概要
925は、アフラ&トビア・スカルパが1966年に設計した椅子である。無垢材の枠に、曲げた成形合板の座面と背もたれを組む。
枠は立方体に近い輪郭をとり、そこに曲面が差し込まれる。カッシーナが製造した。
トビア・スカルパの設計思想や経歴について詳しくはトビア・スカルパ プロフィールページをご覧ください。
特徴・コンセプト
立方体と曲面
4本の脚と貫が直線で組まれ、外形は立方体に近い。そこへ座面と背もたれの曲面が入る。
直線の枠は強度と据わりを担い、曲面は身体に触れる面を担う。役割が形の違いとして現れているため、部材の境界が外から判別できる。
背もたれの撓み
背もたれは枠の上端から前方へ張り出し、下端を支持しない。成形合板の弾性により、背を預けると僅かに撓む。
詰め物を厚くして沈みを得る方法とは異なり、素材そのものの性質で応じている。背の中央には開口が設けられ、撓みの範囲に関わる。
接合を見せる
部材の接合部は覆われない。仕口の形がそのまま外観に現れる。
木の枠に成形合板を組み合わせる構成のため、素材の切り替わる位置が接合部と一致する。隠す仕上げを加えないことで、構成が読み取れる。
エピソード
1943年のスケッチから
この椅子は、トビアの父である建築家カルロ・スカルパが1943年に描いた素描を出発点としている。立方体に花弁を組み合わせるという着想にあたる。
花弁が背もたれの曲面に、立方体が枠に対応する。20年以上を経て、成形合板という手段を得たことで形になった。
試作から生産へ
最初の試作は1966年4月にあたる。同年9月にフィリ・ディ・アメデオ・カッシーナで生産が始まった。
翌1967年、ニューヨーク近代美術館が収蔵している。発表から間もない時期の取得にあたる。
評価と影響
一般的に、1960年代のイタリアの家具として扱われている。木と成形合板という異なる素材を組み合わせ、それぞれの役割を形で示す構成による。
現在はカラクターとカッシーナの協働により「Scarpa 925」の名で生産されている。1965年の121チェアと同じ二重の脚台の構成を持つ椅子として案内されている。
受賞・収蔵
ニューヨーク近代美術館が収蔵している(Chair、model 925、1966年、収蔵番号 2243.1967)。
メトロポリタン美術館も収蔵している("925" Side Chair、1966年、収蔵番号 1987.370.3)。
基本情報
| デザイナー | アフラ・スカルパ、トビア・スカルパ |
|---|---|
| ブランド | カッシーナ |
| 発表年 | 1966年 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 主要素材 | 無垢材の枠、成形合板の座面と背もたれ、革 |
| 構造 | 直線の枠が強度を、曲面が触れる面を担う。接合部を覆わない |
| 生産 | カラクターとカッシーナの協働により継続 |
カッシーナの歴史や他の製品について詳しくはカッシーナ ブランドページをご覧ください。
Reference
- Tobia Scarpa, Afra Scarpa. Chair (model 925). 1966 | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/4759
- "925" Side Chair | The Metropolitan Museum of Art
- https://www.metmuseum.org/art/collection/search/484806