概要
Etch Candleholder は、トム・ディクソンが2010年に発表したキャンドルホルダーである。厚さ0.4mmの金属シートにエッチングで多数の穴を開け、平面を組み立てて多面体を構成する。
特徴・コンセプト
球面を平面で近似するには、面の形と数を決める必要がある。すべて同じ形では球にならないため、五角形を不規則に組み合わせて曲率を分散する。測地線構造と呼ばれる考え方による。
穴を通った光は、周囲の壁や天井に穴の配置と同じ模様を投影する。点光源に近い炎では、投影される模様が距離に応じて拡大される。器そのものより広い範囲に模様が現れる。
素材は真鍮、銅、ステンレススチール、黒の4種。内側の面が炎を反射するため、素材の色が漏れる光の色に影響する。
デザインエピソード
組み立てには、薄い金属板をタブで接続する方法を用いる。溶接すれば接合部に熱が加わり薄板が歪むが、折り曲げたタブを差し込む方式なら熱を加えずに組める。ブリキ玩具の製造に用いられてきた手法にあたる。
穴あけには、電子部品の製造に用いられるフォトエッチングを転用している。打ち抜きでは金型が必要で、穴の形ごとに型を作り替える必要がある。エッチングは薬液で溶かすため、図案を変えても工程が変わらない。
「数学と幾何学の長年にわたる探求の中での新たな実験」とディクソン自身が語るように、Etchシリーズは彼の継続的な研究の成果であり、純粋な形態の美しさと機能性を追求した結果として生まれました。
評価と影響
消灯時は多面体の輪郭だけが見え、点灯時には穴を通った光が周囲へ模様を投じる。同じトム・ディクソンによるビート ライトやヴォイド ペンダントが反射面の性質で光を扱うのに対し、こちらは面に開けた穴で光を分ける。
平板を組み立てる構造のため、組み立て前は平たく梱包できる。完成品として輸送すれば体積が大きくなる。
炎を反射させるチューリップキャンドルホルダーは光を面で返すのに対し、こちらは光を穴で通す。Etch Candleholder の美術館収蔵は、公開情報の範囲では確認できていない。
発表・展示
Etchシリーズは2010年のミラノデザインウィークで発表された。2012年には同じ技法による大型のペンダント照明が加えられている。寸法が大きくなると穴の数も増えるが、エッチングでは工程が変わらない。
トム・ディクソンの設計思想や経歴について詳しくはトム・ディクソンプロフィールページをご覧ください。
トム・ディクソンの歴史や他の製品について詳しくはトム・ディクソンブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | トム・ディクソン(Tom Dixon) |
|---|---|
| ブランド | Tom Dixon |
| 発表年 | 2010年 |
| サイズ | 直径12.6cm × 高さ10.2cm |
| 素材 | 真鍮、銅、ステンレススチール、ブラック仕上げ |
| 板厚 | 0.4mm |
| 製造技術 | デジタル酸エッチング加工 |
| カラーバリエーション | ブラス、カッパー、ステンレススチール、ブラック |
| コレクション | Etchコレクション |
| デザイン | イギリス(英国) |