。

購入前チェックリスト

  • 色と仕様(時期により展開が変わる)
  • 設置場所の寸法(Up 5 は幅1,200×奥行1,300mm。オットマンを含めるとさらに必要)
  • 張り地を交換できないこと
  • 脚やキャスターを持たないこと(移動は持ち上げるか滑らせる)
  • 床材(底面の麻布が擦れる場合がある)
  • 直射日光を避けられる位置か
  • 中古の場合、製造時期による製法の差とフォームの復元性

よくある質問

価格はどのくらいですか?
B&B イタリアは公式サイトで価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。仕様と張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
どこで購入できますか?
B&B イタリアの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。
圧縮された状態で届くと聞きました
1969年の初版は真空パックにより圧縮して平らな円盤の形で出荷し、開封して空気に触れると時間をかけて本来の形へ膨らむ方式でした。この方式は製造にフロンガスを用いていたため1973年に生産が終了し、2000年の再生産以降はフロンガスを用いない冷発泡の方式に改められています。現行品は圧縮した状態では出荷されません。
座り心地はどうですか?
成形したフォームそのものが形をつくり、内部に骨組みを持ちません。座るとフォーム全体が沈んで身体の形に沿います。硬い部材で支える椅子と異なり、荷重が分散して伝わります。
設置に必要な寸法を教えてください。
Up 5 は幅1,200×奥行1,300×高さ1,030mm、座面高420mm、Up 6 は直径570×高さ570mmです。奥行1,300mmは一般的なラウンジチェアより大きく、オットマンをコードでつないで使う場合はさらに前方へ範囲が必要です。
張り地は交換できますか?
フォームと布が一体の構造のため、張り替えを前提としません。染みが付いた場合の対処は取扱店にご確認ください。
収蔵されている美術館はありますか?
ニューヨーク近代美術館が収蔵しています(Up 5 Lounge Chair with Up 6 Ottoman、1969年、収蔵番号124.1992.a-b)。
手入れはどうすればよいですか?
掃除機のブラシ付きノズルで埃を吸います。凹凸のある形状のため溝に埃が溜まります。布は取り外せません。同じ箇所に荷重が集中しないよう、ときどき座る位置を変えてください。直射日光は布の色褪せを招くため避けてください。