概要
9090は、リチャード・サッパーが設計しアレッシィが1978年に発表した直火式エスプレッソメーカーである。同社初のキッチン製品にあたる。上部と下部をレバーで固定する機構と、上方へ窄まる円錐台形の本体を持つ。
素材は18/10ステンレススチールによる。1978年の発表以来、基本設計を変えずに生産が続いている。
デザインの特徴とコンセプト
レバーロック機構
下部と上部をねじで結合する方式では、締め付けの程度が使う人に委ねられる。締めが足りなければ蒸気が漏れ、締めすぎればパッキンが傷む。レバーで固定すれば、閉じた位置が機構によって一つに定まる。片手で操作できる。
円錐台形のボイラー
直火にかける器具では、底面が広いほど熱を受ける面積が増える。同じ容量なら、上方へ窄めることで底を広く取れる。接地面が広いため、五徳の上でも安定する。
液だれ防止注ぎ口
注ぎ口の先端は、液体が外壁を伝わないよう角度をつけて切られている。液体は表面張力で壁面に沿うため、縁が鋭く立ち上がっていれば流れが切れる。
素材と仕上げ
本体には18/10ステンレススチール(クロム18%、ニッケル10%)を用いる。アルミニウムは酸に反応して表面が変質するが、ステンレスならコーヒーの成分による腐食が起きない。ハンドルには熱伝導の低い素材を用いる。
誕生の背景
9090は、アレッシィがキッチン分野へ参入する最初の製品として設計された。
1979年にコンパッソ・ドーロを受賞している。
評価と影響
1カップ用から10カップ用まで展開される。同じ形状のまま寸法を変えるため、容量が変わっても底面と高さの比が保たれる。
閉じる位置を機構で定める扱いは、同じアレッシィのアンナ G. コルクスクリューがレバーの動きで抜栓の力を得るのとも近い。注ぎ口の切り方で液だれを防ぐ扱いはEM77 クラシックバキュームジャグや柳宗理 ステンレスケトルにも見られる。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。同館は「Espresso Coffee Maker (model 9090)」として登録しており、素材はスチール、製造元からの寄贈と記録されている。
- MoMA エスプレッソコーヒーメーカー(model 9090、1978年) 収蔵番号 262.1979
リチャード・サッパーの設計思想や経歴について詳しくはリチャード・サッパープロフィールページをご覧ください。
アレッシィの歴史や他の製品について詳しくはアレッシィブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称(日本語) | 9090 エスプレッソコーヒーメーカー |
|---|---|
| 名称(英語) | 9090 Espresso Coffee Maker |
| デザイナー | Richard Sapper(リチャード・サッパー)/ ドイツ / 1932–2015 |
| デザイン年 | 1979年(設計は1978年) |
| ブランド | Alessi(アレッシィ)/ イタリア |
| 製造国 | イタリア(オメーニャ) |
| 素材 | 本体:18/10ステンレススチール(鏡面仕上げ)、ハンドル:鋳鉄、底面:マグネティックスチール(IH対応) |
| サイズ展開 | 1カップ用(9090/1)、3カップ用(9090/3)、6カップ用(9090/6)、10カップ用(9090/M) |
| 寸法(3カップ用) | 約 直径11cm × 高さ17.5cm |
| 寸法(6カップ用) | 約 直径12.5cm × 高さ20.5cm |
| 重量(3カップ用) | 約650g |
| 重量(6カップ用) | 約920g |
| 容量 | 1カップ:約70ml / 3カップ:約150ml / 6カップ:約300ml / 10カップ:約500ml |
| 対応熱源 | ガス、電気(ラジエントヒーター)、セラミック、IH(電磁調理器) |
| 主な受賞 | コンパッソ・ドーロ(1979年)、MoMA 永久コレクション収蔵(収蔵番号262.1979) |