概要
エアチェアは、ジャスパー・モリソンが1999年に設計し、マジスが製造するスタッキングチェアである。ガラス繊維で強化したポリプロピレンを、ガスインジェクション(ガスアシスト射出)成形により一体で成形する。この工法を椅子の一体成形に用いた早い例にあたる。屋内外の双方で使える。
特徴・コンセプト
ガスで内側から押す
ガスインジェクション成形は、金型内の溶融したプラスチックがまだ柔らかいうちに不活性ガスを注入し、内部から圧力をかける工法である。プラスチックが金型の表面から縮むのを防げるため、中空の管状構造と、薄いパネル状の座面・背もたれを一つの型で同時に成形できる。モリソンはこの仕組みを、靴箱の中で風船を膨らませるようなものとたとえている。
脚部を中空の管にできるため、材料の量を抑えたまま断面を大きくとれる。設計は脚部から始められ、管状のフレームに薄い面を張るという構成にまとめられた。
座面の穴
座面には円形の穴が設けられている。持ち運ぶときの手掛かりになり、屋外で使う際には雨水の排水口としても働く。積み重ねた状態から一脚を引き出すときにも指が掛かる。装飾ではなく、複数の機能が一つの開口にまとめられている。
屋外での使用と積み重ね
素材には紫外線への保護加工が施されており、屋外に置いたままでも色が変わりにくい。複数脚を積み重ねられ、使わないときにまとめて収められる。
エピソード
開発は、マジスの創業者エウジェニオ・ペラッツァがモリソンにガスインジェクション成形による試作の管を見せたことに始まる。この技術は自動車部品の分野では広く使われていたが、家具への応用はほとんど例がなかった。
当時モリソンの事務所は主に二次元の作図ソフトを使っていたため、最初の試作には調整を要した。三次元のモデリングとコンピュータ制御の機械加工、手作業による仕上げを組み合わせ、二つの部品からなる金型で成形できる形が詰められている。モリソン自身は、多くの人が実際に手に取れる価格であることをこの椅子の利点として挙げている。
評価と影響
2001年には折り畳み式の「Folding Air Chair」が発表された。三つの部品をピボットピンで連結した構造で、座面を折り畳むと前後の脚が収束する。その後、アームチェア版やテーブルが加わり、コレクションとして展開されている。近年では再生オレフィン樹脂を用いた仕様も発表された。同じモリソンがヴィトラのために設計したプレートテーブルと同様、目新しさを求めるのではなく既存の解を読み直す方向にある。
ジャスパー・モリソンの設計思想や経歴について詳しくはジャスパー・モリソンプロフィールページをご覧ください。
マジスの歴史や他の製品について詳しくはマジスブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | エアチェア / Air Chair |
|---|---|
| デザイナー | ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison) |
| ブランド | マジス(Magis) |
| 発表年 | 1999年設計/2000年 市場展開 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | チェア/スタッキングチェア |
| 主要素材 | ガラス繊維強化ポリプロピレン |
| 製法 | ガスインジェクション成形(中空の管状構造と薄い面を一体成形) |
| 機能 | スタッキング可、屋外使用可、UV保護加工 |
| 関連製品 | Folding Air Chair(2001年)、Air-Armchair、Air-Table、再生樹脂版 |
Reference
- Air-Chair | Magis
- https://www.magisdesign.com/product/air-chair/