このページについて
ダトール5は、ジーノ・ヴァッレが設計しソラーリ・ディ・ウーディネが製造した電気機械式の時計である。フラップが翻って数字が現れる表示方式をとり、時刻に加えて曜日と日付を示す。月の長さと閏年に自動で対応する。生産は終了しており、入手は中古市場に限られる。後継にあたるダトール60が現行品として製造されている。
このページでは、中古で選ぶ際の確認箇所、現行の後継機との違い、同種のフラップ式時計との比較、設置と手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
ダトール5のデザインストーリーについて詳しくはダトール5 紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
ダトール5は、フラップが翻って数字が現れる方式の掛け時計である。各桁10枚のフラップを組み、24時間形式で時刻を示す。あわせて曜日と日付を表示する。
ダトール5(ヴィンテージ・オリジナル)
| 正式名称 | Dator 5(ダトール5) |
|---|---|
| 製造国 | イタリア |
| 表示方式 | フラップが翻って数字が現れる方式。各桁10枚のフラップを4組配する |
| 表示内容 | 時刻(24時間表示)、曜日、日付(月フラップを備えた個体も存在する) |
| カレンダー機能 | 永久カレンダー(月の長さ・閏年に自動対応) |
| 駆動方式 | 電気機械式。自ら時刻を刻む型と、外部の親時計からの信号を受けて動く型(スレーブ型)がある |
| 電源 | AC電源(24V交流パルス) |
| 主要素材 | 金属筐体、金属フラップ |
| 現行生産 | 終了。入手は中古市場に限られる |
| ヴィンテージ参考価格帯 | 生産を終了しているため、メーカーの公表価格はない。中古の相場は状態、製造年代、駆動の型によって幅があり、一定していない |
ダトール5には2つの型がある。一方は内部に電気機械式の時計を持ち、自ら時刻を刻みながら毎分の信号を発して他の時計を同期させる。他方はその信号を受けて動く型で、駅や空港で複数の時計を一斉に合わせる仕組みに用いられた。後者の生産数が前者を大きく上回ったため、中古市場で流通する個体は後者が多い。この型は単体では時を刻めず、信号を送る装置を別に用意するか、内部の駆動部を交換することになる。
Dator 60(現行モデル・後継機)
ソラーリ・リネアデザインが2015年に復刻した後継機である。表示する情報と永久カレンダーの機能を引き継ぎ、駆動をクオーツに改めている。電源を交流に依存しないため、設置場所が電源の位置に制約されない。
| 正式名称 | Dator 60(ダトール60) |
|---|---|
| メーカー | ソラーリ・リネアデザイン |
| 製造国 | イタリア |
| カテゴリ | 壁掛け・卓上兼用 |
| 表示方式 | フラップが翻って数字が現れる方式 |
| 表示内容 | 時刻(24時間表示)、曜日、日付 |
| カレンダー機能 | 永久カレンダー(月の長さと閏年に自動対応) |
| 本体素材 | PC-ABS樹脂、ポリカーボネートカバー |
| フラップ | 黒地にシルクスクリーン印刷の白文字 |
| 駆動方式 | バッテリー駆動ステッパーモーター |
| 電源 | 単1電池(D / LR20)× 3本(付属) |
| 精度 | クォーツ精度 ±60秒/年 |
| 数字高さ | 約5cm(視認距離:約30m) |
| オリエンテーション | 水平型(Dator 60H)/ 垂直型(Dator 60V) |
| サイズ(垂直型) | W242 × H330 × D130mm |
| カラー | ブラック/ホワイト |
| 言語 | 英語版/イタリア語版 |
| 設定 | キーパッドによる日付・時刻プログラミング |
| 保証 | メーカー2年保証 |
| 価格 | 正規取扱店への問い合わせによる(2026年8月19日確認) |
| 特別版 | MoMA Design Store限定エディションあり |
類似商品・競合との比較
フラップ式の時計は、表示する情報の量と、駆動の方式で分かれる。中古で選ぶ場合は、単体で動くかどうかが最初の確認事項になる。
| 比較項目 | ダトール5(中古) | ダトール60(現行) | チフラ3(現行) |
|---|---|---|---|
| 表示する情報 | 時刻・曜日・日付 | 時刻・曜日・日付 | 時刻のみ |
| カレンダー | 月の長さと閏年に自動対応 | 月の長さと閏年に自動対応 | なし |
| 駆動 | 電気機械式。個体により単体で動かない型がある | クオーツ | クオーツ(電池) |
| 設置 | 壁掛け | 壁掛けまたは据え置き | 据え置き |
| 入手 | 中古市場のみ | 正規取扱店 | 正規取扱店 |
| 修理 | 対応できる工房が限られる | メーカーの対象 | メーカーの対象 |
選び分けの目安
- 日付と曜日を表示したい場合
- ダトール5とダトール60が該当する。チフラ3は時刻のみを表示する。
- 確実に動くものを求める場合
- 現行のダトール60はクオーツで駆動し、メーカーの修理の対象となる。ダトール5は電気機械式で、個体によっては単体で動かない。
- 据え置きで使う場合
- ダトール5は壁掛けの形式である。机や棚に置く場合は、ダトール60の据え置き型かチフラ3が該当する。
使用感と設置条件
表示の読み取り
フラップが翻って数字が直接現れる。針の位置から角度を判断する方式と異なり、読み取りに解釈の余地がない。時刻に加えて曜日と日付が同じ面に並ぶため、一目で三つの情報を得られる。
