ウフ チェアは、ジャン・ロワイエールが設計したアームチェアである。1954年のサロン・デ・ザール・メナジェで、オレンジのレップとグレーのベルベットを張った状態で発表された。ウフはフランス語で卵を意味し、丸みを帯びた背と肘掛けが体を包む形をとる。

ロワイエールの家具に共通する、有機的な量塊と厚い張りによって構成される。ポーラーベア ソファと組で取得されることが多い。

特徴・コンセプト

輪郭に直線がない。背もたれから肘掛けへ至る面が途切れずに回り込み、座面を囲う。この連続した面が、座ったときに背中と腕の双方を支える。囲われた内側には、別体のオーバルのクッションが落とし込まれる。

張りは厚く、詰め物の量そのものが形になっている。フレームを見せて構造を語るのではなく、覆われた塊として成立させるという方向である。木部が外に出るのは脚だけで、輪郭を決めているのは張りの側にある。

その脚は、円錐状に細く削り出した木を四本、外へ開いて取り付けたものである。オーク材を用いた個体が多い。厚い張りの塊を細い木部が受けるという対比が、この椅子の見え方を決めている。座面自体は低く、量塊が床の近くに置かれる。

張り地は個体差が大きい。1954年の発表時はオレンジのレップとグレーのベルベットだったが、ファーを張った個体も多く残っている。

背景

ロワイエールはパリを拠点とした室内装飾家・家具設計者で、1930年代から活動した。曲線的な造形と鮮やかな色使いを特徴とする。

同じ造形をとる作品にウルス・ポレール アームチェアがあり、実際に同じ室内のために組で作られることが多かった。

ロワイエールの家具は基本的に受注生産で、同じ型でも寸法や張り地が個体ごとに異なる。ウフにも複数の大きさがあり、大型のグラン・ウフ、標準型、背が高く細身の版、子供用が知られている。オークションでもグラン・ウフと標準型は区別して扱われる。このため現存品は状態も仕様も一様ではない。

1954年のサロン・デ・ザール・メナジェでは、黒い麦藁の寄木に赤と黄の線を入れたローテーブル「フラック」と組み合わせて展示された。このテーブルはのちにロワイエールの定番となる。

評価

フランスのミッドセンチュリーの家具としては、収集の対象として扱われる部類にあたる。ポーラーベア ソファとの組み合わせは、この分野では理想的な取得例とされる。

実務では、量感があるため床面積を要する。狭い部屋では圧迫感が出る。有機的な造形という点ではカマレオンダトーゴが比較対象になるが、いずれも量産品であり、受注生産とは前提が異なる。

基本情報

デザイナージャン・ロワイエール / Jean Royère
発表1954年(サロン・デ・ザール・メナジェ)
カテゴリーアームチェア
素材木製フレーム(脚はオークが多い)、詰め物、ファブリックまたはファー張り
名称の由来フランス語で「卵」
寸法個体差が大きい。グラン・ウフ/標準型/背高細身の版/子供用が知られる
生産形態受注生産(個体ごとに寸法・張り地が異なる)
関連作品ポーラーベア ソファ(ウルス・ポレール)