Porro Modernが長く愛される理由

1996年にイタリアの家具ブランドPorro(ポッロ)が発表したモジュラー収納システム「Modern(モダン)」は、400mmの正方形モジュールを起点に、空間のあらゆる場面に対応する収納を組み立てるシステム家具である。1989年より同社のアートディレクターを務めるピエロ・リッソーニと、Porroの社内リサーチセンターによる設計。発表から約30年を経た現在も、新たな仕上げやエレメントが加えられ続けている。

リッソーニは「Modernはほとんど数学的モデルです。正方形のマトリックスから始まり、時間をかけて増殖させていきました」と語る。多彩な銘木とラッカーカラーから選べる素材バリエーション、壁面設置型からフリースタンディング型まで多岐にわたる設置形態、そしてLoad-it書棚システムとの組み合わせによるコンポジション——その柔軟性ゆえに、住宅からデザインホテル、オフィスまで幅広い空間に導入されている。

本ページでは、Porro Modernの購入を検討されている方に向けて、システムの仕様・素材・構成の自由度、類似するシステム家具との比較、暮らしへの取り入れ方、メンテナンス方法、正規販売店情報、よくある質問まで、購入判断に必要な情報を網羅的にお届けする。

正規品の基本情報:仕様・素材・システム構成

Porro Modernは、構成要素の組み合わせで形が決まるモジュラーシステムであり、単一の「完成品」として売られる家具とは性格が異なる。以下にシステム全体の仕様と、選択できる要素をまとめる。

製品名 Modern(モダン)
デザイナー ピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni)+ Porroリサーチセンター
発表年 1996年(以降もエレメント・仕上げの追加が続く)
製造ブランド Porro S.p.A.(ポッロ)
製造国 イタリア(ロンバルディア州ブリアンツァ地方モンテソラーロ・ディ・カリマーテ)
カテゴリ モジュラー収納システム(サイドボード / シェルフ / TVパネル / デスク / ベンチ等)
基本モジュール 400mm × 400mm(正方形)
構造の特徴 ヒンジ・ねじ・レールといった金物を外から見せない設計。扉を閉じた状態では一枚のパネルとして見える
天然木仕上げ チェリー、オーク、アッシュ、カナレットウォールナット、熱処理オーク、ユーカリプタス、エルム、ヘムロック 他(多数の樹種から選択)
ラッカー仕上げ マット・光沢各種(ムーンホワイト、ロッソ・チーナ、ブルー・レアーレ 他)
その他素材 ガラス(透明・ミルメートル加工)、スチール、HDS(高耐久メラミン)
設置形態 壁面設置型 / 床置き型(ラマ脚 / 連続ベース) / フリースタンディング型 / 壁面パネル取付型
構成要素 収納ユニット(扉付 / オープン) / オープンシェルフ / サイドボード / TVパネル / ベンチ / デスク(壁面取付型ライティングシェルフ) / ガラス扉付きヴィトリーヌ
拡張性 Load-it書棚システムとの組み合わせにより壁面全体のコンポジション構成が可能
参考価格帯(税込目安) 構成・素材・サイズにより大幅に異なる(サイドボード単体で約80万円〜、壁面フルコンポジションで数百万円規模) / 正確な価格は正規販売店への見積もり依頼が必須
納期 受注生産 / 約8〜12週間(構成の複雑さ・仕上げにより異なる)
デザイン様式 コンテンポラリー / イタリアン・ミニマリズム

類似商品・競合との比較

Porro Modernはリプロダクト品が存在しない、Porro社の独自製品である。イタリアを代表するハイエンド・モジュラー収納システムとして、同様のコンセプトを持つ競合製品との比較を整理する。

比較項目 Porro Modern B&B Italia PABシステム Molteni&C 505
デザイナー ピエロ・リッソーニ + Porroリサーチセンター Studio Kairos ニコラ・ガリッツィア
発表年 1996年 2000年代
基本コンセプト 正方形モジュール(400mm)の増殖と展開 フリースタンディング型のシステムユニット 壁面構成型のモジュラーシェルフシステム
設置方式 壁面 / 床置き / フリースタンディング / パネル取付 フリースタンディング中心 壁面取付中心
素材の幅 多樹種の銘木 + マット/光沢ラッカー + ガラス + HDS 各種木材 + ラッカー + ガラス 各種木材 + ラッカー + ガラス + アルミニウム
デザインの特質 金物を見せないディテール、引き算の美学 クリーンな直線、イタリアン・モダンの洗練 グリッド構造による壁面全体の構成力
拡張性 Load-it書棚との組み合わせで壁面フルコンポジション可能 ユニットの連結による拡張 モジュールの追加による壁面構成
参考価格帯 約80万円〜(構成による) 約80万円〜(構成による) 約60万円〜(構成による)

