このページについて
タンチェアは、ピエール・ポランが1967年に設計しアーティフォートが製造する椅子である。鋼管の骨組みにフォームを重ね、伸縮する布で覆う。座面高は約356mmで、床に近い姿勢で座る。
このページでは、座面の低さがもたらす条件、伸縮する布の扱い、正規品の識別、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
ピエール・ポーランの設計思想や経歴について詳しくはピエール・ポーランプロフィールページをご覧ください。
タンチェア (F577) のデザインストーリーについて詳しくはタンチェア (F577) 紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
| 正式名称(日本語) | タンチェア |
|---|---|
| 製造ブランド | アーティフォート |
| 製造国 | オランダ |
| 主要素材 | 鋼管の骨組み、帯、切り出したフォーム、伸縮する布による |
| 脚部 | 樹脂の部品が付く |
| サイズ | 幅850 × 奥行900 × 高さ640mm。座面高約356mm |
| カラーバリエーション | メーカーの指定する布から選ぶ。複数の色が展開される |
| 価格 | アーティフォートは公式サイトで価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| スタッキング | できない |
| 収蔵 | MoMA タン チェア(model 577) 収蔵番号 1231.1968、453.2008.1 |
| 保証 | メーカーの保証の対象。詳細は取扱店に確認する |
正規品とライセンスを受けていない製品の違い
権利者のライセンスを受けていない同型の製品が流通している。公表されている情報から確認できる差を整理する。仕様が公表されていない項目は「公表なし」と記し、推測では埋めていない。
公表されている仕様
アーティフォートは、骨組みが鋼管であること、帯と切り出したフォームを用いること、伸縮する布で覆うこと、寸法、オランダでの製造を公表している。
ライセンスを受けていない製品では、これらの仕様が公表されていない場合が多い。伸縮する布は縫い目の位置と生地の張り方に現れる。継ぎ目のない面をつくるには、伸びる生地を用いることになる。
| 比較項目 | 正規品(アーティフォート) | ライセンスを受けていない製品 |
|---|---|---|
| 骨組み | 鋼管(公表) | 公表なし |
| 詰め物 | 切り出したフォーム(公表) | 公表なし |
| 張り地 | 伸縮する布(公表) | 公表なし |
| 製造国 | オランダ(公表) | 公表なし |
| メーカー保証 | 対象 | 対象外 |
座面の低さ
座面高は約356mm。一般的な椅子(400〜450mm前後)よりかなり低い。
床に近い姿勢で座ることになる。脚を前へ投げ出すか、床に置く姿勢になりやすい。立ち座りの際は、通常より深い位置から立ち上がる。
肘掛けと背もたれの区別を持たない。身体を預ける位置が固定されず、姿勢を変えて座れる。
合わせるテーブルの高さもこの座面高から決まる。一般的な低いテーブル(370〜400mm前後)と近い高さになる。
選び分けの目安
- 立ち座りのしやすさを重視する場合
- 座面高約356mmは低い。立ち座りの動作に差が出る。
- 姿勢を変えて座る場合
- 肘掛けと背もたれの区別を持たないため、身体を預ける位置が固定されない。
- 設置場所が限られる場合
- 幅850×奥行900mm。低いが、床面に占める範囲は大きい。
類似商品・競合との比較
フォームを主体とする椅子は、張り地の扱いと骨組みの有無で性格が分かれる。
| 比較項目 | タンチェア | ABCD ソファ | パンプキンチェア |
|---|---|---|---|
| 骨組み | 鋼管(布の内側に隠れる) | 木とスチール(内側に隠れる) | 樹脂の台 |
| 張り地 | 伸縮する布 | 伸縮する布 | 布または革 |
| 座面高 | 約356mm | 約350〜380mm | 370mm |
| 現行生産 | されている | されていない | されている |
| 背もたれの区別 | 持たない | 持つ | 持つ |
選び分けの目安
- 姿勢を選ばずに座る場合
- 肘掛けと背もたれの区別を持たない。向きを変えて座れる。
- 新品で購入したい場合
- 現行生産されている。同種の椅子には、現行生産されていないものもある。
- 張り替えを想定する場合
- 伸縮する布を用いるため、対応の可否を取扱店に確認する。
使用感と設置条件
構造
