概要
ベジタルチェアは、ロナン&エルワン・ブルレックが設計し、ヴィトラが2008年に発表した椅子である。枝が分かれて伸びるような構造で座面と背もたれを構成する。繊維で強化したポリアミドの射出成形によりつくられ、屋内外の双方で使える。積み重ねもできる。
特徴・コンセプト
枝分かれを構造にする
平たく潰した枝のような部材が三段に分かれて交差し、わずかに不規則な円形の座面をつくる。植物の形を模したのではなく、枝が分かれて広がるという構造の原理を椅子に組み込んでいる。座面の下では、脚から伸びるリブが放射状に走り、座面全体を支える。
当初の試作は左右非対称であったが、荷重を均等に受けるには対称のほうが安定する。ブルレック兄弟は形を対称に組み直し、身体を均等に支えるために必要な枝の本数を検討し直した。
射出成形という制約
射出成形は、高温で液状にした樹脂を高圧で金型に注入し、冷却して取り出すまでを短時間で終える工程である。樹脂が型の隅々まで行き渡らなければ成形できない。枝分かれの形は、この流路の条件と噛み合わせる必要があった。
開発の過程で、当初は円形だった枝の断面がT字型に改められている。同じ強度をより少ない材料で得られ、成形時の樹脂の流れも良くなる。手描きのスケッチや手彫りの模型と、コンピュータ上のモデリングを併用しながら、形が詰められた。
屋外での使用
繊維強化ポリアミドは水に強く、屋外に置いたままでも使える。積み重ねができるため、使わないときにまとめて収められる。色は複数が用意される。
エピソード
着想の背景には、複数の系譜がある。若木を長年にわたり剪定して家具の形に育てるという20世紀の園芸技術、英国の鋳鉄製ガーデンベンチ、アメリカのラスティックスタイルの椅子などである。いずれも、植物の形と座具の形が近づく事例にあたる。
2000年代半ばに構想が始まったこの椅子は、量産可能な工業製品として成立させるまでに数年を要した。図面、コンピュータによるレンダリング、模型の制作と修正を繰り返す進め方がとられている。
評価と影響
屋内と屋外を分けずに家具を使うという近年の傾向に合う製品として扱われている。同じブルレック兄弟が手がけたパリサード テーブルも、屋外の家具を室内と地続きに考える方向にある。ヴィトラ・デザイン・ミュージアムのミニチュアコレクションにも含まれている。
二人の設計思想や経歴について詳しくはロナン・ブルレック、エルワン・ブルレックの各プロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ベジタルチェア / Vegetal Chair |
|---|---|
| デザイナー | ロナン&エルワン・ブルレック(Ronan & Erwan Bouroullec) |
| ブランド | ヴィトラ(Vitra) |
| 発表年 | 2008年 |
| デザインの成立国 | スイス |
| 分類 | チェア(屋内外兼用) |
| 主要素材 | 繊維強化ポリアミド |
| 製法 | 射出成形(枝の断面はT字型) |
| 機能 | スタッキング可、屋外使用可 |
Reference
- Vegetal | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/details/vegetal