ベオサウンド バランス / Beosound Balance

Beosound Balanceは、デンマークの高級オーディオブランドBang & Olufsenが2020年に発表したワイヤレスホームスピーカーである。英国のデザインスタジオLAYERの創設者ベンジャミン・ヒューバートとの協働によって生み出されたこの製品は、スカンディナヴィアン・ミニマリズムの美学と最先端の音響技術を一つの彫刻的なフォルムに統合した製品として、高い評価を受けている。

無垢のオーク材やニットテキスタイル、精密加工されたアルミニウムといった上質な素材を纏うその姿は、一見するとスピーカーとは思えない端正なインテリアオブジェのようでありながら、7基のスピーカードライバーとビームフォーミング技術によって、広大な空間を豊かなサウンドで満たす実力を秘めている。「テクノロジーを柔らかくする」というヒューバートのデザイン哲学と、Bang & Olufsenの音響技術が結びついた製品である。

概要

Beosound Balanceは、インテリアオブジェとしての美しさと高性能なオーディオ体験の両立を追求して開発されたシェルフ置き型ワイヤレススピーカーである。Bang & OlufsenのフラッグシップモデルであるBeolabシリーズから継承したサウンドディレクティビティ技術を、コンパクトな筐体に初めて搭載した「フレキシブルリビング」カテゴリの製品として、2020年3月に世界同時発売された。

本体は上下二つのパートで明確に構成されている。下部には無垢のオーク材(またはマーブル、アルミニウム)を贅沢に用いたベースが置かれ、上部には筒状のニットテキスタイルに包まれたスピーカーユニットが載る。両者を分かつのは、フィボナッチ数列のパターンに基づいて精密に配列された穴を持つアルミニウムグリルであり、これはウーファーの音響拡散と放熱という二つの機能を同時に担う合理的な構造となっている。

音響設計においては、5¼インチ・ウーファー2基、3インチ・フルレンジ2基、2インチ・フルレンジ2基、¾インチ・ツイーター1基の計7基のドライバーユニットを搭載し、総出力850WのクラスDアンプが駆動する。この構成により、部屋全体をサウンドで満たす全指向モードと、特定の方向に音を集中させる指向制御モードの切り替えが可能となっている。

特徴・コンセプト

暮らしに溶け込むデザイン

Beosound Balanceは、オーディオ機器としての存在感を主張するのではなく、陶磁器や木工品のように暮らしのなかへ自然に溶け込むことを目指して設計された。円柱と球体を基調とする普遍的な幾何学のフォルムは、Bang & Olufsenの製品に通底する明快なシルエットの系譜を受け継ぎ、触れる体験・音響性能・家具としての佇まいの三つを両立させている。

素材へのこだわり

素材選定においては、クラフツマンシップと品質が重視されている。無垢のオーク材、シームレスに編まれたニットテキスタイル、精密加工されたアルミニウムコンポーネントは、いずれもBang & Olufsenの製品に共通して用いられてきた素材である。

ベースに用いられるオーク材はずっしりとした重量感と温かみのある視覚的存在感を兼ね備え、音響特性にも優れた素材として選ばれた。上位モデルに設定されたホワイトマーブル仕様では天然の大理石が用いられ、さらなる高級感と卓越した音響制振性を実現している。

先進の音響技術

Beosound Balanceの音響設計の核心は、Bang & Olufsenのフラッグシップスピーカーから継承されたビームフォーミング技術にある。この技術により、部屋全体に均一に音を行き渡らせる全指向モードと、リスナーの位置に向けて音像を集中させる指向制御モードを、ユーザーの好みに応じて自在に切り替えることが可能となる。

さらに、Active Room Compensation(アクティブ・ルーム・コンペンセーション)機能を搭載しており、内蔵マイクによって設置環境の音響特性を自動的に分析し、反射音の測定結果に基づいたデジタルフィルターを適用することで、どのような部屋でも最適な音響体験を提供する。

近接センサーによるタッチインターフェースも本機の特徴的な要素である。ユーザーが近づくと本体上部の操作パネルが光り輝き、離れると再び消灯してアルミニウムの美しい表面のみを残す。テクノロジーが必要なときだけ姿を現し、それ以外では静かに佇む設計となっている。

