ベンジャミン・ヒューバート:人間中心のデザインで未来を形作る革新者
バイオグラフィー
ベンジャミン・ヒューバート(Benjamin Hubert)は、1984年3月11日、イギリスに生まれた。若くして頭角を現した産業デザイナーであり、現代デザイン界における最も影響力のある人物の一人として知られている。
彼のデザイナーとしての道は、イギリス中部のラフバラー大学において産業デザインとテクノロジーを学ぶことから始まった。2006年、優秀な成績で卒業した後、イギリス国内の複数のデザインエージェンシーで経験を積む。この時期の実務経験は、彼の多面的なデザインアプローチの基礎を形成することとなった。
2007年、わずか23歳という若さでロンドンにBenjamin Hubert Design Studioを設立。ヨーロッパとアジアの国際的な製造業者との協働のもと、家具と照明デザインに焦点を当てたスタジオとして活動を開始した。当初より、彼は素材と製造プロセスの可能性を徹底的に探求し、挑戦することを信条としていた。職人、モデル工房、製造業者との緊密なネットワークとの協働は、彼とチームにとって直接的なインスピレーションの源となった。
2015年、重要な転換期を迎える。自身の名を冠したスタジオから、より包括的で多層的なアプローチを体現する「Layer」へとブランドを転換したのである。この決断は、単なる名称変更ではなく、デザインに対する彼の哲学の進化を象徴するものであった。Layerは、産業デザイン、ブランディング、デジタルデザイン、インタラクションデザイン、UX/UIデザイン、機械・電子工学など、多様な専門領域を統合したホリスティックなデザインアプローチを確立した。個人の名声よりも、チームの民主的な協働と情熱を重視する組織として、約30名の創造的なチームを維持しながら成長を続けている。
Layerの設立以来、彼のスタジオは、Nike、Samsung、Bang & Olufsen、Airbus、Braun、Google、BMW、Herman Miller、Panasonic、Fritz Hansenなど、世界を代表するブランドとの協働を実現してきた。家具システムからウェアラブルデバイス、モビリティソリューション、ホームエレクトロニクス、そして公共インスタレーションに至るまで、その活動領域は極めて広範である。
2025年、Layerの設立10周年を記念して、ミラノデザインウィーク期間中に10 Corso Comoにて「101010」展を開催。気候変動、都市化、水へのアクセスといった現代社会が直面する重要な課題に対するデザインソリューションの提案を行い、デザインの社会的責任についての彼の深い洞察を示した。
デザインの思想とアプローチ
ベンジャミン・ヒューバートのデザイン哲学は、「人間中心の体験駆動型デザイン」という言葉に集約される。彼は自身の創造的動機について、「私がデザイナーになったのは、問題を解決することが好きだからです。デザインの核心は、創造的な問題解決にあります。課題を検証し、不満を特定し、それらを新しい機会へと再構築することなのです」と語っている。
人間の行動と体験への深い洞察
彼のデザインプロセスは常に、人々の実際の生活様式の観察から始まる。「私たちは常に人々がどのように生活しているかを考えることから始めます。私たちに影響を与えるマクロとミクロのトレンドについて思考するのです」と彼は述べる。この姿勢は、単なる市場調査を超えた、人間の行動パターン、文化的儀式、未来の生活様式への深い洞察に基づいている。
素材とプロセスの探求
ヒューバートは、新しい素材と製造技術への飽くなき探求心で知られている。彼のスタジオには膨大な素材ライブラリが存在し、各プロジェクトにおいて、素材の特性と可能性を徹底的に検証する。CNCミリング、3Dプリンティング、デジタルニッティング技術など、最先端の製造技術を積極的に採用しながらも、伝統的な職人技との融合を重視する。彼のアプローチは、技術のための技術ではなく、より良い体験を実現するための手段として技術を活用することにある。
持続可能性への深い配慮
Layerの実践において、持続可能性は表面的な概念ではなく、核心的な価値である。リサイクルアルミニウム、リサイクル木材繊維、リサイクルナイロン、海洋廃棄プラスチックなどの再生素材の積極的な採用、モジュラー設計による製品寿命の延長、修理可能な構造の実現など、多角的なアプローチで環境負荷の低減に取り組んでいる。「デザインは多くの人々のためにあるべきです」という彼の信念は、民主的なデザインと、より手頃で必要とされるものへの投資という未来へのビジョンにつながっている。
「ソフトテック」の提唱
ヒューバートは、テクノロジー製品が単に技術を表現するのではなく、使用者の生活と空間の自然な延長となるべきだという「ソフトテック」の概念を提唱している。「テクノロジーは幸福を可能にすべきですが、必ずしもそれ自体が表現である必要はありません」という彼の言葉は、Bang & Olufsenとの協働において具現化されている。技術製品を美しい陶器や精巧に作られた木材のような、家庭に存在する美的対象として捉え直す試みは、現代デザインにおける重要な方向性を示している。
タイムレスさへの追求
一時的なトレンドを追うのではなく、時間の試練に耐えるデザインの創造が、ヒューバートの一貫した目標である。「私たちが信じるのは、製品はタイムレスであるべきだということです。非常に高い知覚価値を持ち、日常的な使用に適し、喜びをもたらすものであるべきです」。この哲学は、純粋な幾何学形態の使用、視覚的な簡潔さのプロセス、そして誠実な素材の選択に表れている。彼のデザインは、一見してシンプルでありながら、詳細な検討と何度もの反復を経て洗練されたものである。
