概要
リソム ラウンジチェアは、イェンス・リソムが1941年に設計したラウンジチェアである。ハンス・ノール・ファニチャー・カンパニー(現ノール)が最初に委託した「600シリーズ」の一脚にあたる。メープル材のフレームに、織ったウェビングを渡して座面と背もたれとする。
特徴・コンセプト
余った材料を使う
第二次世界大戦中は多くの材料が軍事用に回されていた。リソムは、規格に満たず廃棄される予定だったパラシュート用のウェビングに着目し、座面と背もたれの素材として用いた。フレームには入手しやすいメープル材を使っている。
詰め物とばねを使えば座り心地は得られるが、当時それらの材料は手に入りにくかった。帯を編んで張れば、材料の量を抑えたまま身体を支えられる。
編んで弾力を得る
ウェビングは交差するように編み込まれる。一方向に並べただけでは荷重のかかる帯だけが伸びるが、交差させれば互いに支え合い、面全体でたわむ。帯の間に隙間が残るため通気もする。
金物を使わずに組む
フレームの各部材はほぞ組みで接合される。金属の留め具を使わないため、金属が不足していた時期の条件に合っていた。
現行の仕様
現在もノールが生産している。オリジナルの素材に加え、屋外用の生地を用いた仕様や複数の色のウェビングが展開され、フレーム材もメープルのほかウォルナットや黒染め仕上げが選べる。
エピソード
ヨーロッパ製家具の輸入を手がけていたハンス・ノールは、戦争で供給が途絶えることを見越し、アメリカ国内で生産できる家具の設計者を探していた。一方リソムは自作を扱ってくれる相手を求めており、1941年に二人は出会う。アメリカ各地を巡る調査を経て、1942年に最初のカタログが発行され、リソムによる15点の家具が掲載された。
リソムは自らの設計を、基本的で単純で安価で作りやすいものと評している。
評価と影響
戦後、リソムは1946年に独立して自身の会社を設立した。1997年にはノールが1940年代から50年代のリソムの設計を再発売している。
帯を張って身体を支えるという構成は、イームズ ソファ コンパクトがウェビングとスプリングを内部に隠すのに対し、こちらは編んだ面をそのまま見せている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。設計者本人からの寄贈にあたる。
- MoMA ローラウンジチェア(モデル650、1941年) 収蔵番号 1424.2001
イェンス・リソムの設計思想や経歴について詳しくはイェンス・リソムプロフィールページをご覧ください。
ノールの歴史や他の製品について詳しくはノールブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | リソム ラウンジチェア / Risom Lounge Chair |
|---|---|
| デザイナー | イェンス・リソム(Jens Risom) |
| ブランド | ノール(Knoll) |
| 発表年 | 1941年設計/1942年 製造開始 |
| デザインの成立国 | アメリカ |
| 分類 | ラウンジチェア |
| シリーズ | 600シリーズ(モデル650ほか) |
| 主要素材 | フレーム:メープル材、ウォルナット材/座面・背もたれ:織ったウェビング |
| 構造 | ほぞ組みで接合し、金属の留め具を使わない。ウェビングを交差させて編む |
| サイズ | 幅51cm × 奥行71cm × 高さ77cm、座面高41cm(アームレス版) |
| 収蔵 | MoMA(1424.2001) |
Reference
- Low Lounge Chair (model 650) | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/3947
- Risom Lounge Chair | Knoll
- https://www.knoll.com/product/risom-lounge-chair