鋼管の骨組みに帯を張り、切り出したフォームを重ねて伸縮する布で覆う。骨組みは布の内側に隠れる。
伸縮する布を用いることで、継ぎ目のない面をつくる。曲面が連続する輪郭になる。
設置に要する寸法
幅850×奥行900×高さ640mm。高さは低いが、床面に占める範囲は幅850×奥行900mmと大きい。
周囲を通る余裕も含めて確かめる。
床との接し方
脚裏に樹脂の部品が付く。摩耗の状態を確かめる。
床面に近い位置まで本体があるため、掃除の器具が下を通らない。動かして掃除することになる。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
伸縮する布は、繰り返しの荷重で伸びる。伸びた箇所は元に戻らない。日光で色も褪せる。
曲面が連続する輪郭のため、日の当たり方によって色の差が生じやすい。
内部のフォームは荷重で潰れる。詰め物が輪郭をつくる構成のため、外形の見え方も変わる。
脚裏の樹脂の部品は摩耗する。
日常の手入れ
- 布
- 掃除機のブラシ付きノズルで埃を吸う。伸縮する布のため、強く引かない。
- 座る位置
- 偏ると、その箇所のフォームと布が先に傷む。位置を変えて使う。
- 脚裏
- 部品の摩耗を確かめる。失われると床を傷める。
- 置き場所
- 直射日光を避ける。布の色褪せが早く進む。
張り替え
伸縮する布を用いる構成のため、張り替えの可否を取扱店に確認する。継ぎ目のない面をつくる作業にあたる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
アーティフォートは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
注文の際に決めるのは張り地と色である。メーカーの指定する布から選ぶ。
実物を確認する
座面高約356mmという低さは、使う人の体格に合うかを実物で確かめられるとよい。立ち座りの動作もあわせて確認する。
幅850×奥行900mmが設置場所に対してどの程度を占めるかも、実測しておく。
中古の流通
1967年以降の個体が流通している。相場は張り地、年式、状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、布の伸びと色褪せ、内部のフォームの潰れと外形の変形、脚裏の部品の有無である。伸縮する布のため、伸びた箇所は元に戻らない。
購入前チェックリスト
- 座面高約356mm(一般的な椅子よりかなり低い)
- 設置場所の寸法(幅850×奥行900mm)
- 合わせるテーブルの高さ
- 張り地と色
- 肘掛けと背もたれの区別を持たないこと
- 床面に近いため掃除の器具が下を通らないこと
- 張り替えの可否
- 中古の場合、布の伸びとフォームの潰れ
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- アーティフォートは公式サイトで価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- アーティフォートの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。
- 座り心地はどうですか?
- 座面高は約356mmで、一般的な椅子(400〜450mm前後)よりかなり低くなります。床に近い姿勢で座ることになり、脚を前へ投げ出すか床に置く姿勢になりやすくなります。肘掛けと背もたれの区別を持たないため、身体を預ける位置が固定されず姿勢を変えて座れます。
- 設置に必要な寸法を教えてください。
- 幅850×奥行900×高さ640mmです。高さは低いものの、床面に占める範囲は幅850×奥行900mmと大きくなります。周囲を通る余裕も含めてお確かめください。
- 合わせるテーブルは何を選べばよいですか?
- 座面高約356mmから決まります。一般的な低いテーブル(370〜400mm前後)と近い高さになります。
- 収蔵されている美術館はありますか?
- ニューヨーク近代美術館が2点を収蔵しています(Tongue Chair、model 577、収蔵番号1231.1968および453.2008.1)。
- 張り替えはできますか?
- 伸縮する布を用いる構成のため、対応の可否を取扱店にご確認ください。継ぎ目のない面をつくる作業にあたります。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 布は掃除機のブラシ付きノズルで埃を吸います。伸縮する布のため強く引かないでください。座る位置が偏るとその箇所のフォームと布が先に傷むため、位置を変えて使ってください。曲面が連続する輪郭のため、日の当たり方によって色の差が生じやすくなります。