社会的デザインへのコミットメント
ヒューバートは、デザイナーが社会的責任を果たすべきだと強く信じている。彼のスタジオでは、従業員の時間の20%を非営利プロジェクトの開発に充てている。がんチャリティMaggie'sのための募金箱のデザインは、その象徴的な例である。頭を下げて感謝の意を表すような身体の形状を持つこの募金箱は、機能を超えた情緒的なつながりを創造している。「水へのアクセス、医薬品へのアクセス、ある場所から別の場所への移動方法——これらすべてが、人々をより幸せで健康にするための精神的ニーズです。デザイナーはそのために時間を使う責任があります」と彼は語る。
作品の特徴
ベンジャミン・ヒューバートの作品群は、その多様性において際立っている。家具デザインにおける彫刻的なフォルムから、先端テクノロジー製品における機能美まで、彼の創造的視野は極めて広範である。しかし、その多様性の中に一貫した特徴が認められる。
幾何学的純粋性と彫刻的センシビリティ
彼のデザインは、純粋な幾何学形態を基礎としながらも、冷たい機械的な印象を避け、有機的で彫刻的な質感を持つ。円筒、球、立方体といった基本的な形態を洗練させ、独自性のあるシルエットへと昇華させる能力は卓越している。例えば、Bang & OlufsenのBeosound Balanceは、二つの円筒を積み重ねたシンプルな構成でありながら、音響性能と視覚的バランスの完璧な統合を実現している。
素材の誠実な表現
ヒューバートは素材をその本質において扱う。革の張力と柔軟性、木材の温かみと耐久性、金属の精密さと強度、テキスタイルの触覚的豊かさ——それぞれの素材が持つ固有の特性を最大限に活かし、時には対照的な素材を組み合わせることで、新しい視覚的・触覚的体験を創造する。Poltrona FrauのJuliet Chairにおける革の扱いは、その典型例である。椅子の外側では革の張力を利用して木製フレームの形状を透けて見せ、座面では三角形のプリーツによって柔らかさと快適性を表現している。
モジュラリティとカスタマイゼーション
彼の多くの作品は、モジュラー構造を持ち、使用者や環境に応じたカスタマイゼーションを可能にする。Fritz HansenのPair Chairは、8,000以上の異なる組み合わせが可能なシステムとして設計され、個別性と環境適応性を実現している。この柔軟性は、単なるバリエーションの提供ではなく、製品の寿命を延ばし、多様なニーズに応える持続可能なデザイン戦略でもある。
技術の詩的統合
先端技術を使用する際も、技術を前面に押し出すのではなく、詩的に統合する。Bang & OlufsenのBeosound Emergeは、本のような形状で書棚に溶け込みながら、革新的なドライバー配置により180度の音響を実現している。技術は存在感を主張するのではなく、体験を豊かにする静かな力として働く。
家具と工業製品の境界の融解
ヒューバートの作品は、伝統的な家具デザインとハイテク工業製品の境界を曖昧にする。家具的な温かみと彫刻性を工業製品に持ち込み、逆に家具に最先端の技術と機能性を統合する。この領域横断的なアプローチは、Nike GOウィールチェアのような革新的なプロジェクトを可能にしている。Braunとディーター・ラムスのストイックなミニマリズムへの敬意と、スポーツウェアの流動的な動きの融合は、パーソナルモビリティという極めて人間的な領域における彼の深い理解を示している。
主要代表作
Juliet Chair(ポルトローナ・フラウ、2012年)
ヒューバートの国際的名声を確立した記念碑的作品。イタリアの名門家具ブランド、ポルトローナ・フラウの100周年を記念して開催された国際コンペティションにおいて、世界中から選ばれた12名の有望なデザイナー(nendo、Stephen Burks、Nika Zupanc、Constance Guisset、Daphna Laurensなどを含む)との競争を勝ち抜き、最優秀賞を獲得した。
この作品のインスピレーション源は、イタリア・ルネサンス期のファッション・ディテールである「ジュリエット・スリーブ」——腕に密着しながら、肩部分に大きくデコンストラクトされた「パフ」を持つ袖である。この仕立ての概念を、革の張力装飾へと見事に翻訳した。
椅子の外側部分では、革の柔軟性と張力強度を利用して、伝統的な木材フレームワークの溝付き構造を表現している。張られた革を通して、その下の木材の形状が明確に透けて見える。この緊張感のある外観は、座面の「トライプリーツ」による寛大で柔らかく、ゆるやかな外観と対照をなす。このデコンストラクトされた領域は、椅子の快適性を記述するために用いられている。座面の形状は「ワイドスクリーン」型で、人々が実際に家具をどのように使用し、また誤用するかに沿って、複数の姿勢を可能にする。
コンペティションの審査基準は、形式的外観、与えられたテーマの表現、革の使用と解釈、そして快適性であった。ヒューバートの提案は、伝統的なキャピトネ技法を現代的に再解釈し、ポルトローナ・フラウの過去と未来を同時に体現する作品として、9名の著名な審査員から最高の評価を受けた。
Pair Chair(フリッツ・ハンセン、2016年)
