このページについて
エルダチェアは、ジョエ・コロンボが1963年に設計した椅子である。ガラス繊維で強化した樹脂のシェルの内側に、筒状のクッションを金具で取り付ける。台座で360度回転する。現在はロンギが製造している。
このページでは、搬入と設置に要する条件、選べる仕上げ、クッションと張り地の扱い、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
ジョエ・コロンボの設計思想や経歴について詳しくはジョエ・コロンボ プロフィールページをご覧ください。
エルダチェアのデザインストーリーについて詳しくはエルダチェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
エルダチェアの正規品は、1959年創業のイタリアの高級家具ブランドLonghi社が「Loveluxe」コレクションの一つとして製造している。Comfort社から製造を引き継いだ同社は、オリジナルデザインの金型を使用し、全工程を手作業で行う忠実な製法を継承している。本作の特徴の一つは、幅・奥行・高さの比率がほぼ1:1:1という端正なプロポーションにあり、全方位から均整の取れた彫刻的フォルムを鑑賞できる。以下に正規品の詳細仕様を示す。
| 正式名称 | エルダチェア / Elda Chair |
|---|---|
| オリジナル製造 | コンフォート社(1965年〜) |
| 現行製造ブランド | ロンギ(イタリア) |
| シェル素材 | ガラス繊維で強化した樹脂。型で成形する |
| シェル仕上げ | 光沢のある塗装(白、黒)、金属色の塗装、革を張る仕様から選ぶ |
| クッション | 筒状のクッションを金具で取り付ける。取り外せる。厚みの異なるポリウレタンのフォームを用いる |
| 張地 | 革または布。張り地は取り外せない |
| ベース | 360度回転する。内部に車輪を持つ |
| ベースリング仕上げ | 複数の金属色から選ぶ |
| サイズ | 幅約950 × 奥行約920 × 高さ約930mm、座面高約400mm |
| バリエーション | 標準の仕様のほか、座面を高くしキャスターを付けた仕様がある |
| 参考価格帯 | ロンギは公式サイトで価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。シェルの仕上げと張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| 納期目安 | 受注生産。納期は取扱店に確認する |
| 収蔵 | AIC エルダチェア no.1005(1963年設計) 収蔵番号 2015.314 |
エルダチェアの構造的核心は、二つの花弁状ファイバーグラスシェルが一体となって座る人を包み込む有機的な形態にある。コロンボは造船所で小型ボートの船体に用いられるファイバーグラス成形技術に着想を得て、この革新的な椅子を構想した。軽量でありながら高い強度を持つ自己支持構造は、木製フレームが主流だった当時としては大きな転換であった。チューブ状クッションは解剖学的な配慮のもとに設計されており、異なる厚みのフォームが身体の各部位を最適にサポートする。360度回転するスイベルベースの隠しホイールにより、座ったまま自由に向きを変えられる。
類似商品・競合との比較
身体を包む椅子は、包む構造と回転の有無で分かれる。クッションを取り外せるかどうかも、長期の使用に関わる。
| 比較項目 | エルダチェア | ボールチェア | ウームチェア |
|---|---|---|---|
| シェル | ガラス繊維で強化した樹脂 | ガラス繊維で強化した樹脂 | 張り地で覆う |
| クッション | 筒状。金具で取り外せる | シェルに張る | シェルに張る |
| 回転 | 360度 | 360度 | しない |
| 包む範囲 | 背面と側面 | 頭の周囲まで覆う | 背面と側面 |
| 設置に要する寸法 | 幅約950×奥行約920mm | 幅1,100×奥行970mm | 製品による |
選び分けの目安
- クッションの手入れをしたい場合
- エルダは筒状のクッションを金具で取り外せる。シェルに直接張る方式では、この扱いができない。
- 周囲の様子を把握したい場合
- エルダは背面と側面を包むが、頭の周囲は開く。頭まで覆う椅子より、周囲が見通せる。
- 座ったまま向きを変える場合
- 台座で360度回転する。回転しない椅子では、本体ごと動かすことになる。
使用感と設置条件
クッションと張り地
筒状のクッションを金具でシェルに取り付ける。取り外せるため、埃を払う、位置を入れ替えるといった手入れができる。厚みの異なるフォームを用い、身体の各部で沈み方が変わる。
いっぽうで張り地そのものは取り外せない。汚れや傷みが生じた場合の対処は取扱店に確認する。
