概要
Chair_One コンクリートベースは、コンスタンティン・グルチッチが設計しマジスが製造する椅子「Chair_One」のうち、円錐形のコンクリート製ベースを組み合わせた仕様である。ダイキャストのアルミニウムによる網目状のシートを、重量のあるベースが受ける。屋外での安定と、持ち去りにくさの両方を担う構成になっている。
特徴・コンセプト
面を角度で組む
シートは、大小の三角形と四角形の面を角度をつけて組み合わせ、立体をつくる。グルチッチはこの成り立ちをサッカーボールになぞらえている。曲面を連続して成形するのではなく、平らな面の集まりで身体を受ける形をつくる方法である。
面と面のあいだは開いており、全体は籠のような網目になる。材料は力のかかる位置に集め、そうでない位置は空ける。溶けたアルミニウムが型のなかを流れる経路そのものが、この形の骨格になっている。
コンクリートのベース
円錐形のコンクリートベースは、重量によって椅子全体の重心を下げる。屋外では風を受けても倒れにくくなり、公共の場所では容易に持ち去れなくなる。網目状の軽いシートと、質量のあるベースという組み合わせが、そのまま見え方の対比にもなっている。
ダイキャストで椅子をつくる
ダイキャストは通常、小さな部品の製造に用いられる工法である。Chair_Oneは、シート全体を単一のダイキャスト部品として成形した。型に樹脂や金属を流し込んで大きな一体物をつくるには、材料が隅々まで行き渡る経路を設計する必要がある。網目状の構成は、意匠であると同時にこの条件への答えでもある。表面には粉体塗装が施され、屋外での使用に対応する。
エピソード
Chair_Oneは、グルチッチとマジスの創業者エウジェニオ・ペラッツァとの協働から生まれた。グルチッチは当時まだ若手であり、ダイキャストアルミニウムを使う機会を得てその可能性を試すことにしたと振り返っている。開発には数年を要し、紙を編んだ模型から始まり、物理的なモデル、3Dのコンピュータモデル、シミュレーションを重ねて細部が決められた。
コンクリートベースの仕様は、4本脚のChair_Oneに続いて展開されたものである。屋外に置く際の安定と盗難への対応という実用上の課題から生まれた。
評価と影響
Chair_Oneのファミリーは、スツール、ダイニングテーブル、ビストロテーブル、連結したベンチへと広がっている。いずれも同じ幾何学的な構成を共有する。20世紀半ばのワイヤーを用いた椅子の系譜に位置づけて語られることがあるが、ダイキャストアルミニウムという工法と素材の点では異なる出自を持つ。
美術館コレクション
シカゴ美術館は、Chair_Oneを収蔵番号2007.57で建築・デザイン部門に登録している。
コンスタンティン・グルチッチの設計思想や経歴について詳しくはコンスタンティン・グルチッチプロフィールページをご覧ください。
マジスの歴史や他の製品について詳しくはマジスブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | Chair_One コンクリートベース / Chair_One Concrete Base |
|---|---|
| デザイナー | コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic) |
| ブランド | マジス(Magis) |
| 発表年 | 2004年 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | アウトドアチェア |
| 主要素材 | シート:ダイキャストアルミニウム(粉体塗装)/ベース:コンクリート |
| ベース | 円錐形。屋外での安定と持ち去りにくさを兼ねる |
| 屋外使用 | 可 |
Reference
- Chair_One | The Art Institute of Chicago
- https://www.artic.edu/artworks/2007.57