選び方の指針

幾何学的な美しさと長期的な進化を重視するなら
Porro Modernが適している。400mmの正方形モジュールから展開される明快な設計言語と、30年にわたり更新され続けてきた実績がある。ブリアンツァ地方の木工技術に裏打ちされた素材選択の幅も広く、サイドボード、シェルフ、TVパネル、デスクと用途を横断できる。
リビングの自立型収納として洗練されたユニットを求めるなら
B&B Italia PABが候補となる。フリースタンディング型を中心としたデザインは、壁面に依存しない空間構成を許す。仕上げの品質にも定評がある。
壁面全体を一つのコンポジションとしてデザインしたいなら
Molteni&C 505が適している。壁面グリッドシステムとしての構成力に優れ、天井から床までの壁面を一体的にデザインする用途に強みがある。Molteni&Cの生産技術と品質管理にも定評がある。

使用感と暮らしへの取り入れ方

収納力と機能性

Porro Modernは、収納家具でありながら、空間そのものを組み立てるための道具でもある。扉付きの収納ユニット、オープンシェルフ、TVパネル用のバックパネル、壁面取付型のライティングデスク。これらを組み合わせれば、一つのシステムでリビング、ダイニング、書斎、寝室の収納をまかなえる。

扉付きユニットは、ヒンジやレールが外から見えない。閉じた状態では一枚のパネルにしか見えず、この「見せないディテール」がPorroの技術の要である。オープンシェルフと閉じたユニットを交互に配せば、「見せる収納」と「隠す収納」の比率は自由に決められる。

素材選択の指針

天然木突板仕上げ
カナレットウォールナット、ユーカリプタス、ヘムロック、熱処理オークなど多樹種の銘木から選べる。木目が空間に奥行きを与え、色味は使ううちに深まる。ダイニングやリビングの壁面収納と相性が良い。
ラッカー仕上げ
マットと光沢の両方が用意され、色数も豊富である。ムーンホワイトやニュートラルカラーはミニマルな空間に調和し、ロッソ・チーナやブルー・レアーレなどの鮮やかな色彩はアクセントとして効く。色彩パレットは毎年更新されている。
ガラスとHDS
透明ガラス扉のヴィトリーヌは、収納物をそのまま見せる。HDS(高耐久メラミン)は耐久性が高く、日常的に開け閉めするユニットに向く。

空間別のコーディネート提案

リビングルーム
壁面に沿ったサイドボード構成が基本形となる。オープンシェルフと扉付きユニットを交互に配し、書籍やオブジェのディスプレイと日用品の収納を両立させる。TVパネル用バックパネルを組み込めば、テレビ周りの配線処理も美しく統合できる。Load-it書棚との組み合わせにより、壁面全体をライブラリー空間として構成することも可能である。
ダイニング
ラマ脚付きのフロアキャビネットは、食器や酒器、テーブルリネンの収納に最適である。オープンスペースにワイングラスやアート作品をディスプレイし、扉付き部分に日常的な食器類を収める構成が効果的である。ヘムロックの濃色仕上げとムーンホワイトのラッカー扉を組み合わせれば、コントラストが食器の色を引き立てる。
書斎・ホームオフィス
壁面パネルに取り付けるライティングデスク(壁面懸架型シェルフ)は、最小限の設置面積で機能的なワークスペースを実現する。上部にオープンシェルフ、下部にデスク面、側面に収納ユニットを配すれば、手元に必要なものだけが並ぶ。
寝室
低めのサイドボード構成をベッドサイドの収納として活用できる。Porroの同シリーズであるStorage(ワードローブシステム)との組み合わせにより、寝室全体の収納を統一的にデザインすることも可能である。

生活スタイル別の提案

建築家・インテリアデザイナー
CADデータがArchiproductsやArchitonicを通じて入手できるため、設計段階から空間計画に組み込める。素材と色彩の組み合わせに幅があることも、実務上の利点となる。
ミニマリスト志向の方
Porroの「引き算の美学」は、ミニマルな生活空間と相性が良い。扉付きユニットを中心に構成し、すべてを見えない場所に収めれば、壁面は静かな面として残る。
コレクター・ディスプレイを楽しみたい方
オープンシェルフとガラス扉付きヴィトリーヌを積極的に活用し、アートブック、オブジェ、酒器などのコレクションを美しく展示する構成が可能である。背面パネルのカラーを選べるため、ディスプレイの背景色までコントロールできる。

