概要
CH162 と CH163 は、ハンス・J・ウェグナーが1965年に設計した木製フレームのソファである。両者は同一の設計であり、異なるのは座席数と、それに伴う幅のみで、CH162 が2人掛け、CH163 が3人掛けにあたる。
いずれもカール・ハンセン&サンが製造している。同社がウェグナーの写真と模型のアーカイブを調べる過程でこの設計に着目し、2013年に自社の製品として発売した。
ハンス・J・ウェグナーの設計思想や経歴について詳しくはハンス・J・ウェグナー プロフィールページをご覧ください。
共通する設計原理
両モデルとも、無垢材のフレームを外から見える位置に残し、その内側に張りぐるみの座と背を収める構成をとる。垂直と水平の直線で構成された骨格に対して、置き型のクッションが柔らかい輪郭を与える。脚はわずかに角度を付けて取り付けられ、座面に傾きをつくる。
クッションはコールドフォームの芯をヨーロピアンダウンで包んだもので、直線的な形をとりながら沈み込みのある座り心地が得られている。フレームは内部にビーチ材を用い、外に出る部分はオークまたはウォールナットの無垢材とする。
肘掛けには、木製のカバーキャップが埋め込まれている。これはフレームと肘掛けの張り地を留めるネジを隠すための部材だが、実用上必要な寸法より大きくつくられ、脚の前面からやや後退した位置に配される。さらにキャップの木目が脚の木目と直交する向きに置かれており、機能部材がそのまま意匠として扱われている。カール・ハンセン&サンはこの処理を両モデルに共通する特徴として説明している。
メンバー間の差異
差異は座席数と幅に限られる。高さ、奥行き、座面高はいずれも共通で、フレームの断面、脚の形状、クッションの構成、肘掛けのカバーキャップの処理も両モデルで変わらない。素材と仕上げの選択肢も同一である。
| 比較項目 | CH162 | CH163 |
|---|---|---|
| 座席数 | 2人掛け | 3人掛け |
| 幅 | 約137cm | 約195cm |
選択の基準は設置スペースと使用人数になる。2人掛けの CH162 は、壁面の短い居室や、ラウンジチェアと組み合わせる配置に向く。3人掛けの CH163 は58cmほど幅を要するが、フレームの水平線が長く伸びるため、直線的な構成が強く出る。
メンバー一覧
| 設計年 | 区分 | 製品名 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 1965年 | ソファ | CH162 ソファ | 2人掛け。代表モデル。 |
| 1965年 | ソファ | CH163 ソファ | 3人掛け。幅以外の仕様は CH162 と共通。 |
評価と影響
ウェグナーは椅子の設計で知られるが、ソファについても複数の家具メーカー向けに図面を残している。CH162 と CH163 は、構造材を隠さずに見せるという同氏の一貫した姿勢が、ソファという形式で表れた例として位置づけられる。ネジを隠すための部材を意匠として扱う処理は、その姿勢が細部に及んだ例にあたる。
設計から発売まで約半世紀を隔てている点も、この2点の位置づけを特徴づけている。図面や模型が残っていれば、設計者の没後であっても製品として成立しうることを示す例として扱われる。
カール・ハンセン&サンの歴史や他の製品について詳しくはカール・ハンセン&サン ブランドページをご覧ください。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、この2点の収蔵は確認できなかった。4館はいずれもウェグナーの椅子を所蔵しているが、ソファは含まれていない。
基本情報
| デザイナー | ハンス・J・ウェグナー |
|---|---|
| ブランド | カール・ハンセン&サン |
| 共通構造 | 内部にビーチ材、外に出る部分は無垢のオークまたはウォールナット |
| 共通するクッション | コールドフォームの芯をヨーロピアンダウンで包む |
| 共通するディテール | 肘掛けの木製カバーキャップ |
| 製品化 | 2013年(カール・ハンセン&サン) |
| 差異の所在 | 座席数と幅のみ |
Reference
- CH162 Sofa - Carl Hansen & Søn
- https://www.carlhansen.com/en/en/collection/sofas-daybeds/ch162
- CH163 Sofa - Carl Hansen & Søn
- https://www.carlhansen.com/en/en/collection/sofas-daybeds/ch163