このページについて
アイソコン ロングチェアは、マルセル・ブロイヤーが1935年から1936年にかけて設計した椅子である。成形した合板の座面が、バーチ材のフレームに載る。座面と背もたれが1枚の面として連続する。現在はアイソコン・プラスが製造している。
このページでは、正規品の仕様と選べるクッション、寸法と設置の条件、同種の椅子との比較、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
マルセル・ブロイヤーの設計思想や経歴について詳しくはマルセル・ブロイヤー プロフィールページをご覧ください。
アイソコン ロングチェアのデザインストーリーについて詳しくはアイソコン ロングチェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
アイソコン ロングチェアは、1931年にジャック・プリチャードが設立したアイソコン・ファニチャー・カンパニーの後継組織であるアイソコン・プラスが、ロンドンの工房にて小ロットの手作業で製造している唯一の正規品である。ブロイヤーのオリジナルデザインを忠実に再現し、当時と同じ手法で一脚ずつ丁寧に仕上げられている。
| 正式名称 | Long Chair(ロングチェア) |
|---|---|
| オリジナル製造元 | アイソコン・ファニチャー・カンパニー |
| 現行製造元 | アイソコン・プラス |
| サイズ | 幅600 × 奥行1,350 × 高さ832mm |
| 素材 | 座面と背もたれは成形した積層のバーチ合板。フレームもバーチ材による |
| 仕上げ | バーチ(自然仕上げ) |
| 製造方法 | ロンドンの工房による |
| オプション | 座面を覆うクッションを別に注文できる。生地の見本を取り寄せられる |
| 参考価格 | メーカー公式(英国)で2,995ポンド(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なる |
| 納期 | 受注生産。納期は取扱店に確認する |
| 製造国 | イギリス |
| 収蔵美術館 | V&A ロングチェア(1936年) 収蔵番号 CIRC.83:1 to 3-1975/MoMA シェーズロング(1935-1936年) 収蔵番号 836.1942 |
構造的特徴
ロングチェアの革新性は、その構造設計にある。従来の家具が荷重を支える構造体を独立して組み立てた後に座面を取り付けるのに対し、ロングチェアでは座面自体がフレーム部材と一体化して完全な構造を形成している。流れるような曲線を描く成形積層バーチ合板の座面・背もたれは、細く優美なバーチフレームと一体化し、着座者の体重を通常の椅子よりも広い表面積に分散させる。この設計により、軽量でありながら強度を保持する、視覚的にも機能的にも洗練された造形が実現されている。
アップホルスターオプション
ロングチェアは、合板の自然な美しさをそのまま活かした仕上げが標準であるが、フルアップホルスター・シートパッドのオプションも用意されている。ファブリックの選択については、アイソコン・プラスに直接問い合わせることでサンプルの提供を受けることができる。アップホルスターの追加により、長時間の使用における快適性がさらに向上する。
類似商品・競合との比較
身体を預けて休むための椅子は、支える面を何でつくるかで分かれる。成形した合板か、金属のフレームに張るかによって、身体の受け方と手入れが変わる。
| 比較項目 | アイソコン ロングチェア | パイミオチェア | リソム ラウンジチェア |
|---|---|---|---|
| 支える面 | 成形した合板 | 成形した合板 | 帯状のウェビング |
| 面の長さ | 脚まで伸びる(奥行1,350mm) | 座面と背もたれ | 座面と背もたれ |
| フレーム | バーチ材 | 曲げた合板 | 木 |
| クッション | 別に注文できる | なし | 座面がウェビング |
| 設置に要する奥行 | 1,350mm | 製品による | 710mm |
選び分けの目安
- 脚を伸ばして休む場合
- 面が脚まで伸びるため、身体全体を預けられる。座面と背もたれのみの椅子では、脚を支える面がない。
- 設置場所が限られる場合
- 奥行1,350mmを占める。一般的なラウンジチェアの2倍近い奥行になる。
- 硬さを和らげたい場合
- 合板の面は硬い。座面を覆うクッションを別に注文できる。
使用感と設置条件
連続する面
座面と背もたれが1枚の面として連続し、脚を載せる位置まで伸びる。身体の各部で角度が変わるため、寝そべる姿勢に近い形で身体を預けられる。
いっぽうで、面は成形した合板で硬い。長時間過ごす場合は、クッションを併用することになる。座面を覆うクッションを別に注文できる。
設置に要する寸法
幅600×奥行1,350×高さ832mm。奥行1,350mmは一般的なラウンジチェアの2倍近い。壁に沿わせても、部屋に張り出す寸法である。
