ercol(アーコール)
ercolは、イングランド・バッキンガムシャー州プリンセス・リズバラに拠点を置く家具メーカーである。1920年、イタリア出身のLucian Ercolaniがハイ・ウィカムでFurniture Industries Ltd.として設立した。ハイ・ウィカムはブナ材による椅子製造の集積地で、同社もこの地域の技術を基盤とする。第二次世界大戦後、ブナ材の曲木による量産の技術を確立し、1956年発表の一群がその代表にあたる。現在も創業家による経営が続いている。
事業と製造の実体
ercolの製造の基盤にあるのは、ブナ材の曲げ加工である。ブナは繊維が緻密で曲げに耐えるが、乾燥時に狂いが出やすい。同社はこの材を蒸気で加熱して型に沿わせ、乾燥させて形を固定する工程を扱う。曲げた部材は直材より強度が高く、細い断面でも荷重を支えられる。
この技術が製品の形を規定してきた。背の支柱を細い棒材で構成し、それを曲げた笠木で受ける構成は、部材の点数を抑えながら座り心地を確保する。座面には楡やオークが用いられ、削り出しによって身体の当たる面を成形する。
第二次世界大戦中、同社は政府の要請により兵器の部材と、規格化された家具の製造を担った。素材と工程を厳しく制限された条件下での生産が、戦後の量産の体制につながっている。
2002年、生産拠点がハイ・ウィカムからプリンセス・リズバラへ移された。現在も英国内で製造を行っている。
沿革
設立
Lucian Ercolani(1888年〜1976年)はイタリア中部に生まれ、幼少期に家族とともにイギリスへ移った。家具の製造に携わったのち、1920年にバッキンガムシャー州ハイ・ウィカムでFurniture Industries Ltd.を設立している。この地域はブナ材による椅子製造の集積地だった。
戦時の生産と戦後の展開
第二次世界大戦中、同社は政府の要請を受けて兵器の部材を製造した。同時に、資材の不足に対応する規格化された家具の製造にも参加している。素材と工程を制限された条件での生産が、戦後の量産の基盤となった。
1956年、ブナ材の曲げ加工を用いた一群が発表された。細い棒材による背と、削り出した座面を組み合わせる構成を採り、以後の同社の製品の形式を定めている。同じ時期には卓や収納も加えられた。
現在
2002年、生産拠点がプリンセス・リズバラへ移された。現在は創業者の子孫による経営が続き、過去の設計の継続生産と、現行の設計者との新作の開発を並行して進めている。
デザイナーとの協働
ercolの製品開発は、20世紀半ばまで創業者Lucian Ercolani自身が設計を担う構成だった。曲げ加工の条件が形を規定するため、製造技術と設計が同じ判断のもとに置かれる体制にあたる。
近年は外部の設計者との協働も行われ、既存の製品群と並行して新作が加えられている。
Lucian Ercolaniの設計思想や経歴について詳しくはLucian Ercolaniプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
ペブルコーヒーテーブルは、輪郭を曲線で構成した低い卓である。天板の形状が石を思わせることからこの名を持ち、二台を重ねて使う構成が採られる。
このほか、細い棒材による背と削り出した座面を組み合わせる椅子の系列、卓、収納を扱う。
基本情報
| ブランド名 | ercol(アーコール) |
|---|---|
| 設立 | 1920年(設立時の社名はFurniture Industries Ltd.) |
| 創業者 | Lucian Ercolani(1888年〜1976年) |
| 創業地 | イギリス・バッキンガムシャー州ハイ・ウィカム |
| 本社・生産拠点 | イギリス・バッキンガムシャー州プリンセス・リズバラ(2002年〜) |
| 企業形態 | 非上場(Ercolani家による同族経営) |
| 事業内容 | 木製家具の設計、製造および販売 |
| 公式サイト | https://www.ercol.com |
Reference
- ercol - 公式サイト
- https://www.ercol.com/
- Wikipedia - Ercol
- https://en.wikipedia.org/wiki/Ercol