概要

レッドチェアは、コーア・クリントが1927年に設計したアームチェアである。無垢材のフレームに、背と座を張り込む。クリントがデンマーク王立芸術アカデミーに家具科を設立した時期の仕事にあたる。現在はカール・ハンセン&サンが製造している。

特徴・コンセプト

調査から寸法を決める

クリントは、過去の家具を実測し、あわせて人体の寸法を測り、その両方から必要な寸法を導いた。感覚で形を決めるのではなく、調査を出発点に置く方法である。レッドチェアはその手順が形になった例にあたる。

背もたれはわずかに傾き、肘掛けは水平に近い。深く沈み込む姿勢ではなく、姿勢を保って座る用途に合わせた設定である。

仕口を見せる

フレームの接合部は覆われず、そのまま表に出る。装飾を持たないため、部材の寸法と角度だけで形が決まる。座と背は張り込みで、レザーまたはファブリックで仕上げられる。

エピソード

クリントは1888年に生まれ、1954年に没した。デンマーク王立芸術アカデミーに家具科を設け、初代の教授を務めている。教え子にはボーエ・モーエンセン、オーレ・ヴァンシャーらがおり、ヴァンシャーは後に教授職を引き継いだ。

過去の家具を研究したうえで、必要な要素だけを残して組み直すという手法は、この師弟関係を通じて次の世代へ渡った。モーエンセンによるJ39 ピープルズチェアは、クリントが1936年に設計した教会用の椅子を単純化したものにあたる。

評価と影響

クリント自身の設計では、ファウボーチェア(フォーボーチェア)(1914年〜)やサファリチェア(1933年)が知られる。ファーボーが美術館用として軽さを持ち、サファリチェアが分解できる可搬性を持つのに対し、レッドチェアは据えて使う応接用の性格を持つ。

張り地はレザーとファブリックで印象が変わるため、置く場所に応じた選択になる。

基本情報

名称 レッドチェア / Red Chair
デザイナー コーア・クリント(Kaare Klint)
ブランド カール・ハンセン&サン(Carl Hansen & Søn)
発表年 1927年
デザインの成立国 デンマーク
分類 アームチェア
主要素材 フレーム:無垢材/座・背:レザーまたはファブリック
構造 仕口を覆わず表に出す。装飾を持たない
設計手法 過去の家具の実測と人体寸法の調査から寸法を導く
同じ設計者の作品 ファーボー チェア(1914年〜)、サファリチェア(1933年)

Reference