ペブルコーヒーテーブルは、英国の家具メーカー、アーコール(ercol)が展開するコーヒーテーブルである。名の通り、水に磨かれた小石(ペブル)を思わせる有機的な輪郭の天板と、先細りに絞られた脚が特徴となっている。同社の創業者ルシアン・R・エルコラーニが1950年代半ばに手がけたペブル ネストテーブルの造形を受け継ぎ、その形をより大きな一枚のテーブルへと展開したモデルにあたる。

特徴・コンセプト

有機的な天板

直線も角も持たない天板の輪郭は、1950年代に広がったオーガニック・モダニズムの語法に連なる。角のない形状は空間の動線を妨げず、正面性を持たないため、ソファに対してどの角度から置いても違和感が生じにくい。W910 × D660 × H440mmという寸法は、コーヒーテーブルとして十分な作業面を確保しながら、リビングの中央に据えても圧迫感が出ない大きさに収まっている。

脚が天板を貫く構造

両端が細く絞られた「シガー・レッグ」と呼ばれる脚が、天板を貫通して上面まで到達している。接合部の木口が天板の表面に円形の断面として現れ、構造がそのまま意匠になっている。テーパーのついた脚は視覚的な軽さを生みながら、貫通接合によって強度を確保する。

素材と仕上げ

現行品は英国産アッシュ(トネリコ)の無垢材で製作され、Grown in Britain(GiB)の認証を受けた木材が用いられている。仕上げはクリアマットやヴィンテージといった木肌を活かす系統から、インクブルー、モスグリーン、バーントアンバー、ブラックといった着色系まで10種類が用意される。1950年代から60年代のヴィンテージ品では、天板にイングリッシュエルム、脚部にビーチが使われていた。

エピソード

この形の起点となったペブル ネストテーブルは、大小の天板を入れ子状に重ねる三点組のテーブルとして1950年代半ばに生まれた。第二次世界大戦中から続いたユーティリティ・スキームの規制が1952年に撤廃され、装飾や造形の自由が家具製作に戻ってきた時期にあたる。戦後の英国の住宅事情に合った省スペース性と、柔らかな輪郭が支持を集めた。

ペブルコーヒーテーブルは、そのネストテーブルの輪郭と脚の構成を保ちながらスケールを拡大した、後年の派生モデルである。設計はアーコールの社内デザインチームが担当している。現在は同寸法で二台が入れ子になるコーヒーテーブル ネストも併売され、単体・ペア・ネストという構成の選択肢が用意されている。

評価

ペブルという呼び名は、天板の形状から自然に定着したものである。有機的な輪郭と貫通する脚という基本構成は、ネストテーブルの発表から70年近くを経た現在も変わっていない。ヴィンテージ市場では、オランダニレ病の流行によって現在では入手が難しくなったイングリッシュエルム材の天板を持つ個体が、独特の杢目ゆえに評価されている。

現行品では、英国産材の使用と自社工場での製造という体制が、素材調達と生産の透明性という観点から注目されている。

基本情報

作品名 ペブルコーヒーテーブル / Pebble Coffee Table(モデル7353G)
デザイナー ルシアン・R・エルコラーニ / Lucian R. Ercolani(原型となるネストテーブル)
ブランド アーコール / ercol
生産国 イギリス
サイズ W910 × D660 × H440mm
主要素材 英国産アッシュ(トネリコ)無垢材/GiB認証。ヴィンテージ品はイングリッシュエルム天板+ビーチ脚
仕上げ 10種(ホワイトン、クリアマット、ライト、ダーク、ヴィンテージ、オーク・オン・アッシュ、バーントアンバー、インクブルー、モスグリーン、ブラック)
生産状況 現行品