デンマークの伝統的家具ブランド、フリッツ・ハンセンとの協働により生まれたPair Chairは、ヒューバートにとって象徴的な意味を持つ。彼は、このプロジェクトによってフリッツ・ハンセンと製品を発表した最初のイギリス人デザイナーとなった。アルネ・ヤコブセン、ハイメ・アジョン、ザハ・ハディド、ビャルケ・インゲルスといった巨匠たちの系譜に名を連ねることは、若きデザイナーにとって並外れた栄誉であった。
このプロジェクトは3年間の開発期間を要し、30以上のプロトタイプが制作された。「フリッツ・ハンセンは何事も急ぎません。年間に10から20の椅子を市場に投入する他の企業とは異なり、フリッツ・ハンセンではわずか一つです」とヒューバートは語る。この慎重で完璧主義的なアプローチは、製品が市場投入される前に完全に準備が整っていることを保証する。椅子は既に広範なテストを経ており、この徹底性が3年という開発期間の一因となっている。
デザインコンセプトは、ミックス・アンド・マッチ可能なコンポーネントのシステムであり、使用者が自分の環境とニーズに合わせた製品を創造できる。8,000以上の可能な組み合わせを持つこのシステムは、「個別性と、使用される環境のニーズに特化した製品に焦点を当てた市場の要求に応えるための、非常に柔軟なシステム」を表している。
Pair Chairは、フリッツ・ハンセンが1952年にアルネ・ヤコブセンがデザインした最初のスタッキングチェア「The Ant」以来、開拓してきたミッドセンチュリー・デザイン言語を受け継いでいる。伝統的な合板シートシェルと、射出成形ポリカーボネート製バックレストの組み合わせは、古いものと新しいものの興味深い相互作用を創造している。バックレストは10%の透明度を持ち、プラスチック素材にガラスのような質感を与えている。製造プロセスは、Series 7とThe Antチェアを作るために使用されたのと同じ9層の蒸気曲げ合板技術を基礎としており、フリッツ・ハンセンの長年の伝統を継承している。
「フリッツ・ハンセンの製品には、非常に特徴的な様式語彙があります。もちろん、フリッツ・ハンセンは現代的なデザインも扱っていますが、ミッドセンチュリー・デザインがその製品の典型であり続けています。この椅子は、フリッツ・ハンセンが有名な形状へのオマージュであり、素材のインテリジェントな組み合わせを通じてこれらを現代化することが私たちの目標でした」とヒューバートは説明する。
Cradle Collection(モローゾ、2013年/2016年更新)
イタリアの家具ブランド、モローゾのためにデザインされたCradleコレクションは、ハンモックのような感覚を椅子に統合した革新的な作品である。2013年にミラノで最初に発表され、2016年にはNikeのFlyknitテクノロジーに類似したデジタルニッティング技術を使用した新しいストレッチメッシュ素材で更新された。
各椅子は金属フレーム、布張りの座面、そしてハンモックに寄りかかるような感覚を模倣するメッシュテキスタイルのバックレストから構成されている。オーストリアのテキスタイル工場と協働して開発された3次元ストレッチテキスタイルは、高い強度と低い密度を持ち、必要なサポートを提供しながら使用する素材の量を大幅に削減している。
「Cradleのバックレストに使用された3Dニッティング技術とアプローチは、快適性を向上させながら素材の量を削減しており、Nike製フットウェアのアッパーに見られるFlyknitテクノロジーと並行関係にあります」とスタジオは説明する。「Cradleの柔らかくクッション性のあるフォーム座面は、座ることの衝撃を吸収し使用者の重量を支え、ランニングの衝撃を吸収するクッションフォームを利用するフットウェアのソールのアプローチに似ています」。
コレクションには、オリジナルのCradleチェアに似たハイバックラウンジチェア、ローバックラウンジチェア、そして同じニットされた素材を使用したルームディバイダーが含まれている。メッシュは、サポート力のある難燃性ポリエステルTrevira CSと、伸縮性のあるポリプロピレン繊維で構成されており、ニッティング技術により購入者が各糸の色を指定することができる。
GO Wheelchair(ナイキ、2016年)
ベンジャミン・ヒューバートのポートフォリオの中で最も意義深いプロジェクトの一つが、Nikeとの協働により開発されたGOウィールチェアである。「私たちが行いたいと思う仕事の典型」と彼自身が語るこのプロジェクトは、パーソナルモビリティという、自己の延長であるカテゴリーにおける革新を目指した。
このカスタムフィット型3Dプリント製モビリティデバイスは、ベルギーの3Dプリンティング企業Materialiseとの共同開発により実現した。Braunとディーター・ラムスからインスピレーションを得た、ストイックで禁欲的なミニマリズムの性格を持ちながら、その流動的で滑らかな動きの性質は、パフォーマンスウェアに見事に翻訳されている。
このプロジェクトは、Fast Company Innovation by Design Awardを受賞し、デザインが人々の生活を根本的に変革する力を持つことを実証した。単なる移動手段ではなく、使用者のアイデンティティと尊厳を高める、美しく機能的なオブジェクトの創造は、ヒューバートの人間中心デザイン哲学の核心を体現している。
Beosound Balance(バング&オルフセン、2020年)
