概要

ワンアーム・フロアランプは、セルジュ・ムーユが1953年に設計したフロアランプである。三脚のベースから細い鋼のロッドが一本伸び、その先端にアルミニウムの反射傘が付く。三本アームの版に対し、アームを一本に絞った構成にあたる。

特徴・コンセプト

外は黒、内は白に塗り分ける

反射傘は黒のラッカー仕上げだが、内側は光沢のある白に塗られる。黒い面は光を吸収するため、外から見たときに傘が光らず、輪郭だけが残る。内側を白にすれば光源からの光を反射して外へ送り出せる。同じ部材の表裏で、見え方と配光を別々に処理している。

一点で向きを決める

アームと傘の接続には真鍮のボールジョイントが使われる。アームは最大270度回転し、傘は最大55度傾けられる。関節を一箇所に集めることで、細い線の集合という見え方を保ったまま向きを変えられる。

張り出しを抑える

三本アームの版は複数方向へ同時に光を向けられるが、そのぶん空間に大きく張り出す。一本に絞れば設置面積も張り出しも小さくなる。全高は約1,600mmで、三脚のベースは平面的なため、脚の間に他の家具を差し込める。

エピソード

ムーユは1945年に工芸学校の教員となり、自身の金工工房を開いた。当初の仕事は手すりやシャンデリア、ウォールライトが中心だった。1953年、ジャック・アドネから照明器具の設計を依頼され、以後この分野に専念する。

ムーユ自身は、自らの照明器具について、1950年に市場へ流入し始めたイタリア製の複雑すぎる製品への反応だと述べている。作品はパリのステフ・シモン画廊で発表された。同画廊はジャン・プルーヴェ、シャルロット・ペリアン、イサム・ノグチらの仕事も扱っていた。

現行品はエディション・セルジュ・ムーユが当時と同じ型・素材・技法で製造し、個体ごとに通し番号と保証書が付く。

評価と影響

1950年代を通じて、ムーユは複数のアームを持つ角張った照明と、曲線的な小型のウォールライトを設計した。「ウイユ」(1953年)、「フラム」(1954年)、「サターン」(1958年)がこの時期の仕事にあたる。

ソファ脇の読書灯として、あるいは壁面を照らす用途で使われる。

収蔵

ムーユのフロアランプでは、以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。同館の記録は制作年を1950年頃としており、本作との同一性は確認できていない。

  • MoMA フロアランプ(1950年頃) 収蔵番号 465.1997

基本情報

名称 ワンアーム・フロアランプ / One Arm Floor Lamp
デザイナー セルジュ・ムーユ(Serge Mouille)
ブランド エディション・セルジュ・ムーユ(Editions Serge Mouille)
発表年 1953年
デザインの成立国 フランス
分類 フロアランプ
主要素材 スチール(本体)、真鍮(ボールジョイント)、アルミニウム(反射傘)
構造 反射傘は外側が黒、内側が光沢白。ボールジョイント一箇所で向きを変える
サイズ 高さ約1,600mm × 幅約460mm × 奥行約690mm
可動 アーム最大270度、反射傘最大55度
収蔵 MoMA(465.1997/フロアランプ、1950年頃)

Reference