概要
オーガニックチェアは、チャールズ・イームズとエーロ・サーリネンが1940年に共同で設計した椅子である。ニューヨーク近代美術館の家具設計競技への出品作にあたる。
座面、背もたれ、肘掛けを一続きの殻として成形する構想をとる。当時は量産に至らず、現在はヴィトラが製造している。
エーロ・サーリネンの設計思想や経歴について詳しくはエーロ・サーリネン プロフィールページをご覧ください。
特徴・コンセプト
一続きの殻
椅子は通常、座面と背もたれ、肘掛けを別の部材として組む。それぞれの境目に接合部が生じる。
この椅子は3つを1つの殻としてまとめる。身体が触れる範囲を連続した面で受けるという構想にあたる。接合部を持たないため、姿勢を変えても当たる箇所が変わらない。
二方向へ曲げる
この形を得るには、合板を二方向へ同時に曲げる必要がある。一方向であれば型に沿わせて成形できるが、複合した曲面では単板に皺や割れが生じる。
試作では単板に切り込みを入れ、一部を切り取ることで対応した。その上からフォームを重ね、布で覆っている。手作業による工程であり、量産の方法としては成立していない。
用途ごとの型
競技には、座る姿勢の異なる複数の型が出品された。読書のための背が中ほどまでの型と背の高い型、食卓や会議のための型などにあたる。
殻の構想を共通させたまま、背の高さと肘掛けの寸法だけを変えている。ヴィトラは現在、6つの試作のうち3つを製造する。
エピソード
競技への出品
1940年、ニューヨーク近代美術館が「Organic Design in Home Furnishings」と題する設計競技を開いた。出品の条件には、工業的な生産に適することが含まれていた。
当時ともにクランブルック美術学院で教えていたイームズとサーリネンは、共同でこの競技に出品し、両部門で1等を得ている。二人が協働した最初の仕事にあたる。
製造者が見つからない
受賞後、製造を引き受ける会社を探す過程で、合板を複合曲面に成形する工業的な方法が存在しないことが明らかになった。設計は生産に至らなかった。
以後、イームズはロサンゼルスへ移り、レイとともに成形の技術そのものを詰めていく。1945年のイームズ LCW(プライウッド ラウンジチェア)は、この作業の到達点にあたる。サーリネンは建築へ関心を移し、合板の家具の開発には加わっていない。
評価と影響
一般的に、身体を受ける面を一体でつくるという課題を明確にした作例として扱われている。二人はこの課題を、以後それぞれ別の材料で解いていく。
有機的な形の殻を量産できるようになるのは1950年代以降にあたる。イームズの樹脂の椅子や、サーリネンのチューリップチェアがその成果になる。
基本情報
| デザイナー | チャールズ・イームズ、エーロ・サーリネン |
|---|---|
| ブランド | ヴィトラ |
| 発表年 | 1940年 |
| デザインの成立国 | アメリカ |
| 主要素材 | 成形合板の殻、フォーム、布または革の張り地 |
| 型 | 背が中ほどまでの型、背の高い型、食卓や会議のための型の3つが製造されている |
| 当時の生産 | 量産の方法がなく、生産には至らなかった |
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラ ブランドページをご覧ください。
Reference
- Organic Chair | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/about-vitra/original/organic-chair
- The Organic Chair | Vitra Magazine
- https://www.vitra.com/en-us/magazine/details/the-organic-chair