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マッシュルームチェア(F560)は、ピエール・ポーランが設計しアルティフォートが製造するラウンジチェアである。スチールチューブの骨組みをフォームで包み、継ぎ目のない一枚の伸縮生地で覆う。骨組みが外から見えないため、全体が一つの塊として現れる。

このページでは、正規品の仕様と選べる張り地、正規品とライセンスを受けていない製品との差、座り方と設置に要する寸法、手入れと張り替え、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。

正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材

マッシュルームチェアは、ポーランが1958年からアルティフォートの開発部門と協力して取り組んだストレッチファブリックカバーの研究成果の集大成として誕生した。スチールチューブフレームにモールドフォームを被せ、その上からシームレスな一体型ストレッチ素材を張り詰めるという製法は、従来の釘と鋲による張り作業を完全に過去のものとし、家具デザインにおける形態・素材・テキスタイルの既存の常識を覆した。ポーランは水着を着た女性の身体に密着する素材の特性に着目し、「座席にも同じことができるはずだ」という発想からこの革新的手法を生み出した。この技術は後にリボンチェア(1966年)、タングチェア(1967年)へと応用され、アルティフォートの象徴的なデザイン言語となった。

正式名称 Mushroom Chair(マッシュルームチェア)/ 型番:F560
製造ブランド アルティフォート(Artifort) / オランダ・マーストリヒト
製造国 オランダ
フレーム スチールチューブ
クッション モールドフォーム(成型ウレタンフォーム)
張地 シームレス一体型ストレッチファブリック(Kvadrat社 Tonus、Divina等)またはレザー
サイズ(F560) 幅900mm × 奥行850mm × 高さ670mm / 座面高400mm
ビッグマッシュルーム(F562) 幅1,100mm × 奥行1,010mm × 高さ800mm / 座面高360mm
オットマン F563(別売)/ 高さ約36〜40cm × 幅約50〜52cm × 奥行約50〜52cm
重量 約15kg(F560)
スタッキング 不可
参考価格帯 メーカーは価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。張り地の種別とグレードで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける
納期 8〜14週間(受注生産)
生産状況 現行生産

F560とビッグマッシュルームF562

マッシュルームチェアには、スタンダードのF560と、より大型のビッグマッシュルームF562の2サイズが用意されている。F560は幅約90cm×奥行約85cm×高さ約67cmのコンパクトなプロポーションで、パーソナルスペースを確保しつつ配置の自由度が高い。ビッグマッシュルームF562は幅約110cm×奥行約101cm×高さ約80cmと大幅にサイズアップしており、より深く身体を預けられる贅沢なラウンジ体験を提供する。購入時には設置空間のサイズと使用目的に応じた選択が重要である。

シームレスストレッチカバーの革新性

マッシュルームチェアの張地は、一枚のストレッチファブリックでシェル全体をシームレスに覆う一体型構造が特徴である。縫い目が外側に露出しない美しいフォルムは、この革新的な製法によってのみ実現される。張地にはKvadrat社のTonus(ウール100%)やDivina等の高品質ファブリックが使用され、鮮やかな色彩のバリエーションが用意されている。オレンジ、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、ブラック、ホワイト、ブラウン、グレー等、ポップアートの精神を反映した豊富なカラーパレットが選択可能である。

正規品とライセンスを受けていない製品の違い

日本国内では、権利者のライセンスを受けていない同型の製品が流通している。公表されている情報から確認できる差を整理する。仕様が公表されていない項目は「公表なし」と記し、推測では埋めていない。

覆いの構造

正規品は、スチールチューブの骨組みにフォームを被せ、その上から継ぎ目のない一枚の伸縮生地で覆う。縫い目を持たないため、曲面の途中で線が現れない。この製法はポーランとアルティフォートの開発部門が確立したもので、同社は現在もこの方式で製造している。

ライセンスを受けていない製品では、骨組みの構成、フォームの仕様、生地の種別が公表されていないことが多い。外から確認できる差としては、覆いに縫い目があるかどうかが挙げられる。分割した生地を縫い合わせて覆う方式では、接合の位置に線が出る。