経年変化とメンテナンス

素材ごとの経年変化

天然木突板仕上げ
天然木は時間とともに穏やかな色味の変化を見せ、空間になじんでゆく「育つ」素材である。ウォールナットは赤みが深まり、オークは飴色に熟成する。この変化は天然素材でしか得られない。直射日光の長時間照射は不均一な褪色の原因となるため、設置場所への配慮が望ましい。
ラッカー仕上げ
マット仕上げは指紋が目立ちにくい。光沢仕上げは空間に華やかさを与えるが、その分指紋は残りやすい。いずれも日常的な清掃で状態を保てる。
ガラス・HDS(高耐久メラミン)
ガラス面は指紋が付きやすいが、適切な清掃で透明感を維持できる。HDSは耐摩耗性・耐汚染性に優れた素材であり、日常使いにおける実用性が高い。

日常メンテナンスの方法

天然木突板面
柔らかい布で乾拭きが基本。必要に応じて中性洗剤を薄く溶かした布で拭き、直後に乾拭きする。年に1〜2回、木部用のオイルまたはワックスの塗布で風合いを維持できる。水気は速やかに拭き取ること。
ラッカー面
柔らかいマイクロファイバークロスでの乾拭きが最適。汚れが付着した場合は、薄めた中性洗剤で拭き取った後に乾拭きする。研磨剤やアルコール含有のクリーナーはラッカー面を損傷するため使用不可。
ガラス面
ガラスクリーナーまたは水で湿らせた布で拭き、乾いた布で仕上げる。
金属部分(ヒンジ・脚部等)
柔らかい布での乾拭きで充分である。

修理・パーツ交換

Porro社は現在も製造を継続しており、正規販売店を通じてパーツの交換や修理の相談が可能である。ヒンジ、レール、棚板などの部品の在庫状況は正規販売店で確認できる。構成の変更や追加に後から応じられるのは、モジュラーシステムならではの利点である。

どこで買うか:正規販売店と購入方法

国内正規販売店

INTERIORS inc.(株式会社インテリアズ)
Porro社の日本国内正規ディーラー。Modern / Load-it、Modern Cabinet、Storage、Systemなど主要システムの取り扱い・相談・見積もりに対応。ショールームにて実物の確認および空間設計の相談が可能。モジュラーシステムであるため、設置空間の寸法・用途・素材の希望をもとにした個別見積もりが基本となる。公式サイト:interiors-inc.jp

海外正規販売店・ショールーム

Porro公式サイト(porro.com)
公式サイトのStore Locatorから最寄りの正規ディーラーを検索できる。本社所在地:Via per Cantú 35, 22060 Montesolaro (Co), Italia
Aram Store(aram.co.uk / ロンドン)
英国を代表するPorro正規ディーラー。Modernを含むシステム家具の展示あり。インテリアデザインの相談にも対応。
Luminaire(luminaire.com / マイアミ)
米国におけるPorroの主要販売パートナー。ショールームにてシステム家具の展示・体験が可能。
Chaplins(chaplins.co.uk / ロンドン)
英国のハイエンドデザイン家具専門店。Porro Modernの見積もりとプランニングに対応。
Undomus(undomus.com)
イタリアのデザイン家具専門オンラインプラットフォーム。Porro製品の見積もり依頼に対応している。

中古・ヴィンテージ市場

Porro Modernはモジュラーシステムであるため、中古市場での流通は個別のコンポジション単位となる。欧州のデザイン家具中古市場(Deesup等)において、特定の構成が取引されることがある。ただしモジュラーシステムである以上、自分の空間に合う構成が中古で見つかる確率は低い。正規販売店に見積もりを依頼するのが確実である。

購入時チェックリスト

  • 設置空間の正確な寸法測定(壁面の幅・高さ・奥行き、天井高、コンセント・スイッチの位置)
  • 使用目的の明確化(リビング収納・ダイニングキャビネット・TVユニット・書斎デスク等)
  • 素材・仕上げの選択(銘木突板 / マット・光沢ラッカー / ガラス / HDSからの組み合わせ)
  • 設置形態の選択(壁面設置型 / 床置き型 / フリースタンディング型)
  • 構成要素の確定(オープン / 扉付き / 引き出し / TVパネル / デスク等のバランス)
  • 拡張計画の検討(将来的なユニット追加やLoad-itとの組み合わせの可能性)
  • 正規販売店を通じた個別見積もりの取得
  • 搬入経路の確認(大型パネルや長尺部材の通過可能幅)
  • 設置工事の手配確認(壁面取付型の場合、壁面の強度確認と専門工事が必要)
  • 納期の確認(受注生産のため約8〜12週間を見込むこと)

配送・設置に関する注意事項

Porro Modernは、構成の複雑さに応じて複数の梱包に分けて納品される。壁面設置型の構成では、壁面への固定工事が必要となるため、建築・内装の専門業者との連携が推奨される。正規販売店を通じた購入の場合、設計・見積もりから設置工事まで一貫したサポートが受けられることが多い。海外からの個人輸入の場合は、国際配送料、関税・消費税に加え、現地での設置工事の手配が必要となる。