デンマークの高級オーディオブランド、Bang & Olufsenとの最初の協働作品であるBeosound Balanceは、18ヶ月にわたる集中的な開発プロセスの成果である。このプロジェクトは、オーディオ製品が単に技術的デバイスではなく、美しい家庭用オブジェクト——精巧な陶器や細かく細工された木材のような——として存在できることを証明することを目指した。
「Beosound Balanceスピーカーのようなオーディオ製品は、技術について語る必要はありません。それを見て、これは技術製品だと考える必要はないのです」とヒューバートは説明する。「それは本当に、オーディオ製品を美しい陶器や本当によく作られた木材のようなものとして考えることであり、Balanceではこれらのものを一緒に持ち込んでいます」。
デザインは、二つの積み重ねられた円筒という純粋な幾何学形態を基礎としている。この形態は視覚的バランスと音響性能のバランスという二重の意味を持つ。素材の選択——天然または染色されたオーク材、ウール混紡のニットファブリックカバー、エッチングとバックライトを施したフラッシュボタンを持つアルマイト加工アルミニウムのコントロールサーフェス——は、職人技と品質への献身を反映している。
Bang & Olufsenの技術チームとの密接な協働により、複雑な音響技術の配置が形態を駆動した。「部屋の中央、床の上か棚の上に置かれるように設計されています」とヒューバートは指摘する。使用されていないときも美しく見える必要があった。木製ベースに控えめに焼き印されたBang & Olufsenのロゴを除けば、技術に詳しくない人にはテクノロジー製品とは気づかないだろう。
プロジェクトの反復の回数と議論と再作業の量は非常に多かったが、それらの質問が問われた結果が最終製品に見て取れる。近接センサーが近づくとUIを照らすなど、インタラクションの要素は慎重に統合されており、Bang & Olufsenの伝統的な「スライド、グライド、変形する物理的コンポーネント」は存在しないものの、強力なインタラクション要素が保持されている。
Beosound Emerge(バング&オルフセン、2021年)
Bang & Olufsenとの二度目の協働作品であるBeosound Emergeは、Beosound Balanceの成功を受けて開発された。「スタジオとして、私たちは協働するブランドとの長期的パートナーシップを築くことを好みます」とヒューバートは述べる。
Beosound Emergeは、人々の住宅における不動産が前例のないほどプレミアムになっていることへの応答として、物理的フットプリントを最小化し、オーディオ出力を最大化するように設計された超スリムスピーカーである。わずか6.7センチメートルのフットプリントを持つこのスピーカーは、書棚や狭い場所に配置できるよう設計されている。
デザインのインスピレーションは文字通り「本」である。側面パネルが本の表紙のようにスピーカーを包み込み、Bang & Olufsenのロゴが本の背表紙に記される著者名のように前面に配置されている。この巧妙な形態により、Emergeは書棚に並ぶ他の本とほぼシームレスに溶け込み、自然で控えめな存在となる。
「Layerでは、テクノロジーは幸福を可能にすべきだが、必ずしもそれ自体が表現である必要はないと信じています。そのため、飽和したオーディオ市場で際立ちながら、家庭にシームレスに適合する、強い彫刻的センシビリティとより家庭的な素材パレットを持つ新しい建築的フォーマットを創造することが等しく重要でした」とヒューバートは説明する。
Gold Tone版は、Kvadratの織物テキスタイルで覆われた背表紙を囲むオーク材カバーと、金色にアルマイト処理されたパールブラスト加工アルミニウムを特徴とする。Black Anthracite版は、パールブラスト加工アルミニウムグリルと、スピーカーのスリムなラインを強調する垂直波形パターンを持つポリマー側面パネルを持つ。
その小さなサイズにもかかわらず、Emergeは豊かで力強いサウンドを提供する。Bang & OlufsenのTonmeister(音響完璧性を保証する専門家チーム)との密接な協働により、最適な音響が確保された。全範囲ドライバーはスピーカー前面の狭い領域に位置し、バスドライバーは側面に向けられており、豊かで部屋を満たす音を生み出す。
Beosound Balanceで初めて導入されたBang & Olufsenの交換可能な接続モジュールは、Emergeでも採用されている。接続とストリーミング技術が時代遅れになった場合、モジュールを最新の技術アップデートと交換できるため、スピーカーの寿命が延長される。この設計は、持続可能性へのヒューバートの深いコミットメントを反映している。
Ledger Stax(2023年)
2023年、ベンジャミン・ヒューバートは、iPhoneの共同開発者であるトニー・ファデルとの協働により、暗号通貨とNFTを保存するためのハードウェアウォレット「Ledger Stax」をデザインした。クレジットカードサイズの薄型デバイスは、画面がデバイス全体を包み込む革新的な形態を持つ。
このプロジェクトは、複雑な暗号技術を民主化し、アクセス可能にするというヒューバートの信念を体現している。技術的に洗練されながらも、使用体験は直感的で人間的である。デジタル資産のセキュリティという極めて重要な機能を、エレガントで触れたくなるような物理的オブジェクトに変換したことは、彼の「ソフトテック」哲学の見事な実践である。
Hula Barstool(アンドリュー・ワールド)
