Miura Stool(ミウラスツール)は、ドイツの工業デザイナー、コンスタンティン・グルチッチが2005年にイタリアの家具メーカー、プランク社のために設計したバースツールである。強化ポリプロピレンを用いた射出成形によるモノブロック構造を採用し、造形性と機能性を両立させている。
グルチッチの代表作「Chair_ONE」の角張ったデザイン言語からの転換を示す作品で、より柔らかく彫刻的なフォルムを持つ。名称は1966年から1972年にかけて製造されたランボルギーニ・ミウラに由来し、同車がスペインの闘牛の品種名(ランボルギーニのマスコット)から名づけられたことにちなんでいる。
デザインコンセプトと特徴
フォルムと座り心地
Miura Stoolでは流動的で有機的なフォルムが追求されている。構造的な原理に基づきながらも彫刻的なアプローチがとられ、複雑な自由曲面はコンピューターを用いて設計された。
鋭角的に見える外観に反して、座面は緩やかに傾斜した側面を持ち、座り心地に配慮されている。前脚に接続された刻み目入りのクロスバーは、視覚的なアクセントであると同時にフットレストとして機能する。
構造とスタッキング
Miura Stoolは、従来のバースツールが備えていた回転機構や高さ調整機能を持たず、固定式のシンプルな構造を採用している。これにより製造工程を簡略化し、比較的手頃な価格を実現している。
強化ポリプロピレンの単一素材による射出成形は軽さと耐久性を両立させ、屋内外で使用できる。4本の脚部の配置により最大4脚までのスタッキングが可能で、当時、スタッキングできるバースツールは新しい試みであった。
デザインプロセスとインスピレーション
グルチッチはプランク社からモノブロックのプラスチック製バースツールの設計を依頼された際、これをデザイン語彙を刷新する機会と捉えた。Chair_ONEで得た角張った作風で知られるようになった一方、同じ手法を繰り返すことへの懸念があり、ハードエッジから離れた柔らかいデザインへ移行する取り組みとなった。
ランボルギーニ・ミウラの流線的なフォルムが、本作品の視覚言語を形づくる着想源となった。高性能スポーツカーが性能追求から動的なフォルムを得たように、Miura Stoolの造形も機能的な要請から導き出されている。
受賞歴
- Blueprint Best Product Award(2005)
- Red Dot Design Award(2006、Best of the Best)
- iF Product Design Award(2006、Gold Award)
- Interior Innovation Award(2006、imm Cologne)
- German Design Award(Designpreis Deutschland、2007)
収蔵
Miura Stoolは、複数の主要なデザイン美術館の収蔵品となっている。
- ニューヨーク近代美術館(MoMA)
- シカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)
- ノイエ・ザムルング(Die Neue Sammlung、ミュンヘン)
基本情報
| デザイナー | コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic) |
|---|---|
| ブランド | プランク(Plank) |
| 発表年 | 2005年 |
| 素材 | 強化ポリプロピレン(射出成形) |
| 製造国 | イタリア |
| 寸法 | 高さ約81cm × 幅約47cm × 奥行約40cm(座面高約78cm) |
| カラー | ブラック、ホワイト、ピュアオレンジ、トラフィックレッド、ワインレッド、ライトブルー、イエローグリーン |
| スタッキング | 可能(最大4脚) |
| 使用環境 | 屋内・屋外兼用 |