フラップが翻る際には音が生じる。毎分の切り替わりが聞こえるため、静けさを求める場所には向かない。
駆動の型を確認する
この時計には、自ら時刻を刻む型と、外部の親時計から送られる信号を受けて動く型がある。後者は駅や工場の時計網で用いられたもので、単体では時を刻めない。中古で流通する個体にはこの型が含まれる。
単体で動かない個体を使う場合、信号を送る装置を別に用意するか、内部の駆動部を交換することになる。購入前に、どちらの型かを売り手に確認する必要がある。
電源と設置
電源は交流による。日本国内で使う場合、電圧と周波数の適合を確認する。欧州向けの個体は電圧が異なり、変圧器を要する。交流の周波数を時刻の基準とする方式では、地域による周波数の違いが精度に影響する。
壁掛けの形式で、金属の筐体を持つため相応の重量がある。取り付けるフックの耐荷重と壁の下地を確認しておく。
経年変化とメンテナンス
起きること
製造から半世紀以上が経過しており、内部の機構は摩耗している。フラップを送る歯車、軸受け、電磁石のコイルが主な消耗の箇所にあたる。長期間動かさずに置かれた個体では、潤滑油が固まって動きが渋くなる。
塗装された金属の筐体は、経年で色が変わる。白系の塗装は黄ばむ。フラップの印刷は擦れて薄くなることがある。
日常の手入れ
- ふだん
- 筐体は乾いた柔らかい布で拭く。フラップには触れない。指で回すと軸に負担がかかる。
- 埃
- フラップの隙間に溜まる。柔らかい刷毛で払うか、送風で飛ばす。掃除機の吸引はフラップを引き込むため用いない。
- 油
- 自分で注油しない。種類の合わない油は埃を呼び、かえって動きを妨げる。
修理
電気機械式のため、一般の時計店では対応できない場合が多い。フラップ式の時計を扱う工房を探すことになる。部品は生産されていないため、修理は他の個体からの部品取りや加工に頼る。
駆動部を現代のものに置き換える改修も行われている。この場合、外観と表示の方式は保たれるが、当初の機構は失われる。
どこで買うか
現行の後継機
ソラーリは2015年以降、往時の製品を再生産している。ダトール60は時刻・曜日・日付を表示し、月の長さと閏年に自動で対応する。壁掛けと据え置きの二つの形式があり、表示は英語とイタリア語から選べる。駆動はクオーツで、イタリアで製造される。
価格は正規取扱店への問い合わせによる。メーカーの修理の対象となる。
中古で選ぶ
相場は状態、製造年代、駆動の型によって幅があり、一定していない。動作しない個体や、部品取りを前提とした出品も含まれる。
確認すべき事項は次のとおりである。単体で動くか(親時計の信号を要する型でないか)、全桁のフラップが最後まで送られるか、日付と曜日の切り替わりが正しく働くか、電源の仕様が日本で使えるか、修理や改修の履歴があるか。
購入前チェックリスト
- 駆動の型(単体で動くか、親時計の信号を要する型か)
- 全桁のフラップが最後まで送られるか
- 日付と曜日の切り替わりが正しく働くか
- 電源の仕様(電圧・周波数が日本で使えるか。変圧器の要否)
- 修理・改修の履歴(駆動部が置き換えられていないか)
- 筐体の塗装の状態、フラップの印刷の擦れ
- 設置場所(毎分フラップの音が生じる)
- フックの耐荷重と壁の下地
- 確実に動くものを求める場合、現行の後継機の検討
よくある質問
- 現在も購入できますか?
- ダトール5は生産を終了しており、入手は中古市場に限られます。後継にあたるダトール60が現行品として製造されており、こちらは正規取扱店を通じて購入できます。
- 中古の相場はどのくらいですか?
- 生産を終了しているためメーカーの公表価格はありません。相場は状態、製造年代、駆動の型によって幅があり、一定していません。動作しない個体や部品取りを前提とした出品も含まれます。
- 買っても動かない個体があると聞きました
- この時計には、自ら時刻を刻む型と、外部の親時計から送られる信号を受けて動く型があります。後者は駅や工場の時計網で用いられたもので、単体では時を刻めません。中古で流通する個体にはこの型が含まれるため、購入前にどちらの型かを売り手にご確認ください。
- 日本の電源で使えますか?
- 電源は交流によります。欧州向けの個体は電圧が異なり、変圧器を要します。また交流の周波数を時刻の基準とする方式では、地域による周波数の違いが精度に影響します。購入前に電源の仕様をご確認ください。
- 音は気になりますか?
- フラップが翻る際に音が生じます。毎分の切り替わりが聞こえるため、静けさを求める場所には向きません。
- 修理はできますか?
- 電気機械式のため、一般の時計店では対応できない場合が多くなります。フラップ式の時計を扱う工房を探すことになります。部品は生産されていないため、修理は他の個体からの部品取りや加工に頼ります。駆動部を現代のものに置き換える改修も行われていますが、この場合は当初の機構が失われます。
- 手入れで気をつけることはありますか?
- 筐体は乾いた柔らかい布で拭きます。フラップには触れないでください。指で回すと軸に負担がかかります。隙間の埃は柔らかい刷毛で払うか送風で飛ばします。掃除機の吸引はフラップを引き込むため使えません。自分で注油もしないでください。種類の合わない油は埃を呼び、かえって動きを妨げます。
- 現行の後継機とは何が違いますか?
- ダトール60は表示する情報と永久カレンダーの機能をダトール5から引き継いでいますが、駆動がクオーツになっています。壁掛けと据え置きの二つの形式があり、表示は英語とイタリア語から選べます。メーカーの修理の対象となる点も異なります。