Iittala(イッタラ)

Iittalaは、フィンランド南部イッタラ村のガラス工場を起源とする生活用品のブランドである。1881年に薬品瓶や日用ガラスを作る工場として操業を始め、1930年代以降は建築家やデザイナーを起用して吹きガラスと型吹きの製品を手がけるようになった。現在はフィンランド企業Fiskars Groupのブランドで、ガラス製品の多くをイッタラ村の工場で生産し、陶磁器などは外部の工場に委託している。

事業と製造の実体

Iittalaのガラス製品は、その多くがイッタラ村の工場で作られる。ここはフィンランドで唯一稼働するガラス工場であり、サヴォイ・ベースバード バイ トイッカといった手吹きの品目はこの工場が担う。陶磁器はタイとルーマニアの工場で、その他の素材による製品はヨーロッパとアジアの委託先で製造される。

手吹きの製品は、木型または金型に溶けたガラスを吹き込む工程を軸とする。サヴォイ・ベースは曲線が閉じた形状を持つため型からの取り出しに手数を要し、7人の職人による12の工程を経て1点が仕上がる。職人がこの製品の製作に加わるまでには数年の経験が必要とされる。一方、ティーマカルティオ グラスのような日用品では機械成形の比重が高い。

2014年、Fiskars GroupはIittala工場を増改築し、グループのガラス生産をこの拠点へ集約した。2022年には、天然ガス炉を再生可能エネルギーによる電気炉へ置き換える計画が公表され、2026年末までに工場の年間二酸化炭素排出量を74パーセント、溶解炉の消費エネルギーを67パーセント削減する目標が示されている。工場では2016年以降、製造ラインで出るガラス屑を廃棄せず、再溶解またはガラス繊維の原料として再利用している。

使用済み製品の取り扱いも事業に含まれる。2019年に始めたVintageの枠組みでは、中古のテーブルウェアを買い取って再販している。

沿革

ガラス工場としての操業

1881年、ハメーンリンナ近郊のイッタラ村にガラス工場が設立された。当時のフィンランドには吹きガラスの職人が不足していたため、最初の職人はスウェーデンから招かれている。初期の生産品は薬局用の瓶や日用のガラス器で、大陸の装飾的な様式にならったものだった。

1917年、第一次世界大戦下の原料調達の困難から、工場はA. Ahlström傘下のKarhulaへ売却される。1935年にIittalan Lasitehdas Oyとして再編され、以後「Karhula-Iittala」の名で製品を展開した。

設計競技による製品開発

1930年代、Karhula-Iittalaは設計競技によって製品を集める方式を採った。1932年の競技ではAino AaltoのBölgeblick(後のアイノ・アアルト グラス)が入選する。水面の同心円を写した段状の造形で、重ねて収納できる構成を持つ。1936年の競技ではAlvar Aaltoが後にサヴォイ・ベースと呼ばれる花器を発表し、翌1937年のパリ万国博覧会で紹介された。

1946年にストックホルムで行われた競技では、Tapio WirkkalaとKaj Franckが上位を占め、両者はIittalaで美術ガラスを手がける立場を与えられた。1950年代以降、Wirkkalaや Timo SarpanevaはMilano Triennaleで相次いで受賞し、同社の製品は国外でも知られるようになる。この時期に生まれた製品には、Wirkkalaによるカンタレッリ花瓶ウルティマツーレ、Franckによるカルティオ グラスティーマがある。

1956年、Timo Sarpanevaが自身の製品群のために、赤い円のなかに小文字のiを置いた記号を考案した。以後この記号は製品に付されるようになった。

資本の移動

1990年、IittalaはArabiaやRörstrandを傘下に持つHackman Groupへ売却された。2007年にはFiskars CorporationがIittala Groupを取得し、現在に至る。Fiskarsは食器・生活用品の複数のブランドを保有し、Iittalaはその一つにあたる。

2023年12月、フィンランドの吹きガラスの技術がユネスコ無形文化遺産に登録された。

デザイナーとの協働

Iittalaの製品開発は、社内の意匠部門ではなく外部の設計者との協働によって進められてきた。1930年代に始まる設計競技は、公募によって設計者を選び、その後継続的に起用する方式を定着させた。設計者には美術ガラスの制作を任せる一方で、量産品では工場の成形条件に合わせた検討が行われる。

20世紀の協働相手はAlvar Aalto、Aino Aalto、Kaj Franck、Tapio Wirkkala、Timo Sarpaneva、Oiva Toikkaが中心となる。近年もフィンランドの設計者に加えて国外の設計者との協働が続いている。

主な製品群

ガラスの花器と器が製品の基幹をなす。Alvar Aaltoのサヴォイ・ベースアアルト・ティーライトホルダー、Aino Aaltoのアイノ・アアルト グラス、Tapio Wirkkalaのカンタレッリ花瓶ウルティマツーレがこれにあたる。

日用の食器では、Kaj Franckのカルティオ グラスティーマがある。いずれも形状を単純な幾何形に絞り、組み合わせて使うことを前提とした構成を採る。陶磁器ではパラティッシを扱う。

Oiva Toikkaによるバード バイ トイッカは、1点ずつ手吹きで作られる鳥の造形の一群である。ろうそく立てではキビ キャンドルホルダーカステヘルミ キャンドルホルダーヴァルケア キャンドルホルダーがある。

基本情報

ブランド名 Iittala(イッタラ)
創業 1881年(イッタラ・ガラス工場として)
創業地 フィンランド・イッタラ村(現ハメーンリンナ市)
生産拠点 ガラス製品はフィンランド・イッタラ村の工場。陶磁器はタイおよびルーマニアの委託先
資本関係 2007年よりFiskars Group傘下
事業内容 ガラス・陶磁器・金属製の食器および生活用品の製造・販売
公式サイト https://www.iittala.com

Reference

Fiskars Group - Iittala
https://fiskarsgroup.com/brands/iittala/
Iittala - Fiskars Group(製造拠点について)
https://www.iittala.com/en-gb/footer/fiskars-group
Fiskars Group - Fiskars unveils expanded and refurbished Iittala glass factory
https://fiskarsgroup.com/news/press-release/fiskars-unveils-expanded-and-refurbished-iittala-glass-factory/
Tableware International - Fiskars Group invests in Iittala glass factory
https://tablewareinternational.com/fiskars-group-invests-in-iittala-glass-factory-in-bid-to-cut-emissions/
Iittala Village - Iittala Glass Factory
https://iittalavillage.fi/en/the-iittala-glass-factory/