背もたれの角度は固定される。傾きを変える機構を持たない。
立ち座り
寝そべる姿勢に近いため、立ち上がる際は上体を大きく起こすことになる。座面高が低く、腕を掛ける肘掛けの位置も低い。立ち座りを頻繁に行う用途には向かない。
経年変化とメンテナンス
素材に起きること
バーチ材は日光を受けると色が変わる。当初の明るい色から、黄みを帯びた色へ進む。直射日光の当たる面から先に変化するため、置き場所によって差が出る。
成形した合板は、湿度の変化で反りが生じることがある。連続する長い面のため、変化が現れると全体に及ぶ。
合板の縁は、積層した層が現れる。この箇所は欠けやすい。
日常の手入れ
- ふだん
- 乾いた柔らかい布で拭く。水分を残さない。
- 置き場所
- 直射日光、暖房の風、床暖房を避ける。急な乾燥は合板の反りと割れを招く。
- クッション
- 生地により手入れの方法が異なる。取扱店に確認する。
修理
成形した合板の反りや割れは補修が難しい。現在も製造されているため、部品の入手について取扱店に相談できる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
アイソコン・プラスは公式サイトで製品情報と価格を公開している。英国での価格は2,995ポンドである(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なる。
注文の際に決めるのはクッションの有無と生地である。受注生産のため、納期は取扱店に確認する。
実物を確認する
奥行1,350mmという寸法は、写真では実際の大きさがつかみにくい。設置場所に収まるかは、寸法を測って確かめておく。
合板の面の硬さと身体の当たり方は、座ってみないと分からない。
中古の流通
1930年代以降の個体が流通している。当時のアイソコン・ファニチャー・カンパニーによるものと、現在のアイソコン・プラスによるものでは仕様が異なる。相場は年式と状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、合板の反りと割れ、縁の欠け、フレームとの接合部、木部の色の変化である。合板の反りは補修が難しいため、状態の確認が要点になる。
購入前チェックリスト
- 設置場所の奥行(1,350mm。一般的なラウンジチェアの2倍近い)
- クッションの有無と生地
- 合板の面が硬いこと
- 背もたれの角度が固定であること
- 立ち座りを頻繁に行う用途には向かないこと
- 直射日光と暖房の風を避けられる位置か
- 納期(受注生産)
- 中古の場合、合板の反りと割れ
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- アイソコン・プラスは公式サイトで価格を公開しており、英国での価格は2,995ポンドです(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なります。
- どこで購入できますか?
- アイソコン・プラスの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。受注生産のため納期もあわせてご確認ください。
- 設置に必要な寸法を教えてください。
- 幅600×奥行1,350×高さ832mmです。奥行1,350mmは一般的なラウンジチェアの2倍近く、壁に沿わせても部屋に張り出す寸法になります。設置場所に収まるかは寸法を測ってお確かめください。
- 座り心地はどうですか?
- 座面と背もたれが1枚の面として連続し、脚を載せる位置まで伸びます。身体の各部で角度が変わるため、寝そべる姿勢に近い形で身体を預けられます。いっぽうで面は成形した合板で硬く、長時間過ごす場合はクッションを併用することになります。
- クッションは付いていますか?
- 座面を覆うクッションを別に注文できます。生地の見本を取り寄せられます。
- 背もたれの角度は変えられますか?
- 変えられません。角度は固定で、傾きを変える機構を持ちません。
- 収蔵されている美術館はありますか?
- ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Long Chair、1936年、収蔵番号CIRC.83:1 to 3-1975)と、ニューヨーク近代美術館(Chaise Longue、1935-1936年、収蔵番号836.1942)が収蔵しています。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 乾いた柔らかい布で拭き、水分を残さないでください。直射日光、暖房の風、床暖房は合板の反りと割れを招くため避けてください。成形した合板は湿度の変化で反りが生じることがあり、連続する長い面のため変化が現れると全体に及びます。