概要
ジャン・ロワイエール(1902-1981)は、フランスの室内装飾家である。1931年に家具の設計を始め、1942年にパリで事務所を構えた。工場を持たず、施主ごとに図面を起こして外部の工房へ製作を委託する体制をとった。曲線の骨組みに厚い詰め物を巻く構成が特徴で、1947年のウルス・ポレールが知られる。
バイオグラフィー
1902年4月6日、パリに生まれた。当初は輸入業に従事し、設計の専門教育は受けていない。
1931年、家具の製作所で働き始めた。1934年にパリのカフェの内装を手がけ、これが最初の主要な仕事にあたる。
1942年、パリのフォーブール・サン=トノレ通りに事務所を構えた。工場を持たず、施主ごとに図面を起こして外部の工房へ製作を委託する体制をとっている。
1950年代から60年代にかけて、中東と南米に事務所を開いた。エジプト、レバノン、イラン、ペルーなどで内装を手がけている。1980年にアメリカへ移り、1981年に没した。晩年に自身の記録をパリ装飾芸術美術館へ託している。
デザインの思想と方法
ロワイエールの仕事は、量産の製品を作ることではなく、施主ごとに室内を構成することだった。工場を持たないため、図面を起こして外部の工房へ委託する。同じ設計でも施主が変われば寸法も仕上げも変わる。
骨組みに詰め物を巻く
ウルス・ポレールの系列は、曲線の骨組みに厚い詰め物を巻き、布で覆う。骨組みは外から見えず、輪郭はすべて詰め物の量で決まる。角のない塊としての形になる。
細い部材と太い部材を対置する
照明や卓では、細い金属の枝と、球や円板を組み合わせる。枝は空間を分節し、球は光源や面を担う。太さの異なる部材を同じ製品に置くことで、輪郭に強弱が生まれる。
施主ごとに作り分ける
製作は外部の工房に委託される。図面は施主ごとに起こされ、寸法も布地も個別に決まる。同じ名称の家具でも個体差が大きい。
国外に事業を広げる
1950年代から60年代にかけて、中東と南米に事務所を開いた。現地の施主のために内装を手がけており、フランス国内にとどまらない活動になっている。
ジャン・ロワイエールの事業体について詳しくはジャン・ロワイエール ブランドページを、再製作についてはロワイエール ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
ウルス・ポレール(1947年)
曲線の骨組みに厚い詰め物を巻き、布で覆った長椅子である。骨組みは外から見えず、輪郭はすべて詰め物の量で決まる。名称は「白熊」を意味する。肘掛け椅子の版も作られた。→ウルス・ポレール アームチェア / ポーラーベアソファ
ウフ(卵)チェア
楕円の座面と背を持つ椅子である。詰め物で輪郭をつくる構成をとる。→ウフ チェア
照明の系列
細い金属の枝と球を組み合わせた照明である。枝が空間を分節し、球が光源を担う。太さの異なる部材を同じ製品に置くことで、輪郭に強弱が生まれる。
内装の設計
住宅、店舗、大使館の内装を手がけた。家具、照明、什器を含めて室内を構成し、既製品で足りない部分は自ら設計している。
国外での活動(1950-60年代)
中東と南米に事務所を開き、エジプト、レバノン、イラン、ペルーなどで内装を手がけた。現地の施主のための設計にあたる。
評価と影響
ロワイエールは一般に、20世紀中期のフランスの室内装飾を代表する人物と評価されている。工場を持たず、施主ごとに図面を起こして外部の工房へ委託するという体制が、その仕事の性格を決めている。
生前は主に施主向けの仕事であり、量産の製品は残していない。1980年代以降に中古市場での評価が高まり、近年は再製作も行われている。
晩年に自身の記録をパリ装飾芸術美術館へ託した。同館は関連する資料を所蔵しているが、収蔵の詳細は4館のAPIでは照合できない。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。
- V&A 家具(1948年) 収蔵番号 W.28:1 to 7-1984
MoMA、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。パリ装飾芸術美術館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1934年 | 内装 | カフェの内装 | パリ、フランス |
| 1947年 | ソファ | ポーラーベアソファ | Royère(再製作) |
| 1947年 | 椅子 | ウルス・ポレール アームチェア | Royère(再製作) |
| 1940-50年代 | 椅子 | ウフ チェア | Jean Royère |
| 1940-60年代 | 照明 | 照明の系列 | Jean Royère |
| 1940-70年代 | 内装 | 住宅・店舗・大使館の内装 | フランス、中東、南米 |
プロフィール
| 生没年 | 1902年4月6日〜1981年 |
|---|---|
| 出身地 | フランス・パリ |
| 国籍 | フランス |
| 活動拠点 | パリ、中東、南米 |
| 分野 | 家具、照明、インテリア |
| 主な協働ブランド | Jean Royère、Royère(再製作) |
Reference
- Royère
- https://www.royere.com/
- Musée des Arts Décoratifs, Paris
- https://madparis.fr/en
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/