概要
ベオグラム4000は、バング・オルフセンが1972年に発売したレコードプレーヤーである。デザインはヤコブ・イェンセン。2本のアームを電子制御で直線移動させるタンジェンシャル・トラッキングを備え、この方式を採った同社最初の製品にあたる。
特徴とコンセプト
2本のアーム
アームは2本ある。右側がピックアップを支え、左側の先端には下向きの光源とセンサーが付く。センサーはプラッター上の放射状の目盛りを読み、2本のアームの間隔が既知であることを利用して盤の直径を判定する。
盤が置かれていない状態で始動しても、センサーが何も見つけずに戻って停止するため、針が直接プラッターに降りることがない。判定した直径から回転数も自動で設定され、規格外の盤には手動で切り替えられる。
直線移動するアーム
2本のアームは電子式のアナログサーボで制御され、盤に対して一定の角度を保ったまま直線的に移動する。原盤をカッティングした際のカッターと同じ角度で溝をたどることになる。
弧を描く必要がないぶん、アームは短く剛性の高いものにできる。ダイナミックバランスの採用でカウンターウェイトが不要になり、支点の位置を最適化する構成とあわせて、アームはさらに短くまとめられている。
操作面と防振
操作部は平滑なアルミの面で、その下に置いた回路が動作の順序を組み立てる。当時のレコードプレーヤーの多くがレバーと機械的なリンクで動いていたなかで、面を押すだけの操作系は外観の単純さと両立していた。
中心軸受、アームとその駆動部は、ダイキャストのサブシャシーにまとめられ、板バネから吊った鋼線で本体から浮かせてある。スピーカーの振動や床からの揺れを遮断するこの吊り構造は特許を取得し、以後のベオグラムに引き継がれた。
成立の経緯
イェンセンは技術者K・G・ツォイテンとともに実物大の動作模型を作り、バング・オルフセンに提示した。2本のアームを平行に並べ、一方をピックアップに、他方を盤の直径を読む光学装置にあてる構成はこの段階で固まっており、製品化にあたって変更は加えられなかったとされる。ツォイテンはデンマークの航空機設計に携わった人物で、同じくイェンセンが手がけた ベオリット600 ポータブルラジオ の選局機構にも関与している。
プラッターはベルト駆動で、電子制御のサーボモーターが回す。アイドラー駆動と誘導モーターがまだ一般的だった時期の構成である。専用のピックアップとしてSP15が開発された。
1974年からは、内部を簡素化した ベオグラム4002 レコードプレーヤー に置き換えられていく。両者の違いは ベオグラム4000シリーズ にまとめている。
評価と影響
2020年、バング・オルフセンは創業95周年にあわせ、ベオグラム4000を再生した限定版を95台のみ製作している。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。製造元からの寄贈にあたる。同館の記録では素材はローズウッド、アルミニウム、ステンレススチール、プラスチックとされる。
- MoMA ベオグラム4000 レコードプレーヤー(1972年) 収蔵番号 195.1973
ヤコブ・イェンセンの設計思想や経歴について詳しくはヤコブ・イェンセンプロフィールページをご覧ください。
バング&オルフセンの歴史や他の製品について詳しくはバング&オルフセンブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ベオグラム4000(Beogram 4000) |
|---|---|
| デザイナー | ヤコブ・イェンセン |
| 発売年 | 1972年 |
| ブランド | バング・オルフセン |
| デザイン発祥地 | デンマーク |
| 型番 | 5215 |
| 生産期間 | 1972年〜1975年 |
| 仕上げ | ローズウッド、チーク |
| サイズ | 幅49cm × 奥行38cm × 高さ10cm |
| 重量 | 12kg |
| 駆動 | ベルトドライブ、電子制御の同期モーター |
| 回転数 | 33回転/45回転 |
| カートリッジ | SP 15 |