概要
Chair_Oneは、コンスタンティン・グルチッチが設計し、マジスが2004年に発表したチェアである。大小の三角形と四角形の面を角度をつけて組み合わせ、立体をつくる。ダイキャストのアルミニウムによる一体成形で、グルチッチとマジスにとって最初の協働にあたる。名称の「One」もこれに由来する。
特徴・コンセプト
面を組んで立体にする
グルチッチはこの成り立ちをサッカーボールになぞらえている。曲面を連続して成形するのではなく、平らな面の集まりで身体を受ける形をつくる方法である。強度が必要な箇所は密な格子状に、そうでない部分は開いた構造とすることで、材料を必要な位置だけに置いている。
溶けたアルミニウムが型のなかを流れる経路そのものが、この形の骨格になっている。ダイキャストで大型の一体部品をつくるには、材料が隅々まで行き渡る経路を設計する必要があり、網目状の構成はその条件への答えでもある。
格子が身体を受ける
幾何学的な外観だが、格子は身体を受ける形につくられている。背もたれの部分では立ち上がり、座面の短辺では側面を支えるために折り上げられる。屋内用には布製または革製のクッション、屋外用にはポリウレタン製のクッションがオプションで用意される。
素材と屋外での使用
シートはダイキャストアルミニウムにポリエステルの粉体塗装で仕上げられる。脚部はアルミニウムの押出材で、アルマイト仕上げまたは粉体塗装が選べる。金属でありながら軽く、屋外でも使える。積み重ねもできる。
エピソード
Chair_Oneの実現には数年の開発期間を要した。ダイキャストアルミニウムによる一体成形のシート製造には、大規模で技術的に複雑な金型が必要であった。家具製造においてダイキャスト自体は新しい技術ではなかったが、この規模と構造的な意図をもって用いられた例は多くない。開発では紙を編んだ模型、物理モデル、デジタルレンダリング、コンピューターシミュレーションを併用し、格子状の構造が必要な強度をもたらすことを確かめながら調整が重ねられた。
グルチッチは、ダイキャストアルミニウムを使う機会を得てその可能性を試すことにしたと振り返っている。
評価と影響
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、グルチッチがこの椅子で、鉱物の面の割れ方やフラクタルに通じる造形の語彙を現代の家具に持ち込んだと評している。1950年代から1960年代にハリー・ベルトイアやチャールズ&レイ・イームズが手がけたワイヤーの椅子を想起させながら、ワイヤーではなくダイキャストの原理を用いる点で異なる出自を持つ。
明快な輪郭は展開しやすく、発表後にさまざまな型が生まれた。屋外向けのチェア ワン コンクリート ベース、3脚を中央のクロスバーで連結したベンチ、同じ幾何を用いた3本脚のスツール、ダイニングテーブルやビストロテーブルなどである。シリーズ全体の構成については チェアワン ファミリー にまとめている。
美術館コレクション
シカゴ美術館は、Chair_Oneを収蔵番号2007.57で建築・デザイン部門に登録している。
コンスタンティン・グルチッチの設計思想や経歴について詳しくはコンスタンティン・グルチッチプロフィールページをご覧ください。
マジスの歴史や他の製品について詳しくはマジスブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | チェアワン / Chair_One |
|---|---|
| デザイナー | コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic) |
| ブランド | マジス(Magis) |
| 発表年 | 2004年 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | チェア |
| 主要素材 | シート:ダイキャストアルミニウム(ポリエステル粉体塗装)/脚部:アルミニウム押出材(アルマイトまたは粉体塗装) |
| 機能 | スタッキング可、屋外使用可 |
| オプション | クッション(屋内用ファブリック・レザー/屋外用ポリウレタン) |
| 収蔵 | シカゴ美術館(2007.57) |
Reference
- Chair_One | The Art Institute of Chicago
- https://www.artic.edu/artworks/2007.57