アナグラムは、ステファノ・パンテロットとアレクシス・トゥーロン(パンター&トゥーロン)がヴィトラのために設計したモジュラーソファである。2024年発表。名称のとおり、限られた要素を並べ替えることで異なる構成をつくる仕組みを持つ。

単一の製品ではなく、11種類の部材からなるファミリーとして構成される。プラットフォーム状の台座を島として扱い、四方向すべてに他のモジュールを接続できる。

特徴・コンセプト

基本となるのはプラットフォームである。これに背もたれ、サイドパネル、取り付け式のテーブルといった要素を組み合わせる。小さくも大きくも、片面にも両面にも、閉じた形にも開いた形にも構成でき、必要が変われば組み替えられる。

脚はパウダーコートを施したリサイクルアルミニウム、本体はウェビングを張ったアルミニウムフレーム。背クッションの詰め物は使用済み製品由来のリサイクルPET繊維100%を用いる。座クッションはポリウレタンフォームのコアを個別のポケットに収め、その上にチャンバークッションを重ねる構造で、ソフトとミディアムの2種類の硬さが用意される。

座面高はソフト仕様で415mm、ミディアム仕様で430mm。プラットフォーム同士の接続にはリサイクルポリアミド製のコネクターを用いる。

素材と分解性

部材が接着・ラミネート・発泡で一体化されていない点が、この製品の構成上の特徴となる。すべての要素が他の素材から独立しているため、製品の寿命が尽きた段階で素材ごとに分けて再資源化または適切に処分できる。

パネルはバイオファイバーボードにポリエステル繊維とカバーを組み合わせたもの。取り付け式テーブルの天板は無垢材で、オーク(オイル仕上げ)、アッシュ(ブラックのラッカー仕上げ)、アッシュ(コットンホワイトのオイル仕上げ)から選べる。木材は西ヨーロッパおよびポーランド産のヨーロッパナラとセイヨウトネリコを用いる。

カバーは取り外して洗浄・交換ができる。ただし洗濯機は使えず、専門業者による洗浄が指定されている。パネルカバーの交換や取り付け金具の設置にはトルクレンチが必要になる。

背景

パンテロットとトゥーロンは2016年にスタジオを設立し、ヴィトラとの協働は2023年に始まっている。

ヴィトラは製品開発の指針として、素材の分離可能性、モジュール性、分解のしやすさ、修理可能性、抑制された造形などを掲げている。アナグラムはこの指針を住宅向けソファに適用した例にあたる。同じヴィトラのソフトシェル ソファが硬い外殻と柔らかい中身を分けたのに対し、アナグラムは部材そのものを接着せずに分離できる状態で組む。

評価

実務では、住まいの変化に合わせて構成を変えられる点が利点になる。引っ越しや家族構成の変化があっても、部材を足し引きして間取りに合わせ直せる。単品の買い替えではなく部分の交換で対応できるため、初期投資を長く使う運用に向く。

クッションは柔らかく厚みがあり、座るだけでなく寝そべる姿勢にも対応する。一方、この種の柔らかい張りでは、座り皺やチャンバークッションの輪郭が表面に現れる。ヴィトラはこれを仕様上の特性として説明しており、形を保つには定期的にクッションを振って整える必要がある。

基本情報

デザイナーステファノ・パンテロット / Stefano Panterotto、アレクシス・トゥーロン / Alexis Tourron(Panter&Tourron)
発表年2024年
ブランドヴィトラ / Vitra
カテゴリーモジュラーソファ
構成11種類のモジュール・エレメント(プラットフォーム、背もたれ、サイドパネル、取り付け式テーブルほか)
リサイクルアルミニウム(パウダーコート)
本体ウェビング付きアルミニウムフレーム
クッションポリウレタンフォームコア+リサイクルPET繊維100%のチャンバークッション(ソフト / ミディアム)
座面高ソフト 415mm / ミディアム 430mm
天板(オプション)オーク(オイル)、アッシュ(ブラックラッカー)、アッシュ(コットンホワイトオイル)
カバー取り外し可能(専門洗浄、洗濯機不可)