このページについて
トリックス Aチェアは、グザビエ・ポシャールが1934年に設計しトリックスが製造する椅子である。亜鉛めっきした鋼板を打ち抜いて成形する。屋外で使え、重ねられる。座面には排水のための穴が開く。
このページでは、正規品の仕様と識別、屋外で使う場合の条件、正規品とライセンスを受けていない製品との差、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
グザビエ・ポシャールの設計思想や経歴について詳しくはグザビエ・ポシャール プロフィールページをご覧ください。
トリックスAチェアのデザインストーリーについて詳しくはトリックスAチェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
トリックスAチェアの正規品は、1927年の創業以来変わらず、フランス・ブルゴーニュ地方オータンの歴史的工場において、スタンピング、折り曲げ、ロウ付け、研磨という伝統的な工程を経て、職人の手作業で製造されている。1脚あたり約100の手作業工程を要するこの製造プロセスは、2006年にフランス経済財政省から「企業遺産生きた(Entreprise du Patrimoine Vivant)」のラベルが授与される根拠となった。素材の99%がリサイクル可能であり、現代のサステナビリティ基準にも適合している。
| 正式名称 | Chaise A / A Chair(Aチェア)、別名 Marais A Chair |
|---|---|
| 製造国・製造地 | フランス |
| 主要素材 | 亜鉛めっきした鋼板。一部の仕様はステンレススチールによる |
| サイズ | 幅440 × 奥行515 × 高さ850mm、座面高430mm |
| 重量 | 約4.5kg |
| スタッキング | 可能。重ねられる脚数はメーカーの案内による。販売店の記述では12脚とするものがある |
| 屋外使用 | 対応する。亜鉛めっきによる。座面に排水のための穴が開く |
| 製造工程 | 鋼板の打ち抜き、折り曲げ、接合、研磨といった工程を経る |
| リサイクル率 | 金属を主体とする構成による |
| 保証 | 10年間 |
| 認証 | Entreprise du Patrimoine Vivant(EPV)2006年取得 |
| 参考価格(日本国内、税込目安) | トリックスは公式サイトで価格を公表している(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なる。仕上げと色で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| 収蔵美術館 | ポンピドゥーセンター、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム(メーカー公表による)。当サイトの照合対象4館では確認できていない |
カラーバリエーションと仕上げ
正規品のAチェアは、伝統的な亜鉛メッキ仕上げ(ブリュット・ヴェルニ)のほか、パウダーコート塗装による豊富なカラーバリエーションが展開されている。Tolix公式サイトで直販されるMFT版では、ピュアホワイト、オイスターホワイト、ベージュグリ、ブランヴェール、リードグリーン、モスグリーン、ブラックブラウン、ジェットブラック、ヴァーニッシュドロースチール等の9〜12色が展開され、中間業者を介さないメーカー直販価格で提供されている。亜鉛メッキのままの「ブリュット・ヴェルニ」仕上げは、工業製品としてのAチェアの原点を最も直接的に示す仕上げであり、独特の鈍い銀灰色の光沢と、使い込むほどに深まる経年変化が愛好者に支持されている。
バリエーションモデル
Aチェアを基本型として、Tolixはファミリー製品を展開している。
- A56 アームチェア
- Aチェアにアームレストを追加したモデル。1956年にジャン・ポシャールが改良。よりくつろいだ着座が可能で、ダイニングやカフェテラスで人気。
- H スツール
- Aチェアのデザイン言語を継承したバースツール。カウンター高(H650mm)とバー高(H750mm)の2サイズ展開。バーやキッチンカウンターに最適。
- T37 テーブル
- Aチェアと同じ亜鉛メッキ鋼板によるラウンドビストロテーブル。直径600mmのコンパクトなサイズで、カフェテラスの定番。
正規品とライセンスを受けていない製品の違い
権利者のライセンスを受けていない同型の製品が広く流通している。公表されている情報から確認できる差を整理する。仕様が公表されていない項目は「公表なし」と記し、推測では埋めていない。
公表されている仕様
トリックスは、素材が亜鉛めっきした鋼板であること、寸法(幅440×奥行515×高さ850mm、座面高430mm)、重量約4.5kg、フランスでの製造、10年の保証、選べる仕上げと色を公表している。
ライセンスを受けていない製品では、これらの仕様が公表されていない場合が多い。鋼板の厚みは重量に現れる。同じ形状でも板が薄ければ軽くなり、座ったときの撓みが変わる。
保証
正規品には10年の保証が付く。屋外で使う前提の製品では、この期間が判断材料になる。
| 比較項目 | 正規品(トリックス) | ライセンスを受けていない製品 |
|---|---|---|
| 素材 | 亜鉛めっきした鋼板(公表) | 公表なし |
| 重量 | 約4.5kg(公表) | 公表なし |
| 寸法 | 幅440×奥行515×高さ850mm(公表) | 公表なし |
| 製造国 | フランス(公表) | 公表なし |
| メーカー保証 | 10年 | 対象外 |
類似商品・競合との比較
屋外で使える椅子は、素材と水の抜け方で性格が分かれる。重ねられるかどうかも、使わない時期の扱いに関わる。
| 比較項目 | トリックス Aチェア | ナガサキチェア | ベジタルチェア |
|---|---|---|---|
| 素材 | 亜鉛めっきした鋼板 | 粉体塗装のスチール | ガラス繊維で強化したポリアミド |
| 水の抜け | 座面の穴から落ちる | 穴から落ちる | 抜きから落ちる |
| 屋外での使用 | 対応する | 屋内向け | 対応する |