張り地と寸法の展開

正規品では張り地の品番が公表されており、後年に同じ生地で張り替えることもできる。寸法違いのビッグマッシュルーム(F562)と、対になるオットマンも用意される。

正規品の底面にはメーカーのラベルが付く。

比較項目 正規品(アルティフォート) ライセンスを受けていない製品
覆いの構造 継ぎ目のない一枚の伸縮生地(公表) 公表なし(縫い目の有無は現物で確認できる)
骨組み スチールチューブ(公表) 公表なし
張り地 品番まで公表。複数の生地とレザーから選べる 公表なし
製造地 オランダ(公表) 公表なし
寸法の展開 F560、ビッグマッシュルーム F562、オットマン 公表なし
底面のラベル あり なし
メーカー保証・張り替え 正規取扱店経由で対応できる 対象外

類似商品・競合との比較

同じ設計者による他の椅子と並べると、身体を受ける面のつくり方が異なる。座る姿勢と置ける場所がそこから決まる。

比較項目 マッシュルーム F560 ビッグマッシュルーム F562 ウームチェア
面のつくり方 骨組みをフォームで包み、継ぎ目のない生地で覆う 同じ方式で寸法を拡大 成形したシェルにクッションを載せる
幅×奥行×高さ 900×850×670mm 1,100×1,010×800mm 約1,060×940×790mm
座面高 400mm 360mm 約400mm
肘掛け 座面から連続し、独立した部材を持たない 同じ シェルの縁が兼ねる
張り替え 正規取扱店経由で対応できる 同じ クッションのみ交換できる
メーカー公表価格 公表なし(正規取扱店へ問い合わせ) 公表なし 公表なし

選び分けの目安

置ける面積が限られる場合
F560は幅900×奥行850mm。ビッグマッシュルームは幅1,100×奥行1,010mmで、四方に200mm前後大きくなる。
体を深く沈めて座りたい場合
座面高360mmのビッグマッシュルームのほうが低い。F560の400mmは立ち座りの動作が小さくて済む。
色を選択の対象にする場合
継ぎ目のない一枚の生地で覆うため、面全体が一色になる。分割して張る椅子のように配色を分けることはできない。

使用感と設置条件

座る姿勢

座面高400mm、座面から背へ連続する曲面が体を受ける。肘掛けが独立した部材として立ち上がっていないため、腕を置く位置が一点に定まらない。体の向きを変えて座ることもできる。

伸縮生地は荷重で伸び、フォームの沈み込みに追従する。分割して張った生地では縫い目の位置で伸びが止まるが、一枚であればその制約がない。

設置に要する寸法

本体は幅900×奥行850mm。輪郭が円に近いため、四方どの向きからも同じように見える。壁に寄せるより、周囲を空けて置くほうが形が読み取れる。立ち座りのために前方へ600mm程度の余裕を見ておく。

脚は本体下部に隠れており、床との接点は目立たない。カーペットの上では沈み込むため、硬い床材のほうが安定する。

搬入経路

分解しない状態で納品される。最大寸法は幅900mm。一般的な住宅の開口部(有効幅700mm前後)では傾けて通すことになる。玄関、廊下の曲がり角、階段の踊り場、エレベーターの間口と奥行を事前に測っておく。梱包時は各辺に数十mmが加わる。

経年変化とメンテナンス

素材ごとに起きること

ウール系の張り地は、日光を受け続けると退色する。継ぎ目がないため、色の変化は面全体に一様に現れる。座る位置が偏ると、その箇所だけ毛羽が寝る。

内部のフォームは、長期の使用で反発が弱まる。座面の中央がへこんだまま戻らない状態になった場合、フォームの交換で対応する。

日常の手入れ

ふだん
掃除機のブラシ付きノズルで表面のほこりを吸う。繊維の目に沿って動かす。
汚れが付いたとき
乾いた布で押さえて吸い取る。こすると繊維の間に押し込むことになる。水分を含む汚れは、内部のフォームまで達すると乾きにくい。
置き場所
直射日光の当たる窓辺は退色が進む。位置を変えられない場合、カーテンで直射を避ける。

張り替え

正規取扱店を通じて依頼する。継ぎ目のない一枚で覆う製法のため、一般の張り工房では同じ仕上がりにならない場合がある。メーカーは張り地の品番を公表しているため、当初と同じ生地を指定することもできる。

