概要
ウーテンシロは、ドロテ・ベッカーが1969年に設計した壁掛けの収納である。大きさと形の異なる容器を一枚の面に配し、金属のフックとクリップを組み合わせる。当初はベッカーの夫インゴ・マウラーが営むDesign Mから発売され、現在はヴィトラが復刻している。
特徴・コンセプト
容器の形をばらばらにする
同じ大きさの容器を並べれば製造は単純になるが、収める物の寸法はまちまちである。ウーテンシロは円形や矩形など形の異なる容器を混在させ、鍵、はさみ、ペン、封筒といった大きさの違う物をそれぞれに合う場所へ収める。
大型のI型と小型のII型では、容器の数と配置が異なる。
壁面を使う
床や机の上ではなく壁に掛けるため、作業面を占有しない。厚みは6.5cmで、壁からの張り出しが小さい。奥行のない収納は、物が重ならず一覧できる。
掛けると挟む
金属のフックには鍵やはさみを掛け、クリップには封筒やカード、写真を挟む。容器に入れる、掛ける、挟むという三通りの収め方が一枚の面に同居する。
素材
現行のヴィトラ版はABS樹脂と金属のフックによる。リサイクル素材を用いた仕様では、自動車産業などで生じる再生ABSが使われる。
エピソード
もとは木製の教育玩具から発展した。1960年代、ベッカーはモンテッソーリ教育に着想を得て、幾何学的な形のパーツを木製プレートの穴にはめ込む玩具を設計し、これを収納へ展開している。背景には、父が営んでいた薬局の壁に掛かっていた、ポケットの並ぶ布製の収納袋の記憶があったとされる。
製品化にあたり、インゴ・マウラーは3トンを超える射出成形の金型を製作したと伝えられる。1970年代のオイルショックによる原材料費の高騰などを背景に一時生産が途絶えたのち、ヴィトラが復刻した。
評価と影響
樹脂の成形によって、形の異なる容器を一体でつくるという構成をとる。同じ時期の樹脂製品では、ボビーワゴンが縦に段を重ねて収納量を確保したのに対し、こちらは壁面を使っている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。
- MoMA ウーテンシロ(1969年) 収蔵番号 482.2021
ドロテ・ベッカーの設計思想や経歴について詳しくはドロテ・ベッカープロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ウーテンシロ / Uten.Silo |
|---|---|
| デザイナー | ドロテ・ベッカー(Dorothee Becker) |
| ブランド | ヴィトラ(Vitra)/Design M(オリジナル) |
| 発表年 | 1969年(I型)/1970年(II型) |
| デザインの成立国 | ドイツ |
| 分類 | 壁掛け収納 |
| 主要素材 | ABS樹脂(リサイクル素材を用いた仕様もあり)、金属のフック |
| 構造 | 大きさと形の異なる容器を一枚の面に配し、フックとクリップを併用 |
| サイズ | I型:幅67 × 高さ87 × 奥行6.5cm/II型:幅52 × 高さ68 × 奥行6.5cm |
| 収蔵 | MoMA(482.2021) |
Reference
- Uten.silo | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/418941
- Uten.Silo | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/details/uten-silo