ベオリット707は、バング・オルフセンが1976年に発売したポータブルラジオである。設計はヤコブ・イェンセン。電源部を内蔵したベオリット700を改めたモデルで、金属部を黒くアルマイト処理し、着脱式のパネルにネクステルという起毛調の仕上げを採り入れた。このシリーズの最後のモデルにあたる。
特徴とコンセプト
黒い金属面と白い文字
ベオリット700との最も分かりやすい違いは仕上げにある。アルミの押し出し材をはじめとする金属部は黒くアルマイト処理され、目盛りや表示は白い文字で刻まれる。銀色のアルミ地を見せていた700までの外観から、明度の対比を反転させた構成である。
ネクステル仕上げのパネル
前後の着脱式パネルには、ネクステルという合成素材の仕上げが用いられた。起毛したスエードのような手ざわりで、水拭きができ、傷が付きにくいとされる。色の展開も700までとは別のものに置き換えられた。
パネルは工具なしで外せる構造が引き継がれており、電池の交換もこの状態で行う。
受信と電源
FM、長波、中波に対応する。出力は1W、周波数特性は65から20,000Hz。大きな目盛りとつまみ車で選局し、低音と高音は別々に調整できる。FM には受信周波数のずれを補正する AFC を備える。
電源は内蔵のトランスによる商用電源と、単1形乾電池5本の両方に対応し、電源コードは取り外せる。回路には細かな変更が加えられたが、仕様と性能はベオリット700からほぼ変わっていない。
FMのみに対応する姉妹機として、同じくイェンセンが手がけたベオリット505がある。
成立の経緯
1970年に発表された ベオリット600 ポータブルラジオ は、外部電源の端子を備えるものの電源部は内蔵していなかった。これに電源部を組み込んだのがベオリット700で、ベオリット707はその改良版にあたる。
ベオリット700は1972年から1975年、ベオリット707は1976年から1981年に生産された。1970年に始まった横長のポータブル機の系列は、707をもって終わっている。
評価
持ち運ぶ機器としての堅牢性も設計の要件とされており、内部の基板は頑丈なシャシーで保護され、外装には傷に強い表面処理が施された。ネクステルの採用は、外観だけでなくこの要件にも応えている。
ヤコブ・イェンセンの設計思想や経歴について詳しくはヤコブ・イェンセンプロフィールページをご覧ください。
バング&オルフセンの歴史や他の製品について詳しくはバング&オルフセンブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ベオリット707(Beolit 707) |
|---|---|
| デザイナー | ヤコブ・イェンセン |
| 発売年 | 1976年 |
| ブランド | バング・オルフセン |
| デザイン発祥地 | デンマーク |
| 生産期間 | 1976年〜1981年 |
| 素材 | 黒アルマイト処理のアルミニウム、ネクステル仕上げの樹脂パネル |
| 電源 | 商用電源(トランス内蔵)/単1形乾電池5本 |
| 受信 | FM、長波、中波 |
| 出力 | 1W。周波数特性65〜20,000Hz |
| 関連モデル | ベオリット700(前身)、ベオリット505(FM専用の姉妹機) |