モンツァチェアは、ドイツ出身の工業デザイナー、コンスタンティン・グルチッチが2009年にイタリアの家具メーカー、Plank社のために設計したアームチェアである。天然木のフレームと、射出成形ポリプロピレン製の背もたれ・アームレストを組み合わせ、木工と現代の工業生産技術という二つの要素を一脚のなかで結びつけている。
その名称はイタリアのモンツァに由来し、背もたれが描く曲線はサーキットのカーブを思わせる。木のフレームの直線的な造形と、ポリプロピレンの流れるような曲線との対比が、この椅子の性格を決めている。
特徴・コンセプト
モンツァチェアは、Plank社の木工の伝統と現代の工業デザインを一脚のなかで両立させることを意図している。
木製フレームと射出成形の背もたれ
グルチッチによれば、モンツァチェアの木製フレームは北欧に起源を持つ椅子の類型を参照している。アッシュ材、オーク材、あるいはウォールナット材から成る脚と座面は、明快で直線的な造形を持ち、手仕事による仕上げが施される。
本作の特徴的な要素は、射出成形ポリプロピレンによる一体型の背もたれ・アームレストである。四本の脚の上端に接合されるこの部材は、着座者の背中から両腕にかけて曲線を描き、椅子の構造を担うと同時に、座り心地と色彩をもたらす。射出成形という製造方法は、こうした三次元の曲線を効率的かつ高い精度で実現することを可能にしている。
機能性と汎用性
モンツァチェアはスタッキングに対応し、収納や移動の効率にも配慮されている。セミナー室や会議室での使用を想定し、椅子同士を連結するリンキングデバイスや、書類・小物を置くための浅いトレイを組み込んだオプションも用意される。屋外使用に対応したイロコ材フレームのアウトドアバージョンも展開されており、住宅からオフィス、公共空間、レストランまで幅広い環境に用いられている。
展開とバリエーション
モンツァチェアは、グルチッチとPlank社の協働作品として、MIURAスツール、MYTOチェアに続いて発表された。2017年にはアームレストを短くし、ポリウレタンフォーム製のクッションシートを備えたモンツァ・ビストロチェアが加わった。2024年には発表から15周年に合わせて、新たな木製フレームと張り地付きの座面を備えたモンツァ・アームチェア・ソフトが登場している。
評価と収蔵
モンツァチェアは、アメリカのシカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)とデンバー美術館(Denver Art Museum)のコレクションに収蔵されている。デンバー美術館は本作について、グルチッチの作品に見られるミニマリズムを示す例として紹介し、素材がその性質に即して率直に扱われている点を挙げている。手仕事による木のフレームは直線的で、ポリプロピレンの背もたれ・アームレストは射出成形に適した曲線を描く、という素材と製造方法の対応関係である。
基本情報
| デザイナー | コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic) |
|---|---|
| 発表年 | 2009年 |
| メーカー | Plank Collezioni Srl(イタリア) |
| 素材 | アッシュ材/オーク材/ウォールナット材(フレーム)、射出成形ポリプロピレン(背もたれ・アームレスト) |
| 寸法 | 幅約53cm × 奥行約51cm × 高さ約76cm |
| カラー | フレーム:ナチュラル、ブラックステイン、ホワイトステインなど 背もたれ:ブラック、ホワイト、トラフィックレッド、ワインレッド、ライトブルー、イエローグリーン、カフェラテ、キャラメル、テラブラウンなど |
| スタッキング | 可能 |
| バリエーション | インドア、アウトドア(イロコ材)、モンツァ・ビストロ、モンツァ・アームチェア・ソフト |
| 主な収蔵先 | シカゴ美術館、デンバー美術館 |