スペインの家具ブランド、Andreu Worldのためにデザインされたアルミニウム製Hula Barstoolは、ヒューバートのデザインアプローチの多様性を示している。10色のカラーオプション、高さ調整可能なバージョン、異なる高さの二つの回転バージョンで展開されるこのスツールは、商業空間と住宅空間の両方での使用を想定している。
軽量でありながら耐久性のあるアルミニウム構造は、持続可能性と機能性のバランスを実現している。シンプルでクリーンなラインは、様々なインテリア環境に適応しながらも、独自の個性を持つ。
その他の注目すべき作品
Airbus Moveは、短距離および中距離フライトのエコノミークラス体験を向上させるための軽量航空座席コンセプトである。テキスタイルとスマート機能を使用して、乗客が座席の張力、温度、圧力、動きを監視し制御できるようにすることで、より効率的で持続可能な航空旅行を提案している。
Earth Ratedのための完全なリブランディングプロジェクト(2023年)は、ブランディング、パッケージング、そしてエコ意識の高いペット製品のコレクションを含む。「このプロジェクトは、Layerの持続可能性へのコミットメントと、製品エコシステム全体にわたるホリスティックなデザイン思考の影響を反映しています。Earth Ratedとの協働により、私たちは完全に新しいブランドアイデンティティ、エコ意識の高いペット製品の範囲、そしてパッケージングを開発し、持続可能性と思慮深いデザインが日常的なインタラクションに喜びと遊び心をもたらすことができることを示しました——最も予期しないカテゴリーにおいてさえも」とヒューバートは語る。
Deutsche TelekomのためのConcept View(2024年)は、3D AI駆動アシスタントを特徴とするホログラフィックホームハブのコンセプトであり、デジタルインタラクションの未来を探求している。
功績と業績
ベンジャミン・ヒューバートのキャリアは、国際的な批評家の称賛と数多くの権威ある賞によって特徴づけられている。彼の作品は世界中で展示され、デザインメディアで広く取り上げられてきた。
主要な受賞歴
- 2006年
- Loughborough Innovation Award、New Designers Corus Award
- 2007年
- Financial News/Brummell Award Rising Star、EPS Design Competition
- 2008年
- 100% Design Blueprint Award Most Promising Futures Designer、Cultural Merchandise Award、Bombay Sapphire Designer Glass Competition Second Prize
- 2009年
- 100% Design/Blueprint Award Best Product、Restaurant and Bar Design Award Emerging Talent、British Design Awards Designer of the Year (with Elle Decoration)、Elle Decoration Awards France Young Designer of the Year
- 2010年
- British Design Awards Design of the Year、EDIDA (Elle Decoration International Design Awards) International Young Designer of the Year、Homes and Gardens Design Classic Young Designer of the Year、Home and Garden Design Classic Best Lighting Runner Up
- 2016年
- Fast Company Innovation by Design Award(GO wheelchair)
- 2024年
- Popular Science Best of What's New(HoloBike)
- 2025年
- iF Design Award(Aura 2 projector for XGIMI)
主要な協働ブランド
ヒューバートとLayerは、以下のような世界的に著名なブランドとの協働実績を持つ。
- Fritz Hansen(デンマーク)- Pair Chair
- Poltrona Frau(イタリア)- Juliet Chair
- Bang & Olufsen(デンマーク)- Beosound Balance、Beosound Emerge
- Moroso(イタリア)- Cradle Collection、Tape modular sofa
- Nike(アメリカ)- GO wheelchair
- Andreu World(スペイン)- Hula barstool、Calma lounge chair
- Allermuir(イギリス)- Axyl Collection、Crop Collection
- Cappellini(イタリア)- Garment lounge chair
- Ligne Roset(フランス)- Container desk lamp
- Casamania(イタリア)- Maritime chair
- Fabbian(イタリア)- Roofer suspension lamps
