グラン レポ – 古典的なウイングチェアの系譜を受け継ぐラウンジチェア

ヴィトラのグラン レポは、イタリアの建築家・デザイナーであるアントニオ・チッテリオが2011年に発表したラウンジチェアである。クラシックなウイングチェアの伝統を受け継ぎながら、オフィスチェア開発で培った先進的なメカニズムを住空間に導入した本作は、快適性と動きの自由を両立させた意欲作として、現代のインテリアシーンで広く受け入れられている。

特徴・コンセプト

グラン レポの最大の特徴は、豊かなパディングと包み込むようなアームレスト、そして頭部を優しく覆う表情豊かなウイングエレメントが織りなす、深い安心感と快適性にある。一見すると伝統的なウイングチェアを彷彿とさせるその佇まいの内部には、ヴィトラがオフィスチェアの分野で長年にわたり蓄積してきたシンクロナイズドメカニズムが組み込まれている。

この機構はアップホルスタリーの下に完全に隠蔽されており、着座者は直立した読書姿勢からリクライニングした休息姿勢まで、シートと背もたれの角度が連動して無段階に変化する。任意の位置でロックすることが可能であり、さらに背もたれの抵抗力は使用者の体重に合わせて手動で調整できる。これにより、あらゆる姿勢において最適な脊椎のサポートが実現される。

特徴的なヘッドレスト部分は、周囲の視線や雑音を遮り、隠れ家のような静謐な空間をもたらす。張地に施された装飾的なステッチは、職人の手仕事を想起させる繊細なディテールであり、チェア全体にコンテンポラリーかつテクニカルな印象を与えている。

サステナビリティへの取り組み

グラン レポは環境への配慮においても先駆的な姿勢を示している。内部構造に使用されるプラスチック部品の95%はリサイクル素材から製造されている。また、クッション材にはヴィトラとBASF社が共同開発したリサイクル可能なポリウレタンフォーム「V-Foam」が採用されている。近年の製品アップデートにより張地は取り外し可能となり、メンテナンス性の向上とともに製品寿命の延長に寄与している。

エピソード

グラン レポとレポのコレクションは、チッテリオがオフィスチェアの開発で培った、動きと健康に配慮した座り心地の知見を、初めて住空間のための家具に応用したものである。ヴィトラとチッテリオの協働は1988年から続いており、その蓄積が本作の機構に生かされている。

チッテリオ自身、イームズ ラウンジチェアという名作を擁するヴィトラのために新たな椅子を開発することは、またとない挑戦だったと述べている。ラウンジチェアの事実上の標準とされるイームズと同じブランドから、新たな座の価値を提示する試みであった。

グラン レポは、ウイングのないスリムなバリエーション「レポ」とともにコレクションを構成し、オットマンやパンキーナ(ベンチ)といった関連アイテムも用意されている。

評価

グラン レポは、デザイン業界において高い評価を受けている。バイオメカニクスに基づく動きの自由度と、上質なアップホルスタリーの組み合わせは、従来のラウンジチェアにはなかった価値を提案するものと受け止められている。

ホスピタリティ分野においても、ホテルのロビーやラウンジスペースに導入される事例が多く、5cm高いベースを備えたハイシートバージョンは、パブリックスペースでの使用に特に適しているとされる。住宅、オフィス、ホテルなど多様な空間に調和する汎用性の高さもまた、本作が幅広く支持される理由のひとつである。

基本情報

商品名(日本語) グラン レポ
商品名(英語) Grand Repos
デザイナー Antonio Citterio(アントニオ・チッテリオ)
デザイン年 2011年
ブランド Vitra(ヴィトラ)
製造国 ドイツ
分類 ラウンジチェア
サイズ(ローシート) W742 × D811 × H1098 mm(座面高 400mm)
サイズ(ハイシート) W742 × D811 × H1150 mm(座面高 450mm)
構造・素材 リサイクル可能ポリウレタンフォーム(V-Foam)、ウェブベルト付きプラスチックフレーム、シンクロナイズドメカニズム内蔵
ベース ダイキャストアルミニウム製4スターベース(ポリッシュ仕上げまたはパウダーコート仕上げ)
張地 ファブリックまたはレザー(取り外し可能)
付属品 フェザー入りネッククッション
関連アイテム オットマン、パンキーナ(ベンチ)、レポ(ウイングなしバージョン)