コーディネート事例

イタリアン・ミニマルスタイル

ムーンホワイトのラッカー仕上げユニットを壁面に沿わせ、一部にカナレットウォールナットのオープンシェルフを差す。床はライトグレーのコンクリートか大理石、壁は白。Porroの設計思想が最も素直に出る構成である。

ウォーム・コンテンポラリースタイル

ユーカリプタスやヘムロックの天然木突板を主体とする構成。壁面が木で覆われることで、部屋の温度が上がったように感じられる。フリッツ・ハンセンやカール・ハンセンなどの北欧家具、あるいはFlexform、Molteni&Cといったイタリアのブランドと合わせやすい。暖色系の照明との相性も良い。

コントラスト・アクセントスタイル

ラッカーの鮮やかな色を取り入れ、ニュートラルな空間に色彩のアクセントを加えるスタイル。オープンシェルフの背面にロッソ・チーナやブルー・レアーレを用い、ディスプレイの背景として使う——リッソーニがModernで繰り返し提案してきた手法である。

広さ別の配置ガイド

10〜15平方メートルの空間
壁面懸架型のシェルフ+デスク構成が最適。床面を占有せず、空間を広く使いながら収納とワークスペースを確保できる。コンパクトなサイドボード(幅120〜160cm程度)の床置き構成も有効。
15〜25平方メートルの空間
壁面一面を活用したサイドボード+オープンシェルフの構成が可能。TVパネルを組み込んだリビング収納として、あるいはダイニングキャビネットとして、空間の用途に応じた構成を選択できる。
25平方メートル以上の広い空間
Load-it書棚との組み合わせによる壁面フルコンポジション、あるいはフリースタンディング型によるルームディバイダー的な使い方も可能である。複数の壁面にModernを展開すれば、空間全体が一つの構成として立ち上がる。

よくある質問

Porro Modernの価格はどのくらいですか?
Porro Modernはモジュラーシステムであり、構成・素材・サイズにより価格は大幅に異なります。サイドボード単体の構成で約80万円〜、壁面フルコンポジションでは数百万円規模となる場合があります。正確な価格は、設置空間の寸法と希望する構成をもとに、正規販売店への見積もり依頼が必須です。
どこで購入できますか?
国内ではINTERIORS inc.(株式会社インテリアズ)がPorro社の正規ディーラーとして取り扱っています。海外ではPorro公式サイトのStore Locatorから最寄りの正規販売店を検索できます。Aram(ロンドン)、Luminaire(マイアミ)などのショールームでも展示・相談に対応しています。
実物を確認できる場所はありますか?
国内ではINTERIORS inc.のショールームにて実物の確認が可能です。海外ではPorro本社(イタリア・モンテソラーロ)のショールーム、およびミラノ市内のPorroショールームにてフルラインナップの体験が可能です。ミラノサローネ期間中にはPorroの展示も毎年行われています。
注文してからどのくらいで届きますか?
受注生産のため、約8〜12週間が標準的な納期です。構成の複雑さ、選択した素材・仕上げ、配送先により前後する場合があります。壁面設置型の場合は、設置工事のスケジュール調整も必要です。
モジュラーシステムとは、具体的にどういうことですか?
Porro Modernは、400mmの正方形を基本モジュールとして、収納ユニット、オープンシェルフ、サイドボード、TVパネル、デスクなど多様なエレメントを組み合わせ、設置空間と用途に合わせた自由な構成を実現するシステムです。完成品ではなく、住む人の暮らし方に合わせてオーダーメイドで構成を設計します。将来的な構成変更やユニットの追加も可能です。
素材はどのように選べばよいですか?
多樹種の天然木突板とマット・光沢のラッカーカラー、さらにガラスやHDS(高耐久メラミン)から選択可能です。空間のインテリアスタイル、使用頻度、お好みに応じて選択してください。正規販売店では素材サンプルを実際に手に取って確認できるため、来店の上での比較検討を推奨します。天然木は経年変化を楽しめる一方、ラッカー仕上げは長期にわたり均一な美しさを維持します。
設置工事は必要ですか?
構成により異なります。床置き型やフリースタンディング型の構成は比較的簡易な設置で対応できますが、壁面取付型の構成では壁面への固定工事が必要です。壁面の強度確認を含め、正規販売店を通じて専門の設置業者を手配することを推奨します。
他に検討すべきPorroの収納システムはありますか?
Porro社は、Modernのほかにも複数の収納システムを展開しています。壁面書棚に特化したSystem、ワードローブ・ウォークインクローゼット用のStorage、グラフィカルな書棚のLoad-it、キャビネットの新シリーズであるModern Cabinet Collectionなど、用途に応じた選択肢があります。複数のシステムを組み合わせた統合的な空間設計も可能です。各システムの詳細は、収納家具カテゴリページをご覧ください。