- Muuto(デンマーク)- Strand lighting collection
- Prostoria(クロアチア)- Sofa systems
- Airbus(ヨーロッパ)- Move seating concept
- Braun(ドイツ)- Foil installation at V&A Museum
- Samsung(韓国)- Various technology projects
- Google(アメリカ)- Connected products
- BMW(ドイツ)- Mobility projects
- Herman Miller(アメリカ)- Workplace solutions
- Panasonic(日本)- Consumer electronics
- Vitra(スイス)- Furniture projects
出版物
2022年、権威ある出版社Phaidonより、Layerの活動を包括的に記録したモノグラフ『Layer』が出版された。Dezeen編集ディレクターのマックス・フレイザーによって執筆されたこの書籍は、スタジオの進化、核心的なデザイン哲学、そして実践を形成してきた多様なプロジェクトの範囲を探求している。
「Phaidonとのモノグラフは、深く内省的なプロジェクトでした——これまで達成したことを振り返りながら、スタジオの未来を描く機会でした。この本は、スタジオとしての進化、私たちの核心的なデザイン哲学、そして私たちの実践を形成してきた多様なプロジェクトの範囲を探求しています。それは、私たちの使命を再確認する洞察に満ちたプロセスでした:デザイン、イノベーション、そして人間の体験の境界を押し広げることです」とヒューバートは語る。
審査員としての活動
ヒューバートは、デザイン業界における影響力ある審査員として、複数の権威ある賞の評価に携わっている。
- Dezeen Awards 2025(イギリス)
- Fast Company Innovation by Design Awards 2025(アメリカ)
- Mix Awards 2025(イギリス/ヨーロッパ)
これらの審査員としての役割は、彼のデザインに対する深い洞察と、業界における指導的地位を反映している。
評価と後世への影響
同時代における評価
ベンジャミン・ヒューバートは、同時代のデザインコミュニティにおいて、「若き巨匠」として広く認識されている。2016年のDezeen Hot Listでは65位にランクされ、イギリスを代表する産業デザイナーの一人として評価された。
Fritz Hansenのデザイン責任者であるChristian Andresenは、Pair Chairのプロジェクトについて次のように述べている。「ベンジャミンは、Fritz HansenのDNAを受け入れながら、強い情緒的ストーリーを持つ本当に新しいものを創造することで、私たちを触発しました」。この評価は、伝統への敬意と革新の融合というヒューバートの能力を端的に示している。
Bang & Olufsenの副社長Christoffer Poulsenは、Beosound Emergeについて、「そのサイズにもかかわらず、革新的なドライバー配置を通じてフルレンジ、超ワイドサウンドを提供できる、可能な限りスリムなスピーカーを創造することがビジョンでした」と語り、技術的革新と美的洗練の両立を称賛している。
デザイン史における位置づけ
ヒューバートは、21世紀初頭のデザインにおける重要な転換期を代表する人物である。彼の活動は、伝統的なプロダクトデザインとデジタルデザインの境界を融解させ、持続可能性を単なる付加的要素ではなく、デザインプロセスの核心として位置づける新しいパラダイムを確立している。
家具デザインの領域では、ディーター・ラムスの機能主義的ミニマリズムと、ヤスパー・モリソンの「スーパーノーマル」の哲学を継承しながら、より人間的で触覚的な質感を付加している。テクノロジー製品においては、ジョナサン・アイブの洗練された工業デザインの伝統を受け継ぎつつ、より柔らかく、家庭的で、感情的につながりやすいアプローチを提案している。
彼の「ソフトテック」の概念は、テクノロジーが生活の中で果たすべき役割についての重要な問いを投げかけている。技術が自己主張するのではなく、人間の幸福を静かに支える存在となるべきだという彼のビジョンは、AI、IoT、ウェアラブルデバイスが急速に普及する現代において、極めて重要な指針を提供している。
次世代への影響
Layerのスタジオ運営モデルは、若い世代のデザイナーにとって重要な先例となっている。個人の名声を追求するのではなく、多様な専門性を持つチームの民主的な協働を重視するアプローチは、デザインスタジオの新しい形態を示している。
彼の持続可能性へのコミットメントは、表面的な「グリーンウォッシング」ではなく、素材選択、製造プロセス、製品寿命、修理可能性、そして最終的な廃棄まで、製品ライフサイクル全体を考慮した包括的なアプローチである。この真摯な姿勢は、次世代のデザイナーに対して、環境責任が単なる流行ではなく、根本的な倫理的義務であることを示している。
また、彼の社会的デザインへの献身——従業員の時間の20%を非営利プロジェクトに充てるという方針——は、デザインが商業的成功と社会的貢献を両立できることを実証している。この姿勢は、デザインの職能が持つ社会的責任についての新しい基準を設定している。
現代的関連性
