概要
グザビエ・ポシャール(1880-1948)は、フランスの板金職人・製造者である。1907年にフランスで亜鉛めっきの技術を導入し、鋼板の製品を製作した。1934年に発表した椅子Aは、めっきした鋼板を打ち抜いて曲げ、リベットで組んだ屋外用の椅子で、積み重ねができる。設計の専門教育は受けていない。
バイオグラフィー
1880年3月27日、フランスのブルゴーニュ地方に生まれた。屋根職人の家系にあたる。
1907年、亜鉛めっきの技術をフランスに導入した。鋼板に亜鉛の被覆を施すことで、錆びにくくなる。
1927年、ブルゴーニュのオータンでトリックス(のちのトリックス社)を設立した。当初は工業用の容器と部品を製作している。
1934年に椅子Aを発表した。屋外で使える家具として、飲食店の外部空間や公共の場で広く用いられている。1948年に没した。
デザインの思想と方法
ポシャールは板金の職人であり、設計者ではない。彼が扱ったのは、めっきした鋼板をどう加工すれば家具になるかという問題である。工程は打ち抜き、曲げ、リベット留めに限られ、この範囲で形が決まる。
めっきで耐候性を得る
亜鉛めっきを施した鋼板は、屋外に置いても錆びにくい。塗装と違って剥がれず、傷がついても下地が保護される。屋外で使う家具の前提になる。
打ち抜きと曲げで作る
平らな鋼板を型で打ち抜き、曲げて立体にする。溶接ではなくリベットで組むため、工程が単純で、部品の交換もできる。板金の設備だけで製作できる。
積み重ねを条件にする
脚の角度と座面の形状を、積み重ねたときに噛み合うよう決める。飲食店では営業時間外にまとめて保管するため、この条件が導入の可否を分ける。
座面に孔を開ける
座面に孔を設けることで、雨水が抜け、重量も減る。屋外に置く椅子では、水が溜まらないことが要求になる。
代表作にみる方法
椅子A(1934年)
めっきした鋼板を打ち抜いて曲げ、リベットで組んだ椅子である。座面に孔があり雨水が抜ける。脚の角度と座面の形状が、積み重ねたときに噛み合うよう決められている。飲食店の外部空間や公共の場で広く用いられた。→トリックスAチェア
椅子T
椅子Aの背もたれの形を変えた型である。同じ工程で作られ、部材も共通する。
スツール・卓
同じ鋼板と工程による腰掛けと卓である。椅子と部材を共通にすることで、製作の体系が一つにまとまる。
工業用の容器・部品(1927年〜)
設立当初の主要な製品である。めっきした鋼板による容器と部品を製作した。家具はこの技術の延長にあたる。
評価と影響
ポシャールは、設計の専門教育を受けていない板金職人として言及される。工程の範囲から形が決まるという条件が、製品の性格を規定している。
椅子Aは1934年の発表から現在まで生産が続いている。屋外で使えること、積み重ねられることという条件が変わっていないためである。
飲食店の外部空間や公共の場で広く用いられ、フランスの屋外家具として知られるようになった。近年は屋内でも使われている。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。フランス国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1907年 | 技術 | 亜鉛めっき技術の導入 | フランス |
| 1927年 | 会社 | トリックス 設立 | オータン、フランス |
| 1927年〜 | 工業製品 | 工業用の容器・部品 | Tolix |
| 1934年 | 椅子 | トリックスAチェア | Tolix |
| 1930-40年代 | 家具 | 椅子T、スツール、卓 | Tolix |
プロフィール
| 生没年 | 1880年3月27日〜1948年 |
|---|---|
| 出身地 | フランス・ブルゴーニュ |
| 国籍 | フランス |
| 活動拠点 | オータン |
| 分野 | 屋外家具、板金 |
| 主な協働ブランド | Tolix |
Reference
- Tolix(公式)
- https://www.tolix.fr/en/
- Musée des Arts Décoratifs, Paris
- https://madparis.fr/en