| 重ねられるか | 可 | 不可 | 可 |
| 脚の数 | 4本 | 3本 | 4本 |
| 重量 | 約4.5kg | 約5.4kg | 約5.5kg |
選び分けの目安
- 屋外に置きっぱなしにする場合
- 亜鉛めっきによる防錆処理が施され、座面の穴から水が抜ける。塗装のみの製品より、屋外の条件に対応する。
- 使わない時期に片付ける場合
- 重ねられるため、複数脚をまとめて収められる。重ねられない椅子では、置いたままの場所が要る。
- 金属の質感を避けたい場合
- 座面と背もたれが金属のため、直接座ると温度が伝わる。夏の日差しの下では熱を持ち、冬は冷たい。
使用感と設置条件
屋外で使う
亜鉛めっきによる防錆処理が施される。座面には穴が開き、雨が降っても水が溜まらずに落ちる。
いっぽうで、めっきや塗装が剥がれた箇所からは錆が進む。重ねる際に擦れる箇所、脚の先端が主な起点になる。
金属のため、日差しの下では熱を持つ。座る前に温度を確かめる。冬は冷たくなる。
重ねる
重ねられる構造をとる。重ねられる脚数はメーカーの案内による。
重ねる際、椅子どうしが接する箇所で塗装が擦れる。頻繁に重ねる場合、この箇所から傷みが進む。
座り方と寸法
幅440×奥行515×高さ850mm、座面高430mm。重量は約4.5kgで、片手で持ち上げられる。
座面と背もたれは金属を成形したもので、詰め物を持たない。長時間座る場合はクッションを載せることになる。
背もたれの上端に手を掛ける開口があり、持ち運ぶ際に使える。
経年変化とメンテナンス
素材に起きること
亜鉛めっきは、鋼に亜鉛の層をつくって錆を防ぐ。傷が付いて鋼が露出しても、周囲の亜鉛が先に反応するため錆が広がりにくい。ただし亜鉛の層が失われた箇所では鋼が錆びる。
塗装した仕上げでは、塗膜が剥がれると下地が現れる。屋外に置く場合、この箇所から錆が進む。
屋外で長年使うと、めっきの表面が白く曇る。これは亜鉛の酸化によるもので、下地を守る働きは続く。
日常の手入れ
- ふだん
- 水で洗える。汚れは薄めた中性洗剤で落とす。洗った後は水気を残さない。
- 避けるもの
- 研磨剤と金属たわしはめっきと塗膜を削る。削った箇所から錆が始まる。
- 重ねる前
- 砂や埃が付いたまま重ねると、接する箇所が擦れる。拭いてから重ねる。
- 脚裏
- 保護材の状態を確かめる。失われると床を傷め、脚の先端からも錆が進む。
どこで買うか
取扱店の調べ方
トリックスは公式サイトで製品情報と価格を公開している。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なるため、正規取扱については輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
注文の際に決めるのは仕上げと色である。屋外で使う場合、めっきのままの仕上げか塗装の仕上げかによって、経年での見え方が変わる。
実物を確認する
金属を成形した座面の当たり方は、座ってみないと分からない。屋外で使う場合、日差しの下での温度も踏まえておく。
中古の流通
長期にわたって生産されているため、古い個体も流通している。相場は年式、仕上げ、状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、めっきや塗装の剥がれと錆(とくに脚の先端と重ねる際に接する箇所)、座面の変形、脚の曲がり、脚裏の保護材の有無である。屋外で使われた個体では、表面の曇りが進んでいる。
購入前チェックリスト
- 仕上げと色(めっきのまま/塗装。経年での見え方が変わる)
- 屋内で使うか屋外で使うか
- 設置場所の寸法(幅440×奥行515×高さ850mm)
- 重ねて収納するか(接する箇所が擦れる)
- 詰め物を持たないこと(長時間座る場合はクッションを併用)
- 金属のため日差しの下で熱を持つこと
- 中古の場合、脚先と重ねる箇所の錆
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- トリックスは公式サイトで価格を公開しています(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なり、仕上げと色で価格が変わります。輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- トリックスの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。
- 屋外で使えますか?
- 使えます。亜鉛めっきによる防錆処理が施され、座面には穴が開いているため雨が降っても水が溜まらずに落ちます。ただしめっきや塗装が剥がれた箇所からは錆が進みます。重ねる際に擦れる箇所と脚の先端が主な起点になります。
- 重ねて収納できますか?
- できます。重ねられる脚数はメーカーの案内をご確認ください。重ねる際に椅子どうしが接する箇所で塗装が擦れるため、頻繁に重ねる場合はこの箇所から傷みが進みます。砂や埃を拭いてから重ねてください。
- 座り心地はどうですか?
- 座面と背もたれは金属を成形したもので、詰め物を持ちません。長時間座る場合はクッションを載せることになります。背もたれの上端に手を掛ける開口があり、持ち運ぶ際に使えます。重量は約4.5kgで片手で持ち上げられます。
- 夏や冬に座ると熱かったり冷たかったりしませんか?
- 金属のため、日差しの下では熱を持ちます。座る前に温度をお確かめください。冬は冷たくなります。
- 正規品かどうかはどう見分けますか?
- トリックスは素材、寸法(幅440×奥行515×高さ850mm、座面高430mm)、重量約4.5kg、フランスでの製造、10年の保証を公表しています。鋼板の厚みは重量に現れ、同じ形状でも板が薄ければ軽くなり座ったときの撓みが変わります。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 水で洗えます。汚れは薄めた中性洗剤で落とし、洗った後は水気を残さないでください。研磨剤と金属たわしはめっきと塗膜を削り、削った箇所から錆が始まります。脚裏の保護材の状態も定期的にお確かめください。