概要

パリサード コレクションは、ロナン&エルワン・ブルレックがデンマークのHAY社のために設計した屋外用家具の一群である。2015年9月のメゾン・エ・オブジェで発表され、当初は13点で構成されていた。

全点に共通するのは、細い金属のスラット(帯板)を曲げて並べた座面と天板、そしてそれを支える丸パイプのフレームである。素材は粉体塗装または溶融亜鉛めっきを施したスチールで統一されている。

共通する設計原理

使う材は二種類しかない。フレームには丸断面、座面と天板には角断面のスチール管を用いる。ブルレック兄弟によれば、いずれも規格品の管であり、これを切断し、曲げ、溶接し、めっきと粉体塗装を施すという工程で全点が組み立てられる。工程そのものは特別なものではなく、寸法の精度によって製品間の見え方が揃えられている。

スラットの間には隙間が設けられ、空気と水が通り抜ける。屋外で使う家具にとって、表面に水が滞留しないことは耐久性に直結する。同時に、日射のもとでは細い影が規則的に落ち、輪郭が図式的に見える。

コレクション全体を貫くのは左右対称の幾何学である。部材の幅やスラットの間隔は製品ごとに少しずつ異なるが、構成の考え方は一貫しており、並べたときにまとまりが生まれる。

成立と展開の経緯

設計にあたってブルレック兄弟は、特定の設置環境を想定しなかったと述べている。公共空間、カフェ、レストラン、庭、テラス、バルコニーのいずれでも成立することを狙いとしており、この汎用性が構成の単純さにつながっている。造形の系譜としては、パリの公園に置かれてきた金属製の椅子との連続性が指摘される。

発表後の展開は、形式を増やす方向と、同じ輪郭のまま仕上げを替える方向の二つに分かれる。前者では、2022年に大型の屋外空間へ向けたパリサード パークが加わった。曲線状のベンチを複数つなぐことで円形や波形の配置をつくる構成で、シリーズの造形言語は保たれている。

後者にあたるのが、2019年に加わった溶融亜鉛めっき仕様と、2025年のパリサード コードである。前者は溶けた亜鉛にフレームを浸して被膜をつくる仕上げ、後者はスチールのフレームに再生ポリエステルのコードを手作業で巻いたもので、1960年代の樹脂編みの屋外用椅子を参照している。いずれも輪郭を変えずに性質だけを差し替えており、コードはチェア、テーブル、ラウンジャーへ横断的に適用されている。

メンバー一覧

発表年 区分 製品名 位置づけ
2015年 ガーデンファニチャー パリサードチェア コレクションの起点となったチェア。スタッキングに対応する。
2016年 テーブル パリサード テーブル 同じスラット構成を天板に用いたテーブル。座面と天板で材の使い方が変わらない。

このほか、アームチェア、ラウンジチェア、ベンチ、ソファ、バースツール、シェーズロング、パーク ベンチなどが展開されている。

評価と影響

屋外用家具は、耐候性を優先すると造形が重くなりやすい。パリサードは、スラットの間隔と部材の細さによって、強度を確保しながら視覚的な軽さを保った例として参照される。ブルレック兄弟自身も、かさばらずに強く、脆さを感じさせずに端正であることを設計の目標として挙げている。

仕上げの違いは耐久性に直結する。溶融亜鉛めっきは鋼の表面全体に被膜をつくるため、塗装が損傷しても下地の腐食が進みにくい。屋外のカフェや公共空間のように、長期間置かれたまま手入れの機会が限られる場所では、この仕様が用いられる。

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、このコレクションの製品の収蔵は確認できなかった。

基本情報

デザイナー ロナン&エルワン・ブルレック
ブランド HAY
共通構造 丸パイプのフレームと、曲げた角断面スラット
共通素材 スチール(規格品の丸管・角管)
仕上げ 粉体塗装/溶融亜鉛めっき(2019年〜)/再生ポリエステルのコード巻き(2025年〜)
生産 2015年以降、継続

Reference

このシリーズの製品