概要

ドロテー・ベッカー(1938-2023)は、ドイツのデザイナーである。1969年に設計したウーテンシロは、壁に掛ける板に容器と留め具を配した収納で、樹脂の一体成形による。文房具、工具、台所用品のいずれにも使える。夫のインゴ・マウラーが製品化した。

バイオグラフィー

1938年3月30日、ドイツに生まれた。

1960年代、インゴ・マウラーと結婚した。マウラーは1963年にミュンヘンで照明の会社を設立している。

1969年、ウーテンシロを設計した。子供の玩具を片付けるための道具として構想されたものにあたる。

同製品はマウラーの会社から発売され、1970年代に広く用いられた。2023年に没している。

デザインの思想と方法

収納は通常、しまうものの種類ごとに形が決まる。ペン立て、工具箱、調理器具の掛けといった具合である。ベッカーが試みたのは、種類を問わずに使える収納だった。

容器の形と大きさを混在させる

板の上に、円筒、箱、鉤、輪といった異なる形の容器を配する。それぞれ収まるものが違うため、しまうものの種類を限定しない。使い手が何をどこに入れるかを決める。

一体で成形する

板と容器を樹脂で一体に成形する。部品の組み立てが不要で、接合部も生じない。多数の容器を配しても製造の工程は変わらない。

壁に掛ける

床にも机にも置かず、壁に掛ける。使う場所の面積を取らず、中身が一覧できる。垂直の面を収納に使うという構成にあたる。

色を単色でとる

樹脂の材料そのものに色を混ぜる。板と容器が同じ色になるため、形の違いだけが見える。

代表作にみる方法

ウーテンシロ(1969年)

壁に掛ける板に、円筒、箱、鉤、輪といった異なる形の容器を配した収納である。樹脂の一体成形で、部品の組み立てが不要になる。しまうものの種類を限定せず、使い手が何をどこに入れるかを決める。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号482.2021)。→ウーテンシロ

ウーテンシロ II

小型の型である。容器の配置は共通で、全体の寸法だけが変わる。

製品化の経緯(1969年〜)

インゴ・マウラーの会社から発売された。同社は照明を主とするが、この製品は収納にあたる。

再生産(2000年代〜)

ヴィトラが生産を引き継いでいる。当初と同じ樹脂の一体成形による。

評価と影響

ベッカーは、ウーテンシロの設計者として言及される。しまうものの種類を限定しない収納という構成が、その特徴にあたる。

1969年の設計で、樹脂の一体成形という当時の工法を用いている。多数の容器を配しても製造の工程が変わらないという利点がある。

ニューヨーク近代美術館は2021年に収蔵した。発表から50年以上を経ての収蔵にあたる。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。

  • MoMA ウーテンシロ(1969年) 収蔵番号 482.2021

V&A、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。ドイツ国内の館については照合手段がない。

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
1969年 収納 ウーテンシロ Ingo Maurer / Vitra
1970年代 収納 ウーテンシロ II Ingo Maurer / Vitra
2000年代〜 収納 ウーテンシロの再生産 Vitra

プロフィール

生没年 1938年3月30日〜2023年
出身地 ドイツ
国籍 ドイツ
活動拠点 ミュンヘン
分野 収納
主な協働ブランド Vitra、Ingo Maurer

Reference