設置と搬入
幅約950×奥行約920×高さ約930mm。シェルは分解できない。搬入経路の開口が、この寸法を通せるかを実測する。
台座で360度回転するため、周囲に余裕を見込んでおく。台座の内部に車輪があり、床の上を移動させられる。
座り方
座面高約400mm。シェルが背面と側面を包み、頭の周囲は開く。周囲の様子を把握しやすい。
座面を高くしキャスターを付けた仕様も用意される。机に向かって使う場合はこちらが該当する。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
ガラス繊維で強化した樹脂は、紫外線で表面の光沢が失われる。光沢のある塗装では、この変化が目立つ。
シェルの外側は塗装で仕上げられる。硬いものが当たると欠け、欠けた箇所からは繊維が露出する。
クッションのフォームは荷重で潰れる。取り外せるため、位置を入れ替えて摩耗を均せる。
台座の回転部と車輪は繰り返しの使用で摩耗する。
日常の手入れ
- シェルの外側
- 固く絞った布で拭ける。研磨剤は塗装を削る。光沢のある仕上げは細かい傷が目立つ。
- クッション
- 取り外して掃除機で埃を吸う。張り地は取り外せないため、洗うことはできない。
- 台座
- 回転が渋くなった場合、取扱店に相談する。車輪に髪の毛や埃が絡んでいないか確かめる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
ロンギは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
注文の際に決める項目は、シェルの仕上げ(塗装または革を張る仕様)、クッションの張り地、台座の金属色、仕様(標準またはキャスター付き)である。受注生産のため、納期は取扱店に確認する。
実物を確認する
シェルに包まれる感覚と、クッションの沈み方は座ってみないと分からない。搬入経路の実測とあわせて、購入前に確かめておく。
シェルの仕上げは、光沢のあるものと金属色のもので見え方が大きく異なる。
中古の流通
1965年以降の個体が流通している。当時のコンフォート社によるものと、現在のロンギによるものが流通する。相場は年式、仕上げ、状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、シェルの欠けとひび、塗装の状態、クッションの沈みと張り地の傷み、金具の状態、台座の回転と車輪である。張り地は取り外せないため、傷みがある場合の対処を取扱店に確認しておく。
購入前チェックリスト
- シェルの仕上げ(塗装/革を張る仕様)
- クッションの張り地と台座の金属色
- 仕様(標準/座面を高くしキャスターを付けたもの)
- 搬入経路(シェルは分解できない。幅約950mm)
- 設置場所(360度回転する余裕)
- 張り地が取り外せないこと
- 直射日光を避けられる位置か
- 中古の場合、製造元による差とシェルの状態
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- ロンギは公式サイトで価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。シェルの仕上げと張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- ロンギの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。受注生産のため納期もあわせてご確認ください。
- 搬入できますか?
- 幅約950×奥行約920×高さ約930mmで、シェルは分解できません。搬入経路の開口がこの寸法を通せるかを実測してください。
- クッションは取り外せますか?
- 筒状のクッションを金具でシェルに取り付ける構造のため、取り外せます。埃を払う、位置を入れ替えるといった手入れができます。厚みの異なるフォームを用い、身体の各部で沈み方が変わります。
- 張り地は交換できますか?
- 張り地そのものは取り外せません。汚れや傷みが生じた場合の対処は取扱店にご確認ください。
- 座ったまま向きを変えられますか?
- 台座で360度回転します。台座の内部に車輪があり、床の上を移動させることもできます。設置場所には回転する余裕を見込んでください。
- 収蔵されている美術館はありますか?
- シカゴ美術館が収蔵しています(Elda Chair, no 1005、1963年設計、収蔵番号2015.314)。
- 手入れはどうすればよいですか?
- シェルの外側は固く絞った布で拭けます。研磨剤は塗装を削り、光沢のある仕上げは細かい傷が目立ちます。クッションは取り外して掃除機で埃を吸ってください。台座の車輪に髪の毛や埃が絡んでいないかも確かめ、回転が渋くなった場合は取扱店にご相談ください。