概要

ボビーワゴンは、ジョエ・コロンボが1970年に設計した可動式の収納ワゴンである。当初は建築家や製図技師がデスク周りで道具や図面を整理するために構想された。射出成形のABS樹脂による本体に、回転して開く引き出しを備える。現在はB-Lineが製造している。

特徴・コンセプト

引き出しが回って開く

側面の突起を押すと、引き出しが軸を中心に回転して開く。前方へ引き出す方式では、開くために本体の手前に空間が必要になる。回転させれば、本体の幅の範囲内で開閉できる。デスクの脇のような狭い場所でも扱える。開いた引き出しは扇状に広がり、中身が見渡せる。

縦に積む構成

本体は縦方向に段を重ねる構成で、複数の高さから選べる。床面に置ける面積は変わらないまま、段数だけで収納量が決まる。深さの異なる引き出しを組み合わせられ、文房具から図面、ボトル類まで対応する。側面には細長いポケットが配置される。上部にはコルク、ウォールナットオークなどの天板が用意される。

四方から使える

底部の回転キャスターにより自由に動かせる。壁や建築に固定されないため、四方すべての面が使える。置く場所を決めずに使うという前提が、この構成につながっている。

ABS樹脂

本体と引き出しには射出成形のABS樹脂が用いられる。耐衝撃性と耐傷性に優れ、汚れや臭いに強く、清掃が容易である。キャスターにはポリプロピレンが使われる。色は定番色から鮮やかな色まで展開され、時期に応じて更新されている。

エピソード

製図作業を行う建築家のデスク周りで、筆記用具、図面、書類をどう収めるかという課題から出発している。壁に固定せず、必要に応じて動かせる縦型のワゴンという形にたどり着いた。1971年にイタリアのSMAU賞を受けている。

同じコロンボが設計したチューブチェアエルダチェアと同様、用途や置き場所を固定しないという方向にある。

評価と影響

発売から半世紀以上を経て生産が続いている。オフィスやアトリエのほか、キッチンや医療現場でも用いられる。

美術館コレクション

ニューヨーク近代美術館は、ABS樹脂による「Boby 3 Portable Storage System」を収蔵番号153.1977で登録している(Inter/Graphからの寄贈。同館は制作年を1969年とし、寸法を73.7×40.7×42.8cmと記録している)。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館も、1970年のボビーを収蔵番号W.5:1 to 4-1992で登録している。

基本情報

名称 ボビーワゴン / Boby Trolley
デザイナー ジョエ・コロンボ(Joe Colombo)
ブランド B-Line(当初はBieffeplastが製造)
発表年 1970年(美術館の記録では1969年)
デザインの成立国 イタリア
分類 収納ワゴン
主要素材 本体・引き出し:射出成形ABS樹脂/キャスター:ポリプロピレン/天板:コルク、ウォールナット、オーク
機構 引き出しが回転して開く(本体の幅の範囲内で開閉可)
構成 縦方向に段を重ねる。複数の高さから選択
受賞 1971年 SMAU賞
収蔵 ニューヨーク近代美術館(153.1977)、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(W.5:1 to 4-1992)

Reference

Boby 3 Portable Storage System | MoMA
https://www.moma.org/collection/works/2281
Boby | Victoria and Albert Museum
https://api.vam.ac.uk/v2/objects/search?q=W.5-1992