気候危機、資源の枯渇、都市化、デジタル技術の浸透といった現代社会の課題に対して、ヒューバートのデザインアプローチは極めて関連性が高い。彼の作品は、これらの課題に対する具体的で実践的な解決策を提示している。
モジュラー設計による製品寿命の延長、リサイクル素材の積極的使用、修理可能性の確保、タイムレスな美学による流行への抵抗——これらすべてが、循環型経済への移行という現代の要請に応えている。
また、彼の「ソフトテック」アプローチは、テクノロジーと人間の関係を再考する上で重要な枠組みを提供している。スマートホーム、AI、自動化が日常生活に深く浸透する中で、技術が人間の尊厳と幸福を支える存在であり続けるためには、彼のような人間中心の視点が不可欠である。
2025年の101010展で提示された、雨水収集システム、気候適応型衣服、持続可能な食品保存システムといった未来志向のプロトタイプは、デザインが地球規模の課題に対してどのように貢献できるかを示している。これらのプロジェクトは、デザインが単に美しいものを創造するだけでなく、人類の生存と繁栄に直接貢献できる力を持つことを証明している。
未来への展望
ベンジャミン・ヒューバート自身の言葉によれば、「デザインは多くの人々のためにあるべき」であり、「もう10年後には、民主的なデザインと、より手頃で必要とされるものへのデザイン投資という考えが、より私たちの使命となることを望んでいます」。
この民主化への志向は、高級デザインと大衆的デザインの二分法を超越しようとする試みである。美的洗練、機能的卓越性、持続可能性が、一部のエリートのためだけでなく、すべての人々にアクセス可能であるべきだという彼のビジョンは、デザイン界における重要な倫理的立場を示している。
Layerのスタジオが継続的に拡大し、より多様なプロジェクトに取り組んでいることは、この野心的なビジョンの実現に向けた着実な歩みである。彼らの活動は、デザインが単なる商業的活動ではなく、より良い世界を創造するための文化的・社会的実践であることを示し続けている。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 2012年 | 椅子 | Juliet Chair | Poltrona Frau |
| 2013年 | 椅子 | Cradle Collection (初版) | Moroso |
| 2015年 | プロダクト | Change Box | Maggie's Cancer Charity |
| 2016年 | 椅子 | Pair Chair | Fritz Hansen |
| 2016年 | モビリティ | GO Wheelchair | Nike / Materialise |
| 2016年 | 椅子 | Cradle Collection (更新版) | Moroso |
| 2016年 | インスタレーション | Foil | Braun (V&A Museum) |
| 2017年 | 家具コレクション | Axyl Collection (chair, stool, table) | Allermuir |
| 2017年 | 椅子 | Pair Chair (star-base version) | Fritz Hansen |
| 2018年 | ソファ | Tape Modular Sofa | Moroso |
| 2018年 | テーブル | Net Tables (steel mesh) | Moroso |
| 年代不詳 | 照明 | Container Desk Lamp | Ligne Roset |
| 年代不詳 | 椅子 | Garment Lounge Chair | Cappellini |
| 年代不詳 | 椅子 | Maritime Chair | Casamania |
| 年代不詳 | 照明 | Roofer Suspension Lamps | Fabbian |
| 年代不詳 | 収納 | Basket Magazine Rack | Fritz Hansen |
| 2019年 | モビリティ | Airbus Move (seating concept) | Airbus |
| 2019年 | 照明 | Strand Lighting Collection | Muuto |
| 2019年 | テーブル | Ocean Table (recycled plastic) | Mater |
| 2020年 | オーディオ | Beosound Balance | Bang & Olufsen |
| 2020年 | 椅子 | Crop Collection (chairs and stools) | Allermuir |
| 2020年 | プロダクト | Never Go Alone (pandemic accessories) | Never Go Alone |
| 2020年 | 家具 | Cat Person Modular Furniture | Cat Person |
| 2021年 | オーディオ | Beosound Emerge | Bang & Olufsen |
| 年代不詳 | ウェアラブル | LightVision Meditation Headset | Resonate |
| 年代不詳 | コンセプト | Connected Home Devices | Deutsche Telekom |
| 年代不詳 | ソファ | Sofa Systems | Prostoria |