どこで買うか

取扱店の調べ方

アルティフォートは公式サイトで取扱店の一覧を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。張り地の種別とグレードで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける。

受注生産のため、注文から納品まで数か月を要する。張り地の在庫状況によって変わるため、取扱店に確認する。

実物を確認する

張り地は光の下で色が変わる。継ぎ目のない一枚で覆う構成では面全体が一色になるため、色の選択が仕上がりを大きく左右する。生地の見本を取り寄せて設置場所で確かめられると判断しやすい。

座面高400mm、肘掛けが独立していないという条件は、座ってみないと体格との相性が分からない。展示の有無を取扱店へ確認するとよい。

中古の流通

1960年代以降の個体が流通している。相場は年式と状態で幅があり、一定していない。日本ではかつて国内メーカーが技術提携のもとで製造した個体もあり、底面のラベルで判別できる。

中古で選ぶ場合の確認箇所は、生地の退色と毛羽の状態、座面の沈み込みが戻るか、骨組みにゆがみがないかである。継ぎ目のない生地は部分補修ができないため、傷みがある場合は全面の張り替えになる。

購入前チェックリスト

  • 寸法の選択(F560/ビッグマッシュルーム F562/オットマンの要否)
  • 張り地の種別・品番・色(面全体が一色になる)
  • 設置場所の寸法(幅900×奥行850mm+立ち座りに前方600mm程度)
  • 周囲を空けて置けるか(輪郭が円に近く、四方から見える)
  • 床材(カーペットの上では沈み込む)
  • 搬入経路(最大寸法は幅900mm。開口部・階段の踊り場・エレベーターの実測)
  • 納期(受注生産のため数か月)
  • 底面のラベルの有無(中古の場合)

組み合わせ

同じ設計者によるタンチェア (F577)も、骨組みを生地で覆って一つの塊とする構成をとる。並べる場合、いずれも周囲を空けて置くことが前提になる。

オットマンを併せると奥行方向に500mm前後が加わる。座面高が本体と揃うため、脚を伸ばした姿勢がとれる。

よくある質問

正規品の価格はどのくらいですか?
アルティフォートは価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。張り地の種別とグレードで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。仕様を決めたうえで見積もりを依頼することになります。
どこで購入できますか?
アルティフォートの公式サイトに取扱店の一覧が公開されています。同社は正規取扱店経由での販売をとっています。
実物を確認できる場所はありますか?
展示の有無は取扱店へ事前にご確認ください。継ぎ目のない一枚の生地で覆う構成のため面全体が一色になり、色の選択が仕上がりを大きく左右します。生地の見本を取り寄せて設置場所で確かめる方法もあります。
納期はどのくらいですか?
受注生産のため、注文から納品まで数か月を要します。張り地の在庫状況によって変わるため、取扱店にご確認ください。
ライセンスを受けていない同型の製品とは何が違いますか?
アルティフォートは骨組みの構成、継ぎ目のない一枚の伸縮生地で覆う製法、張り地の品番、製造地を公表しています。ライセンスを受けていない製品はこれらが公表されていないことが多く、比較の前提が揃いません。外から確認できる差としては、覆いに縫い目があるかどうかが挙げられます。また、メーカー保証や正規取扱店経由の張り替えの対象にもなりません。
張り替えはできますか?
正規取扱店を通じて依頼できます。継ぎ目のない一枚で覆う製法のため、一般の張り工房では同じ仕上がりにならない場合があります。メーカーが張り地の品番を公表しているため、当初と同じ生地を指定することもできます。
手入れはどうすればよいですか?
掃除機のブラシ付きノズルで、繊維の目に沿ってほこりを吸います。汚れは乾いた布で押さえて吸い取ってください。こすると繊維の間に押し込むことになります。直射日光の当たる場所では退色が進むため、位置を変えられない場合はカーテンで直射を避けてください。
他に検討すべき製品はありますか?
寸法違いのビッグマッシュルーム(F562)は幅1,100×奥行1,010mmで、座面高は360mmと低くなります。同じ設計者によるタングチェアも、骨組みを生地で覆って一つの塊とする構成です。成形シェルにクッションを載せる方式ではウームチェアが比較の対象になります。