ファン 1DMは、ヴェルナー・パントンが1964年に発表したファン シリーズのペンダントである。天然の貝殻(マザーオブパール)を円盤状に加工し、ステンレス鋼の細い環でつないで吊り下げる。
三段のクロームメッキ環からなる骨組みに、その円盤の連なりを掛ける。シリーズのなかでは中型にあたる。
特徴・コンセプト
貝殻の円盤は光を通し、同時に反射する。中心の光源は円盤に隠れて直接見えず、室内へは板を透過した光と、表面で反射した光が届く。虹色の光沢を持つ素材のため、天井や壁には均一ではない光と影の模様が落ちる。
円盤は細い環でつながれているだけで固定されていない。光源の発熱による上昇気流や、室内の空気の動きに応じて揺れる。このとき円盤どうしが触れ合い、風鈴に近い音が出る。視覚だけでなく聴覚にも働きかける点が、この照明の特徴になっている。
寸法は直径450mm、高さ600mm。素材は貝殻の円盤、クロームメッキの金属フレーム、ステンレス鋼の環による。
マザーオブパールは天然素材のため、個体ごとに色味が異なる。パントンはアルミニウム製の円盤による仕様も手がけたが、貝殻を透過する光を特に好んだとされる。
背景
ファン シリーズは1964年のケルン家具見本市で発表された。当時の照明としては前例のない構成で、評価は分かれた。称賛する者もいれば嘲笑する者もいたが、無関心でいられた者はいなかったと伝えられている。
パントンは身の回りの世界を着想の源としていた。海、浜辺、太陽、光、音、砂。ファンはその要素を、細部の集積として一つの照明にまとめた仕事にあたる。自然が持つ素材の性質と、設計上の要求を組み合わせるという姿勢が現れている。
シリーズには円盤の房の数と大きさによって複数の型番が用意されている。1DMは中型で、房を複数持つ3DM、5DM、あるいはより大きな塊をなす7DM、8DM、11DMなどが並ぶ。金属円盤によるファン メタルの系統もある。
評価
実務では、ダイニングテーブルの上や階段の吹き抜けに吊る使い方が多い。円盤が揺れて音を立てるため、空調の吹き出し口の近くや出入りの多い場所では音が気になる場合がある。逆に、その音を目的として選ぶこともある。
貝殻は割れやすく、清掃時には注意が要る。交換用の部材はヴァーパンから供給される。同じパントンの照明では、VPグローブ ペンダントライトが透明アクリル球のなかに反射体を収める構成を、フラワーポット VP1が半球を向かい合わせて光源を隠す構成を示す。
ヴェルナー・パントンの設計思想や経歴について詳しくはヴェルナー・パントンプロフィールページをご覧ください。
ヴァーパンの歴史や他の製品について詳しくはヴァーパンブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ヴェルナー・パントン / Verner Panton |
|---|---|
| 発表年 | 1964年(ケルン家具見本市) |
| ブランド | ヴァーパン / Verpan |
| カテゴリー | ペンダントライト |
| 素材 | 貝殻(マザーオブパール)の円盤、クロームメッキ金属フレーム、ステンレス鋼の環 |
| サイズ | 直径450mm × 高さ600mm |
| シリーズ | ファン(0DM / 1DM / 3DM / 4DM / 5DM / 7DM / 8DM / 11DM ほか、金属円盤仕様のファン メタルも) |
| 製造 | デンマーク |