| 年代不詳 | モビリティ | Pendler E-bike Concept | Layer (self-initiated) |
| 2022年 | ウェアブル | Viture One (XR wearable) | Viture |
| 2022年 | 寝具 | Modular Mattress System | Mazzu |
| 年代不詳 | 椅子 | Hula Barstool | Andreu World |
| 2023年 | テクノロジー | Ledger Stax (crypto wallet) | Ledger / Tony Fadell |
| 2023年 | ブランディング | Earth Rated Rebrand & Products | Earth Rated |
| 年代不詳 | モビリティ | Croft Hydrogen Retrofit System | Croft |
| 2024年 | コンセプト | Concept View (holographic hub) | Deutsche Telekom |
| 2024年 | フィットネス | HoloBike | Saga Holographic |
| 2025年 | プロジェクター | Aura 2 | XGIMI |
| 2025年 | 椅子 | Calma Lounge Chair | Andreu World |
| 2025年 | 展覧会 | 101010 Exhibition (prototypes) | Layer (10 Corso Como, Milan) |
Reference
- Benjamin Hubert - Wikipedia
- https://en.wikipedia.org/wiki/Benjamin_Hubert_(designer)
- Benjamin Hubert - designer profile | STYLEPARK
- https://www.stylepark.com/en/designer/benjamin-hubert
- Benjamin Hubert, Designer | Archiproducts
- https://www.archiproducts.com/en/designers/benjamin-hubert
- Benjamin Hubert news, design and interviews | Dezeen
- https://www.dezeen.com/tag/benjamin-hubert/
- Meet the Designer: Benjamin Hubert – Warehouse Home
- https://mywarehousehome.com/blogs/meet-the-designer/meet-the-designer-benjamin-hubert
- Studio - LAYER | Industrial Design | Branding | London
- https://layerdesign.com/studio/
- 10 Questions With... Benjamin Hubert | Interior Design
- https://interiordesign.net/designwire/10-questions-with-benjamin-hubert/
- Benjamin Hubert designs mix-and-match Pair Chair for Fritz Hansen | Dezeen
- https://www.dezeen.com/2016/10/03/benjamin-hubert-layer-design-pair-chair-fritz-hansen-mix-match-seating/
- Juliet by Benjamin Hubert for Poltrona Frau | Dezeen
- https://www.dezeen.com/2012/04/24/juliet-by-benjamin-hubert-for-poltrona-frau/
- Layer creates slim Beosound Emerge bookshelf speaker for Bang & Olufsen | Dezeen
- https://www.dezeen.com/2021/05/12/layer-slim-beosound-emerge-bookshelf-speaker-bang-olufsen/
- Benjamin Hubert - Designing Beosound Balance | Bang & Olufsen
- https://www.bang-olufsen.com/en/gb/story/benjamin-hubert
- Benjamin Hubert's Layer adds to Cradle collection for Moroso | Dezeen
- https://www.dezeen.com/dezeenhotlist/2016/benjamin-hubert-layer/
- "I became a designer because I love solving problems," says Benjamin Hubert | Dezeen
- https://www.dezeen.com/2025/04/03/benjamin-hubert-key-projects/