概要

タフティー コレクションは、パトリシア・ウルキオラがB&B イタリアのために設計した張り地家具の一群である。2005年に発表されたモジュール式ソファ「タフティータイム」を起点とし、2007年にベッドへも展開された。

共通しているのは、大きな正方形に区切った張り地を襞(プリーツ)でつなぐという表面の構成である。チェスターフィールドやカピトネと呼ばれる伝統的な絞り加工を、区画を大きくとることで現代の居住空間に合わせ直している。

共通する設計原理

伝統的なカピトネでは、ボタンで細かく絞ることで格子状の凹凸をつくる。タフティーではこの区画を大きくとり、ボタンを用いずに襞で面をつなぐ。革の仕様では襞の部分に穴を開けた処理が施される。ソファでは座面・背・肘掛けのいずれにも、ベッドでは台座とヘッドボードの双方に同じ区画が現れるため、部材の境目が表面の構成に吸収される。

もうひとつの共通点は、座面と背を低く抑えた寸法である。奥行きを深くとりながら高さを抑えることで、部屋の視線を遮らずに広い座面を得ている。

内部構造はスチールパイプと形鋼のフレームに、冷間成形のポリウレタンフォームを組み合わせる。この成形技術は同社が早くから手がけてきたもので、直線から離れた量をつくれることが、大きく区切った面をたるませずに保つ前提になっている。カバーは取り外して交換できる。

成立と展開の経緯

ウルキオラは、チェスターフィールドやカピトネという形式を、1960年代から70年代にかけての解釈を踏まえたうえで捉え直したいと述べている。2005年に発表されたタフティータイムは、その意図をモジュール式のソファという形で実現したものである。

この製品の特徴は、オットマンを基本単位とし、そこに中央・コーナー・端部の各要素と、高さの異なる肘掛けを組み合わせて構成をつくる点にある。直線状の配置のほか、コーナー、半島状、そして四方から座れる島状の構成が可能で、置き場所に応じて形を変えられる。

その後の展開は、表面の構成を保ったまま素材と寸法を替える形で重ねられた。2006年に革張り仕様、2011年にタフティートゥー、2015年に区画を大きくとった張り地のタフティータイム'15、そして発表から20年にあたる2025年にタフティータイム20が加わっている。20では詰め物の量と座面高が見直され、直線の要素に曲線のモジュールが追加された。あわせて、使用後に分解できることを前提とした設計が織り込まれている。

メンバー一覧

発表年 区分 製品名 位置づけ
2005年 ソファ タフティータイム コレクションの起点となったモジュール式ソファ。以後の改訂はすべてこの構成を前提とする。
2007年 ベッド タフティー ベッド 同じ襞による面の構成を台座とヘッドボードに用いたベッド。

評価と影響

タフティータイムは、装飾的な技法として扱われてきたカピトネを、区画の寸法を変えるだけで現代的な表情に置き換えた例として参照される。B&B イタリアは同社の主要な製品のひとつとして扱っており、発表から20年を経ても改訂を重ねながら生産が続いている。

改訂の重ね方にも特徴がある。区画と襞という表面の構成は初代から変わらず、素材、詰め物の量、モジュールの形状だけが差し替えられてきた。同じ表面を保ったまま中身を更新できる構成であることが、20年にわたる継続の前提になっている。

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、このコレクションの製品の収蔵は確認できなかった。MoMAとAICはウルキオラの他の家具・照明を所蔵している。

基本情報

デザイナー パトリシア・ウルキオラ
ブランド B&B イタリア
共通意匠 大きな正方形に区切った張り地を襞でつなぐ表面構成
内部構造 スチールパイプと形鋼のフレーム、冷間成形ポリウレタンフォーム
カバー 取り外して交換できる
生産 2005年以降、改訂を重ねて継続

Reference

このシリーズの製品