接続性とスマート機能

ストリーミングサービスとの親和性にも優れ、Apple AirPlay 2、Google Chromecast built-in、Spotify Connect、TIDAL Connect、Bluetooth 5.0に対応している。Google アシスタントによる音声操作にも対応し(対応バージョンの場合)、ハンズフリーでの音楽再生やスマートホーム機器の制御が可能である。また、Beolink Multiroomシステムに対応し、他のBang & Olufsen製コネクテッドスピーカーとのマルチルーム再生を実現する。2台のBeosound Balanceをペアリングすることで、ステレオリスニング体験も楽しむことができる。

エピソード

名前に込められた二重の意味

「Balance」という名称には二つの含意がある。一つは、オーク材のベースとテキスタイルに包まれた上部構造体という、視覚的に異なる二つの要素が一つの形態の中で均衡を保つ造形的な「バランス」。もう一つは、全指向サウンドと指向制御サウンドという異なる音響体験をコンパクトなパッケージの中で両立させる音響的な「バランス」である。デザインと機能の両面での均衡が、製品名の由来となっている。

フィボナッチ数列に基づくグリルパターン

本体中央部のアルミニウムグリルに配された無数の小孔は、自然界に広く見られるフィボナッチ数列のパターンに基づいて配置されている。この数学的に美しいパターンは、音響的な透過性を最適化すると同時に、アンプの発熱を効率的に放出する通気孔としても機能する。自然の摂理に根ざした幾何学が、機能美と造形美を一体とする好例となっている。

トーンマイスターの耳による調整

Bang & Olufsenの音づくりにおいて欠かせない存在が、社内に在籍するトーンマイスターである。Beosound Balanceの開発においても、トーンマイスターが実際に音楽を再生しながら何ヶ月にもわたって設計の微調整を重ね、数値では測りきれない人間の感性に基づくチューニングが施された。この手法は同社の最高級スピーカーや自動車向けオーディオにも用いられており、Beosound Balanceの音づくりにも活かされている。

評価

Beosound Balanceは、コンパクトな筐体ながら豊かな音場を再現する点で、オーディオ専門メディアとデザインメディアの双方から高い評価を得ている。単体スピーカーとしては広いサウンドステージを実現している点が特に評価されており、デザイン性と音響品質の双方を重視するユーザーに適した選択肢とされている。

デザイン面では、スカンディナヴィアン・ミニマリズムに根ざした造形が、あらゆる現代的なインテリア空間に調和する普遍的な美しさを持つと評されている。テクノロジー製品でありながら、ランプや花瓶のような日用の美的オブジェとしても成立するその佇まいは、オーディオ機器の在り方に対する新たな提案として広く認められている。

一方で価格は高めに設定されており、デザインと音響体験の双方に価値を見出せるかが購入判断のポイントとなる。

基本情報

正式名称 ベオサウンド バランス / Beosound Balance
デザイナー Benjamin Hubert(LAYER)/ イギリス
発表年 2020年
ブランド Bang & Olufsen(デンマーク)
分類 デザイン家電(ワイヤレスホームスピーカー)
スピーカー構成 5¼インチ ウーファー×2、3インチ フルレンジ×2、2インチ フルレンジ×2、¾インチ ツイーター×1(計7基)
アンプ出力 総出力 850W(Class D)
再生周波数帯域 26 – 23,000 Hz
最大音圧レベル 104 dB SPL(1m)
推奨部屋サイズ 10〜80 m²
主要素材 アルミニウム / オーク材(またはマーブル) / ニットテキスタイル / ポリマー
寸法 W200 × D200 × H380 mm
重量 約7.2 kg(カラーバリエーションにより異なる)
カラーバリエーション Natural Oak / Black Oak / White Marble / Natural Aluminum
ワイヤレス接続 Wi-Fi(802.11 b/g/n/ac、2.4GHz & 5GHz)、Bluetooth 5.0
対応ストリーミング Apple AirPlay 2 / Google Chromecast built-in / Spotify Connect / TIDAL Connect / Deezer / B&O Radio
音声アシスタント Google アシスタント対応(対応バージョン)
端子 ライン入力/光デジタル兼用×1、Ethernet×2、USB Type-C×1
消費電力 通常時: 100W / 待機時: 4.5W
参考価格(税込目安) ¥450,000〜¥550,000(カラーにより異なる)