概要

ポーラーベアソファ(Ours Polaire)は、ジャン・ロワイエールが1947年に設計したソファである。曲げ木のブナ材フレームをフォームと張り地で完全に覆い、構造を外に見せない。1949年にパリで公開された。

特徴・コンセプト

フレームを覆い切る

輪郭は曲げ木のブナ材フレームによる。通常の張り椅子では木部の一部が外に現れ、そこで輪郭が区切られる。フレームを完全に覆えば、木の直線が輪郭に現れない。曲面だけで外形が構成される。

フォームを層状に重ねて量塊をつくる。座面と背もたれの境も張り地で連続するため、区切りが生じない。脚は5本の円筒形オーク材で、本体の輪郭より内側に配される。外周が張り出すぶん、脚は正面から見えにくい。

起毛した張り地を選ぶ

張り地にはウールまたはモヘアのベルベットが用いられる。起毛した表面は光を拡散するため、曲面の陰影が緩やかに移り変わる。名称は白い張り地の仕様に由来するが、複数の色で製作された。

構造を見せない立場

ロワイエールはバウハウスの機能主義とは異なる立場をとった。構造を見せずに量塊だけで形をつくるため、部材の配置から形を導く方向とは前提が逆になる。表面に模様や縫い目の装飾を加えない点では、装飾を排する方向とも重なる。

エピソード

自室のための一脚から

1947年、ロワイエールはパリのフォーブール・サントノレ通り234番地にある母親のアパルトマンを改装した。このソファは、そのうち自身の居室のために設計されたものである。

1949年、パリで開かれた展覧会で公開された。1950年代以降、ロワイエールの室内装飾の仕事で繰り返し用いられている。

受注による製作

ソファ単体、肘掛け椅子2脚、あるいはその組み合わせを注文できた。量産の体制をとらず、受注ごとに製作する形式である。

製作は1967年までにとどまる。以後、正規の復刻は行われていない。

評価と影響

構造を覆って量塊だけで形をつくる構成は、トーゴがフレームを持たずフォームの密度配分で強度を得るのと近い方向にある。あちらは縫い目で膨らみの単位を決めるが、ポーラーベアは張り地を連続させて区切りを設けない。

現在流通するのは製作当時の個体に限られる。

基本情報

デザイナー ジャン・ロワイエール
発表年 1947年(公開は1949年)
デザインの成立国 フランス
製作期間 1947年から1967年まで
主要素材 曲げ木のブナ材フレーム、フォーム、ウールまたはモヘアのベルベット、オーク材の脚
サイズ 幅2,300〜2,400 × 奥行1,300〜1,380 × 高さ780mm(個体により異なる)
生産 正規の復刻は行われていない