概要

コロナチェアは、ポール・M・ヴォルターが1961年に発表したラウンジチェアである。4つの楕円形のクッションが、スチールのフレームに沿って浮かぶように並ぶ。名称は、皆既日食の際に太陽の周囲に現れる光環「コロナ」に由来する。現在はエリック・ヨハンソン(Erik Jørgensen)がデンマークで製造している。

特徴・コンセプト

面を分けて支える

背もたれを一枚の面にせず、4つの楕円に分割している。首から背、腰、腿までを別々のクッションが受けるため、それぞれの角度を身体の部位に合わせて決められる。ひと続きの面では、姿勢を変えたときにどこかが身体から離れるが、分割すればその余地が生まれる。

クッションのあいだには隙間があり、背後が透けて見える。厚みのあるクッションを4つ用いながら、正面から見たときの量感は抑えられる。

日食から得た着想

ヴォルターがこの椅子を設計していた頃、皆既日食が話題となっていたと伝えられる。太陽を取り囲む光の輪から名が決められた。連なる楕円の配置は、日食の経過を連続写真で捉えたときの形とも重なる。

素材と構造

現行モデルは、ステンレススチール製のスプリングフレームに、モールド成形のポリウレタンフォームクッションを組み合わせる。初期のプロトタイプでは木製フレームが用いられたが、1964年のエリック・ヨハンソン社との協働により、スチールフレームの製品版へ展開した。張り地はファブリックまたはレザーから選べる。

エピソード

1961年に最初のプロトタイプが発表されたが、当初は広く受け入れられなかった。1964年にエリック・ヨハンソン社からスチールフレーム版が発売された後も、市場の反応は限られていた。

転機は1997年である。ケルン家具見本市およびコペンハーゲンのスカンジナビア家具見本市で改めて紹介され、国際的な評価を得た。2002年、コペンハーゲンで開催されたEUサミットで、各国首脳が着座する椅子として用いられている。ヴォルターは前年の2001年に世を去っていた。

評価と影響

浮かぶように連なるクッションによる軽い見え方と、実際に座ったときに身体を受け止める感触との対比が、この椅子の特徴として挙げられる。オットマンやスペクトラムなど、関連するモデルも展開されている。

基本情報

名称 コロナチェア / Corona Chair(EJ5)
デザイナー ポール・M・ヴォルター(Poul M. Volther)
ブランド エリック・ヨハンソン(Erik Jørgensen)
発表年 1961年(プロトタイプ)/1964年 スチールフレーム版
デザインの成立国 デンマーク
分類 ラウンジチェア
主要素材 フレーム:ステンレススチール(マットクロームまたはブラック)/クッション:モールドポリウレタンフォーム/張り地:ファブリックまたはレザー
サイズ 幅88cm × 奥行82cm × 高さ97cm、座面高44cm
関連製品 コロナ オットマン(EJ5-F)、コロナ スペクトラム(EJ5-S)

Reference

Corona Chair EJ5 | Erik Jørgensen
https://www.erik-joergensen.com/en/products/corona