概要

カンタレッリ花瓶は、タピオ・ヴィルカラが1946年に設計したガラスの花瓶である。名称はフィンランド語でアンズタケを指す。口縁が外へ広がり、外側に細い縦線の彫刻が施される。イッタラが製造している。

特徴・コンセプト

線刻で光の入り方を変える

外側の表面には細い縦線がホイールカットで刻まれる。平滑なガラスは光をそのまま通すが、細かい溝があると溝ごとに屈折の向きが変わる。線の密度と深さによって、透明な部分と白く見える部分の割合が決まる。装飾であると同時に、光の通り方を制御する処理にあたる。

口縁を切り開く

型に吹き込んだガラスの開口部を、職人が切り開いて成形する。型で決まる部分と手作業で決まる部分が分かれるため、同じ型から作っても口縁の広がり方が一点ずつ異なる。

生産の経緯

初期は番号を付した限定版として制作された。1948年から1960年にかけては簡略化した量産版が製造され、1981年以降は再び番号入りの仕様が展開されている。2015年からは新たな生産が始まっている。

エピソード

1946年、イッタラが開催した彫刻ガラスのデザインコンペティションで、ヴィルカラとカイ・フランクが同時に一等を得た。当時31歳のヴィルカラは彫刻家としての訓練を受けていた。

ヴィルカラは木材で原型を彫り出すことから作業を始めた。フィンランドの彫刻ナイフ「プークコ」を用いる方法で、手を動かしながら形を決める進め方である。

1951年の第9回ミラノ・トリエンナーレで、ヴィルカラは展示建築、ガラスデザイン、木彫の三部門でグランプリを得た。カンタレッリ花瓶はガラス部門での受賞作にあたる。同年、ヴィルカラは第1回ルンニング賞も受けている。

評価と影響

ガラスの表面を加工して光の見え方を決めるという方向は、同じイッタラのヴァルケア キャンドルホルダーが曲面の丸みで光を扱うのとは別の解にあたる。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(Met=メトロポリタン美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。V&Aは英語名の Chanterelle で登録している。

  • Met 「カンッタレッリ」花瓶(モデル3280、1947年設計・1950年頃製造) 収蔵番号 56.31.1
  • V&A シャンテレル(1946年) 収蔵番号 CIRC.457-1954

基本情報

名称 カンタレッリ花瓶 / Kantarelli Vase(モデル3280)
デザイナー タピオ・ヴィルカラ(Tapio Wirkkala)
ブランド イッタラ(iittala)
発表年 1946年
デザインの成立国 フィンランド
分類 花瓶
主要素材 ガラス
技法 型吹き成形と口縁の手作業成形。外側にホイールカットの線刻
生産 初期は番号入り限定版/1948〜1960年 量産版/1981年以降 番号入り/2015年〜 新規生産
受賞 1951年 第9回ミラノ・トリエンナーレ グランプリ(ガラス部門)
収蔵 Met(56.31.1)、V&A(CIRC.457-1954)

Reference

"Kanttarelli" Vase | The Metropolitan Museum of Art
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/56.31.1
Chanterelle | Victoria and Albert Museum
https://api.vam.ac.uk/v2/objects/search?q=CIRC.457-1954