概要

ファベーラチェアは、ブラジルのカンパナ兄弟が1991年に発表したラウンジチェアである。端材の木片を手作業で釘打ちと接着により組み上げる。内部にフレームを持たず、木片の集積そのものが構造になる。2003年からイタリアのエドラが製造している。

特徴・コンセプト

木片の集積が構造になる

数百枚の木片を職人が一枚ずつ釘打ちし、接着剤で固定する。骨組みを組んで外側を覆うのではなく、木片どうしが互いを支え合う。一枚ずつの向きが揃わないため、集積した結果として面と面が交差し、荷重が分散する。

木片は意図的に不揃いな角度と配置で組まれる。一脚を完成させるには約一週間を要し、同じものは二つとできない。

素材

最初の試作は、サンパウロの果物市場で廃棄される木箱の細板を集めて作られた。現行のエドラ製では、室内用にブラジル産パイン材、屋外用にチーク材が用いられる。

エピソード

名称は、ブラジルの都市周辺に形成される居住地区「ファベーラ」に由来する。カンパナ兄弟は、限られた材料で住居や家具を組み上げる作り方に着目した。

1991年、彼らは果物市場の近くのスタジオで最初の試作を制作した。当初は2脚のみで、より角張った形状の大きな木片が座面、背もたれ、脚部に使われ、小さな木片は特定の範囲に重ねられていた。

2003年、エドラが製造を開始した。量産にあたって形はより直線的になり、全表面が小さな木片で覆われるようになった。機械で製作した基礎構造が安定性を担いながら、手作業による組み上げは維持されている。ウンベルト・カンパナ自身がエドラの工場で職人に製作の方法を伝えた。

評価と影響

2013年には大理石による仕様とベッドが制作された。食器や自動車の内装へも同じ構成が展開されている。

量産の工程に載せず一点ずつ手作業で組み上げる方式は、サム・マルーフ ロッキングチェアにも見られる。あちらが仕口と削り出しによるのに対し、こちらは不揃いな木片の集積による。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(Met=メトロポリタン美術館)。同館の記録では作者がウンベルト・カンパナとして登録され、エドラからの寄贈とされている。

  • Met ファベーラチェア(1991年) 収蔵番号 2013.579

基本情報

名称 ファベーラチェア / Favela Chair
デザイナー フェルナンド・カンパナ、ウンベルト・カンパナ(Campana Brothers)
ブランド エドラ(Edra/2003年より製造)
発表年 1991年(試作)/2003年(製造開始)
デザインの成立国 ブラジル
分類 ラウンジチェア
構造 内部フレームを持たず、木片の集積が構造になる
主要素材 パイン材(室内用)、チーク材(屋外用)、釘、接着剤
製法 手作業による一点製作(一脚あたり約1週間)
収蔵 Met(2013.579)

Reference