概要
チプレアは、アフラ&トビア・スカルパが1967年に設計した肘掛け椅子である。カッシーナが製造した。
内部に骨組みを持たず、成形したポリウレタンフォームそのものが構造と座り心地の両方を担う。合板の台に載せ、外側を張り地で覆う。
トビア・スカルパの設計思想や経歴について詳しくはトビア・スカルパ プロフィールページをご覧ください。
特徴・コンセプト
骨組みを持たない
張り地の家具は通常、木や金属の枠に詰め物を載せ、外側を布や革で覆う。枠が形と強度を担い、詰め物は触れる面としてだけ働く。
チプレアはこの分業をやめている。型に注入して成形したフォームが、そのまま外形を決め荷重も受ける。骨組みを内部に持たない肘掛け椅子として早い時期の例にあたる。
張り地が形を保つ
フォームだけでは、座るたびに外形が崩れる。外側の張り地が全体を締めることで輪郭が保たれる。
張り地は覆いであると同時に構造の一部になっている。取り外して交換できる仕様のため、この関係が成立する範囲で素材が選ばれる。
掬い取られた形
座面と背もたれ、肘掛けの境目に稜線を持たない。塊から掬い取ったような窪みが連続する。
枠を組む方法ではこの輪郭を得るために多数の部材を要するが、成形であれば型さえあれば同じ形が繰り返し得られる。造形と製法が対応している。
エピソード
フォームによる実験の時期
1960年代から1970年代にかけて、合成フォームで彫刻的な形をつくる試みが複数の設計者によって行われた。素材が新しく、どこまで構造を担えるかが定まっていない時期にあたる。
チプレアはそのなかで、骨組みを完全に外すという方向を採った。3年後のソリアナでは逆に、外側の金属で形を決める構成をとっている。同じ課題に対する2つの解にあたる。
発表後の展示
1972年、ニューヨーク近代美術館の「Italy: The New Domestic Landscape」展で、ソリアナとともに設計者の近作として展示された。
評価と影響
一般的に、内部フレームを持たない張り地の家具の早い実例として扱われている。単体で用いるほか、複数を並べて連続した座面をつくることもできる。
現在は生産されておらず、流通するのは製造当時の個体に限られる。
受賞・収蔵
ニューヨーク近代美術館が収蔵している(Ciprea Armchair、1967年、収蔵番号 476.1970)。
1970年のコンパッソ・ドーロで選外佳作に挙げられた。
基本情報
| デザイナー | アフラ・スカルパ、トビア・スカルパ |
|---|---|
| ブランド | カッシーナ |
| 発表年 | 1967年 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 主要素材 | 成形したポリウレタンフォーム、合板の台、布または革の張り地 |
| 構造 | 内部に骨組みを持たない。外側の張り地が形を保つ |
| 生産 | 現在は生産されていない |
カッシーナの歴史や他の製品について詳しくはカッシーナ ブランドページをご覧ください。
Reference
- Afra Scarpa, Tobia Scarpa. Ciprea Armchair. 1967 | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/3984
- 'Ciprea' armchair by Afra and Tobia Scarpa and Cassina | Powerhouse Collection
- https://collection.powerhouse.com.au/object/36779